介護施設の監査のタイミングは?内部告発から抜き打ち実施も

介護施設に突然行政の監査が入るとなると慌ててしまうものです。「誰かが内部告発したのかな?」「監査されるとどうなるの?」と働くスタッフは職場に対して不安も抱くでしょう。そこで今回は、監査と混同しやすい運営指導との違いや、監査が入るタイミング、監査が入った後の流れなどを解説します。もしものときに備えて確認しておきましょう。

介護施設の監査とは?運営指導(実地指導)とどう違う?

介護施設で行われる行政機関の「監査」は、事業者が法令違反や不正をしているのではないかと疑わしいことがあった場合に、事実を把握し確認するために行う検査と事実確認を指します。対して「運営指導(実地指導)」は、事業者の育成を目的に書類の確認やヒアリングをすることです。運営指導で発覚した不備が、法令違反や不正を匂わせるものであればそのまま監査へ切り替わることもあります。

★運営指導(実地指導)に関する詳しい解説はこちら

介護施設で監査が行われるタイミングは?内部告発から抜き打ちも

介護施設の監査は、基本的に事前予告なしの抜き打ちで行われます。きっかけは施設で働くスタッフからの内部告発や、入居者さん・利用者さん・地域住民からの通報、運営指導から運営に関して疑わしい部分が出てきた場合など、さまざまです。
一度監査が入るとなれば、数日から場合によっては一週間かけて事実確認が行われます。介護施設によっては、運営指導のことも「監査」と呼んでいる場合がありますが、監査は通常は行われない特別なものと理解しておきましょう。

介護施設の監査で指摘される内容

介護施設の監査で指摘される内容は、基本的に運営指導と同じです。しかしながら、監査ではより厳しく確認され、指摘内容によってはペナルティを課すものもあります。内部告発でしかわからない事項も含まれますが、以下の内容を確認しておきましょう。

<監査で指摘される主な内容>
・介護報酬の不正請求
・監査に応じない、虚偽の報告をする
・人員や施設設備、運営基準などが法令や基準に従っていないことが明らか
・入居者さん利用者さんに対して虐待やその疑いがある など

今回ご紹介した事項に引っかかると、介護施設に対して指定取消や報酬返還などのペナルティが与えられます。引っかからなくても、監査が入ったという事実だけでも施設のイメージダウンに。関係者に迷惑をかけないためにも、介護施設を運営する事業者やスタッフがしっかりと緊張感を持って職務を全うしましょう。

介護施設が監査で引っかかるとどうなる?

監査に引っかかるとペナルティが課されるということをご紹介しましたが、具体的にはどのような流れで指導や処罰へ進むのか解説しておきましょう。
指定に関して一部または全部を停止するとなった場合、弁明の機会が与えられます。ただし、場合によっては行政庁の指示で次の「聴聞手続き」へ移行することもあり、油断は禁物です。
指定取消となった場合、「聴聞手続き」が行われ、証拠書類の提出や意見申述を行い、処分が下されます。
指定効力停止および指定取消以外となった場合は、弁明や聴聞の手続きなく速やかに指導・処分へ進むことに。指導・処分には、その場で改善を指導されて後日改善報告をする「改善報告」、期限を決められ改善報告するように勧告される「改善勧告」、改善を行わなかった場合に各都道府県で施設名が公表された上で改善を求められる「改善命令」などがあります。
どの指導・処分をとっても、事業者にとっては重い罰であることに変わりはありません。

介護施設を監査で改めたい!内部告発をするならどこへ?

それでは、介護施設で働くスタッフが事業者へ改善を求めて監査を誘発するために内部告発をすることは可能なのでしょうか。通報するのであれば、各都道府県・市町村の福祉課や労働課、労働基準監督署などの行政機関へ声を挙げましょう。事実確認のために最初は身元確認がありますが、行政が動く際には通報者が特定されないよう万全の配慮を期してくれるので安心してください。

自力ではどうにもできない場合は内部告発で現場の改善も!

介護施設において、監査が入るのは不名誉なことですが、スタッフが施設の現状に違和感があるなら、内部告発を利用して職場の改善を試みるのも良いでしょう。ただし、通報前に自力で改善へと向かうように動くことも必要です。職場と働くスタッフ、入居者さん・利用者さんを守るためにも、ご紹介した指摘内容に抵触することがないよう、日々緊張感を持って職務に当たりましょう。

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