アセッサーとは?人材育成・指導に活かせる理由やメリットを知ろう

介護職に関わる資格の中でも、より実践的なスキルに注目しているのが「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」です。「アセッサー」は、同制度に位置づけられた役割で、介護職員の評価を行う役割を担います。この記事では、そんなアセッサーの概要やメリット、講習を受けるための要件などを解説。介護プロフェッショナルキャリア段位制度と共に、くわしく紹介していきます。アセッサーに興味がある方は、ぜひご一読くださいね。

【簡単に解説】アセッサーとは?

介護分野における「アセッサー(評価者)」とは、介護施設や事業所内にて、介護職員の「実践的スキル」を評価する人材のこと。一般社団法人 シルバーサービス振興会によると、2021年3月時点で全国に26,772名のアセッサーがいます。評価を通して、介護職員のスキルアップやキャリアアップを支援する存在です。

アセッサーが行う評価は、これまでの資格制度では不足しがちだった、「介護現場で何ができるのか」という点を見ることが特徴。アセッサーになるには、後述の「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」のレベル認定で一定の評価をされるなど、いくつか条件があります。

人材育成や指導に悩む方必見!アセッサーになるメリットとは

アセッサーになるメリットの1つには、全国で共通する評価基準の習得があげられます。評価基準を学べることは、介護職員の育成や指導に携わる方にとって、メリットが大きいでしょう。

たとえば、人材育成に携わる方の中には、自分の感覚や経験値にもとづいて指導をしているという方もいるのではないでしょうか?もちろん、介護の現場では経験によって得られるスキルも多くあるため、経験にもとづく指導は大切です。

しかし、介護職員の「できる・できない」を評価するという点においては、一定の基準や客観的な視点が欠かせないもの。もし評価もそれぞれの主観に委ねられれば、人によって基準が異なるという事態にもなりかねないでしょう。

一方、アセッサー講習を受けてアセッサーになれば、科学的根拠をもとに国が整理した評価基準を得られます。明確に示された基準があるため、これまでよりも説得力のある指導を行うことも可能でしょう。

介護プロフェッショナルキャリア段位制度とは?

アセッサーは、「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」に位置づけられる役職です。ここからは、同制度について見ていきましょう。

この制度は、2010年度から始まった内閣府による「実践キャリア・アップ戦略」の1つとして誕生しました。2012年度より制度がスタートし、厚生労働省から委託を受けた一般社団法人シルバーサービス振興会によって運営されています。

制度が目指すのは、部長や課長などの肩書きではなく、キャリア・能力が評価され、プロフェッショナルとして誇りがもてる社会。同制度が適応されている業種は、介護職のほか、「カーボンマネジャー」と「食の6次産業化プロデューサー」があります。

介護の分野では、知識などを問う国家資格や研修制度との関係も考慮され、実践的スキルに重点を置いていることが特徴。同制度を導入して一定の条件を満たせば、介護報酬の加算が行われるケースもあります。

また、同制度の導入により、介護職の方が転職する際にメリットが得られることも。ジョブカードに、同制度で評価された実践的スキルの評価結果を記載して求職活動を行えば、介護現場での実践経験を明示することも可能です。そのほか、スキルアップのモチベーションとしても活用できるでしょう。

介護プロフェッショナルキャリア段位制度のレベル認定とは?

介護プロフェッショナルキャリア段位制度のレベル認定は、6段階で行われます。以下の表で、各レベルに求められるスキルを確認していきましょう。

<介護プロフェッショナルキャリア段位制度のレベル認定>

レベル求められるスキル
LEVEL 6・さまざまな生活障害のある利用者さんに質の高い介護を実施
・介護技術の指導や職種間の連携を促すキーパーソンとなり、チームケアの質を改善する
LEVEL 5
LEVEL 4・サービス提供責任者や主任など、チーム内でリーダシップをとる
・部下に対する指示や指導を行う・アセッサーになるための基準レベル
LEVEL 3利用者さんの状態に応じた介護の実施。他職種との連携を行うために必要な幅広い領域の知識
・技術を習得、的確な介護を行う
LEVEL 2・一定の範囲で利用者さんのニーズや状況の変化を把握・判断。それに応じた介護を実施できる
・基本的な知識・技術を用いて、決められた手順に従った基本的な介護を行える
LEVEL 1介護職員初任者研修など、介護職として働く上で必要な基本的な知識・技術を修得

アセッサー講習受講の要件や方法とは?

アセッサーになるためには、講習を受ける必要があります。ここからは、アセッサー講習を受講する方法について見ていきましょう。

アセッサー講習の受講要件

アセッサーになるためには、次の5つの要件のうち、いずれかの要件を満たしていることが必要です。

1介護プロフェッショナルキャリア段位制度でレベル4以上に認定されている
2介護福祉士としての3年以上の実務経験および、介護福祉士実習指導者講習会を修了している
3・介護福祉士・助産師・看護師・保健師の資格取得後、10年以上の実務経験がある ・介護福祉士養成施設等で、介護領域の科目を5年以上教授、または指導経験がある
4介護福祉士・助産師・看護師・保健師の資格取得後、5年以上の実務経験をもち、介護技術講習指導者養成講習を修了した
5サービス提供責任者・主任・介護部門のリーダーなど

なお、2~5の要件は当面の暫定的なものとのこと。1以外の要件で受講する方は、できるだけ早くご自身も介護プロフェッショナルキャリア段位制度にて、レベル4の認定を受ける必要があります。

アセッサー講習の受講方法

アセッサー講習は、インターネットを介して学習を行うe-ラーニングを用いて実施されています。パソコンなどの環境がそろう場所であれば、自宅や事業所でも受講することが可能です。テキスト学習とe-ラーニングを終了後、トライアル評価を行い、確認テストを受けると合否通知が発行されます。

なお、2022年1月時点では、年内に2回の講習申し込み受付期間が設けられる予定とのこと。受講を希望する方は、一般社団法人シルバーサービス振興会の公式ページにて、最新の日程などを確認することをおすすめします。

アセッサーのスキルを人材育成や指導に活かそう!

介護職員を、全国共通の基準で評価し、個々のスキルアップを図る人材であるアセッサー。客観的な評価基準が示されていることから、人材育成や指導に活かせるスキルと言えるでしょう。講習を受けるためには一定の要件を満たす必要がありますが、アセッサーになると感覚だけではない根拠にもとづいた指導が行いやすくなります。人材育成や指導を行う方は、ぜひ受講を検討してみましょう。

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