仕事付き高齢者向け住宅で入居者の生きがいを創出!介護職員のメリットは?
仕事付き高齢者向け住宅は、要支援・要介護の施設入居者さんに仕事を提供し、生きがいや居場所を創出してもらうことを目的につくられた取り組みです。仕事をすることで、コミュニケーション量が増えたり、自己肯定感が得られたりと、入居者さんにはさまざまなメリットがあります。では、介護職員にとってはどのようなメリットがあるのでしょうか?また高齢者シェアハウスとは、どのような点が違うのでしょうか?介護職員サイドの疑問を解決していきましょう。
目次
【簡単に解説】仕事付き高齢者向け住宅とは?
仕事付き高齢者向け住宅とは、生活支援や介護を必要とする入居者さんに仕事を提供しようという試みから生まれた事業です。介護サービスを受けている状態であっても、仕事を通じて生きがいを見出してもらうことを目的としています。入居者さんの行う仕事とは、レクリエーションではなく、収入を得る「仕事」であることが特徴です。2017、2018年度には経済産業省が提唱する「健康寿命延伸産業創出推進事業」のモデル事業としても採択されました。
似た施設に、高齢者シェアハウスがあります。高齢者シェアハウスは一般的なシェアハウス同様、トイレやキッチン、お風呂などを他の入居者さんと共有して暮らす住居のこと。手すりやスロープが設置されていたり、寝室の近くにトイレが設置されていたりと、高齢者が暮らしやすいように設備や間取りが工夫されています。仕事付き高齢者向け住宅との違いは、介護サービスが付いていないこと。高齢者シェアハウスは基本的に、身の回りのことは自分でできる高齢者が入居対象者となります。
【実例】仕事付き高齢者向け住宅の入居者さんはどんな仕事をするの?
仕事付き高齢者向け住宅では、要支援・要介護1・要介護2の方はもちろん、車椅子を必要とする要介護3の入居者さんも仕事をします。では、一体どのような仕事をしているのか、実例をご紹介しましょう。
- 野菜作り:栽培・収穫・販売までの全工程
- 保育園での作業:児童の散歩補助、食事の盛り付け、掃除など
- レストラン:テーブル拭きなどの開店前準備、客に提供する漬物作り・盛り付け
- アクセサリー作り
野菜作りをはじめとする農業は、大変な仕事のようにも思えます。しかし、かがんだ状態での作業が必要ない高床式の畑であれば、車椅子の入居者さんでも仕事をしやすい環境が整えられるそうです。
仕事付き高齢者向け住宅で働く介護職員のメリットとは?
介護職員にとって、入居者さん全員が楽しめるレクリエーションを企画・実施することも大きな仕事のひとつ。しかし、日々働きながら入居者さん全員が楽しめるレクリエーションを考えるのは大変ですよね。また住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の入居者さんには、要支援の方から介護度の高い方までおられるため、行えるレクリエーションも限られてしまいます。
その点、仕事付き高齢者向け住宅では「仕事」を提供するので、レクリエーションを企画する機会は少なくなるでしょう。入居者さんの中には、「仕事がしたい」という積極的な思いを持たれている方もいます。介護職員任せではなく、能動的にアイデアを出してくれる機会も多いはず。レクリエーションではなく、あくまでも仕事という位置付けなので、介護職員のサポートも最小限に留められるのがメリットです。
仕事付き高齢者向け住宅のモデル施設の紹介
仕事付き高齢者向け住宅は、2017年より「社会福祉法人 伸こう福祉会」と「東レ建設」によってモデル事業が開始された、比較的新しい取り組みです。その先駆けとしてモデル施設となったのが、「社会福祉法人 伸こう福祉会」が運営する介護付き有料老人ホーム「クロスハート湘南台二番館」。2017年12月~2018年2月の期間で、86~97歳の計15人の入居者さんが仕事に従事しました。
同ホームからほど近い場所に、「東レ建設」が所有する高床式砂栽培農業施設があり、その施設で入居者さんが葉物野菜の栽培・収穫・販売を実施。また「社会福祉法人 伸こう福祉会」が運営する保育園にて、園児の散歩補助などを行ったそうです。
仕事付き高齢者向け住宅で生きがいを見出すサポートをしよう
仕事付き高齢者向け住宅は、入居者さんが介護サービスを受けつつ、自分の生きる価値を見出したり、自己肯定感を高めたりといった効果が見込める優れた取り組みです。まだ始まったばかりの事業なので、導入している施設は少ないものの、今後全国的に広まって行くことが期待されています。入居者さんの「仕事がしたい!」という気持ちを応援したい方は、ぜひ就職先として検討してみてはいかがでしょうか。