高齢者の熱中症対策6つ!室内でもなりやすい原因もチェック
梅雨入り以降は、蒸し暑く感じる日が増えてくる時期。高齢者は熱中症になりやすく、介護スタッフや周囲の方は配慮が必要です。熱中症は屋外で起こるイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実は室内で起こるケースも少なくありません。高齢者が室内でも熱中症になりやすい原因や、高齢者の熱中症対策をチェックしていきましょう。室内でできる熱中症対策を中心にご紹介していきます。
室内でも高齢者の熱中症は注意が必要!
高齢者は室内でも熱中症になりやすいため、暑い季節は特に警戒が必要です。
高齢者は熱中症になりやすい
高齢者は熱中症になりやすい傾向があります。東京都福祉保健局の集計によると、2021年の夏(6~9月)に東京都23区内で亡くなった熱中症患者のうち、約9割にあたる方が高齢者(65歳以上)でした。
高齢者が熱中症になりやすい原因を解説していきましょう。
<高齢者が熱中症になりやすい原因3つ>
- 体内の水分が不足しがち
- 暑さや喉の渇きを感じにくい
- 体温調節機能が低下している
高齢者は体内の水分量が若い方と比較して少なく、尿などで排出される量も多いため、日頃から水分が不足しがちです。さらに、年齢を重ねるごとに感覚機能が低下し、「暑い」「喉が渇いた」といったことを感じにくくなっていきます。また、汗をかきにくいため、体の中の熱を放出しにくいという特徴も。これらの原因から、高齢者は熱中症になりやすいのです。
高齢者の熱中症は室内で起こっている
高齢者の熱中症は、室内で起こるケースがほとんどだとご存知でしょうか。前項でもご紹介した東京都福祉保健局の集計によると、熱中症で亡くなった高齢者のうちの約9割が室内で熱中症を発症していました。
こうした事例では、エアコンを使用していなかったケースが多いようです。暑さを体感できなかったり、電気代がもったいないと感じてしまったり、なんらかの理由でエアコンをつけない高齢者が多いことが原因のひとつとして考えられます。
高齢者の熱中症対策には、室内の温度調節や適したタイミングで水分補給を行うなどが必要です。具体的な対策例をチェックしていきましょう。
室内での高齢者の熱中症対策6つ
高齢者の熱中症対策でポイントとなるのは、室温の管理や、水分補給、体温調節に対するケアです。室内でできる具体的な熱中症対策をご紹介していきましょう。
対策1:エアコンを意識的につける
室内でできる高齢者の熱中症対策として大きなウエイトを占めるのが、室温の管理です。高齢者の自宅や、介護施設の居室などにクーラーが設置してあれば、迷わず使用しましょう。夏場の室温の目安は28度と言われています。可能であれば室内に温度計を設置して、いつでも室温を目で確認できるようにしておくと良いでしょう。また、直接冷房の風が高齢者に当たらないよう、風向きを調節することもポイントです。
対策2:風の通り道をつくる
室温を下げる工夫として、風の通り道をつくる方法も。窓と出入り口のドアを開放するなど、室内の2ヵ所を開けると風が通りやすくなり、屋外の涼しい風を取り入れることができます。扇風機やサーキュレーターをあわせて活用するのも良いですね。クーラーがない部屋や、クーラーが苦手な高齢者に対しては、このようにして室温を調節していく方法がおすすめです。
対策3:涼しい服装にする
暑い日は意識的に涼しい服装をすることも大切。いつも同じ服装ではなく、季節や環境に応じた服装で過ごせるよう、サポートしましょう。
対策4:水分補給をルーティーンにする
こまめな水分補給も熱中症対策において重要です。「室内にいるからあまり飲まなくても大丈夫では」と感じる方もいるかもしれません。しかし、高齢者は喉の渇きを感じにくく、水分補給のタイミングとしては「喉が渇いた」と感じてからでは遅いとも言われています。
そのため、高齢者の水分補給は「起床後・朝食時・休憩時・昼食時…」など、ある程度タイミングを決めてルーティーンにしてしまう手段がおすすめです。水分量の目安としては、1日のうちで200ミリリットルの水分補給を7回行えれば十分でしょう。
水分補給は冷たい飲料である必要はありません。温かいお茶や味噌汁などのスープ類でも良いでしょう。多く汗をかいているときは、脱水を予防するために適度な塩分を含んだ飲料(スポーツドリンクや経口補水液など)も取り入れていきたいですね。
対策5:ポータブルトイレを設置する
高齢者の中には、「トイレに行きたくなると困るから水分はあまりとりたくない」という方もいます。「自分でトイレに行くのが大変だから」「誰かに介助してもらわないとトイレに行けないから」と飲み物を我慢してしまうのです。
トイレに対する心理的なストレスを減らして、しっかりと水分補給ができるよう環境を整えることも、高齢者の熱中症への対策として有効でしょう。そこで活躍するのがポータブルトイレです。持ち運びできる簡易型のトイレを介護ベッドの横や身近な場所に準備しておくなどの工夫で、トイレのストレスを減らすことができます。
日常的に家族や介護者が近くにいる環境であれば、こまめにトイレの声かけやサポートをすることも心がけたいポイントです。
対策6:保冷剤など冷却グッズをうまく活用する
高齢者の熱中症対策で冷却グッズを活用する方法もあります。体温調節が難しい高齢者の体温を少しでも下げる工夫として、保冷剤をスカーフなどに巻いて首の後ろに当てるなどがおすすめです。
また、近年「手のひら冷却」も注目されています。スタンフォード大学などで、手のひらを冷やすと体温が下がるという研究結果が出ているそうです。手のひらを冷却する際は15度前後が効果的と言われています。保冷剤を使用する場合は冷たく感じすぎないようタオルやハンカチで巻いて手で持つと良いでしょう。暑くて眠れない就寝時などでも応用できる方法です。
対策を講じて高齢者の室内での熱中症を防ぎましょう
高齢者は熱中症になりやすい特徴があります。また、高齢者の熱中症の多くは室内で起こっているため、「炎天下じゃないから大丈夫」と気を緩めず、日頃から警戒が必要です。高齢者の室内での熱中症対策のポイントは、室温管理と水分補給と体温の調節。今回ご紹介した対策方法を、ぜひ室内での熱中症予防のヒントにしてください。