介護におけるショートステイ(短期入所生活介護)とは?詳しい種類や内容を解説

介護の現場でよく耳にするショートステイ(短期入所生活介護)ですが、どんな内容の介護サービスなのか、意外と知らない方もいるはずです。また、実はショートステイには、短期入所生活介護だけでなく、いくつか種類があります。そこで今回は、ショートステイの詳しい内容を簡単にわかりやすくご紹介しつつ、3つあるショートステイの種類についても解説。また、それぞれの特徴や人員体制など、知っておくと役立つ情報も一緒にお届けしましょう。

【簡単に解説】ショートステイとは?

ショートステイとは、介護施設で暮らす入居系介護サービスとは違って、短期間だけ介護施設で高齢者に介護サービスを提供することを指します。利用者さんは1日単位で利用することができ、食事や入浴などの介護を行うサービスです。サービスの提供期間は、最短で1泊か、最長で30日間まで、連続して提供することができます。デイサービスとは違って、ショートステイはホテルのように宿泊を含めて利用してもらうことが可能です。主に、在宅介護をしている方で、子どもの世話や仕事などの都合でどうしても自宅で介護できなくなった際に活用する方が多いようですね。また、病院から退院後、利用者さんの生活リズムを整える目的や、将来の介護施設への入居に備えるためなど、さまざまなシーンでショートステイが活用されています。

このように限られた短い期間だけ介護施設で提供される介護サービスがショートステイです。ショートステイは短期入所生活介護・短期入所療養介護・介護保険適用外の3種類に分けられます。どのように違うのかを次に解説していきましょう。

短期入所生活介護とは?

まずひとつめは、短期入所生活介護について解説します。

短期入所生活介護の特徴

短期入所生活介護は、主に介護をメインに行っている点が特徴のショートステイです。要介護者の心身の機能をできるだけ維持するためや、精神的な負担を減らすためのサービスを提供しています。介護者であるご家族が仕事や冠婚葬祭などの都合で介護できない場合や、ご家族の精神的な負担を軽減するためにも活用されるサービスです。短期入所生活介護は、介護老人保健施設や介護保険療養型医療施設、療養病床を持っている病院や診療所などで行っています。

短期入所生活介護で提供するサービス

短期入所生活介護でのサービスは、食事や入浴といった日常生活のサポートやリハビリなどの機能訓練がメインです。また、施設によっては、レクリエーションサービスを提供している場合もあります。昼間の利用はもちろん、夜間も介護サービスを受けることが可能です。短期入所生活介護は、できるだけ自宅での生活に近い形で過ごせるよう、介護スタッフなどがサポートを行います。

短期入所療養介護とは?

続いては、短期入所療養介護の詳細をチェックしていきましょう。

短期入所療養介護の特徴

短期入所療養介護では、介護スタッフだけでなく、医師や看護師による医療的なケアを行うことが特徴です。要介護者がもっている能力に応じた自立した生活が送れるよう、医療的な介護や訓練を行います。必要であれば、投薬をすることも可能です。要介護者がどの様な生活を送っているかなどを把握するため、短期入所療養介護のサービスを契約する前に、介護スタッフが要介護者の自宅を訪問する場合もあります。

短期入所療養介護で提供するサービス

短期入所療養介護では、介護スタッフのサポートだけでなく、医師や看護師による医療ケアやリハビリといった、専門的な知識を必要とするサービスを提供しています。もちろん、短期入所生活介護のように、食事の提供や入浴といった日常生活のサポートを行うことも可能です。

介護保険適用外サービスとは?

ここでは、介護保険適用外サービスの詳しい内容をご紹介していきます。

介護保険適用外サービスの特徴

介護保険サービスは、介護保険法によって、提供できるサービスが厳格に定められています。例えば、掃除や洗濯、衣服の整理、食事や入浴のサポート、入浴介助に排泄介助などのサービスは提供可能。一方で、同居する利用者さんのご家族の援助とみなされる掃除や洗濯といった家事、趣味のための散歩の付き添いなどは提供できません。このように介護保険サービスで提供できない点を補うためのものが、介護保険適用外サービスです。

介護認定を受けている方・受けていない方どちらも利用できるのが特徴のひとつです。介護保険適用外サービスは、地方自治体が実施しているサービスや民間企業が行っているサービスなど、さまざまな機関が提供しています。短期入所生活介護や短期入所療養介護のように施設に来てもらうのではなく、スタッフが利用者さんの自宅を訪問することが多いです。

介護保険適用外サービスで提供するサービス

介護保険適用外サービスでは、移送や送迎、散歩や趣味などの付き添いといったサービスを提供します。また、訪問美容師や、認知症の方の見守りといったサービスを提供することも可能です。介護保険サービスでは、基本的に同居しているご家族がいる場合には、掃除や洗濯といった生活援助を行うことはできません。介護保険適用外サービスを利用することで、利用者さんはもちろん、同居するご家族についても、さまざまな面からサポートすることができます。

介護保険適用外サービスとしてショートステイを利用する

「介護保険を使わずにショートステイを利用する」ということは、簡単にいえば介護サービスを提供している施設に自費で泊まるということです。利用者さんからすると、保険を使わないぶん費用は割高ですが、条件が厳しくない(介護度や年齢に関係なく利用できる)ので、急に必要に介護サービスが必要になった場合に、部屋さえ空いていれば柔軟に対応してもらえるというメリットがあります。

逆に、短期入所生活介護と短期入所療養介護は、要介護認定を受けている人しか利用できません。

ショートステイの医療体制は?

ショートステイでは、医師や看護師、資格を持った介護スタッフなどが配置されているので、安心できる医療体制が整っているといえるでしょう。例えば、短期入所療養介護では、主に介護老人保健施設や介護保険療養型医療施設、療養病床を持っている病院や診療所などで提供しているサービスです。そのため、病気の治療が必要な要介護者が安心して利用できる配慮がなされています。

また、短期療養介護だけでなく、短期入所生活介護のショートステイを行っている施設でも、医師が常駐している場合があり、医療体制にはあまり心配いらないでしょう。介護保険適用外サービスは、医師がいない場合もありますが、きちんと研修を受けたスタッフや介護福祉士なとの資格保有者が介護を行うため、介護を必要としている方々に安心して利用してもらえるでしょう。

医師や看護師など、ショートステイの職員の種類と人員配置は?

短期入所生活介護のショートステイでは、医師や生活相談員、介護もしくは看護職員や栄養士などの職員の配置が必要です。厚生労働省の資料「短期入所生活介護及び

短期入所療養介護(参考資料)」によると、医師は利用者さんの人数に関係なく各施設に1人、生活相談員は利用者さん100人に対して1人以上となっています。また、介護もしくは看護職員は利用者さん3人に対して1人以上、栄養士は利用者さんが40人以上いる場合に1人以上必要です。

短期入所療養介護では、介護老人保健施設や介護保険療養型医療施設、療養病床を持っている病院や診療所でのサービス提供となります。それぞれの施設の人員基準にのっとった人員配置が必要です。

ショートステイの利用者さんの費用感は?

ショートステイでは、短期入所生活介護がリーズナブルな価格設定であることが多いようです。短期入所療養介護は医療ケアを行うため、利用料金を高く設定している傾向があります。また、追加で特別なサービスを受けた場合や、施設ごとにサービス提供体制によっては、利用料金に加算されることもあるようです

短期入所生活介護と短期入所療養介護は、居室の種類によっても料金が異なるため、利用者さんやそのご家族の希望によって料金に変動があることも覚えておきましょう。食費や住居費は自己負担ですが、世帯収入によって公費補助がありますので、覚えておきましょう。

介護保険適用外サービスは、基本的に自費負担となるため、ほかの2つのショートステイに比べて利用料金は高く設定されています。

ショートステイの知識を正しく身に付けよう

ひとくちにショートステイとっても、短期入所生活介護や短期入所療養介護、介護保険適用外サービスの3つの種類があることがお分かりいただけたと思います。それぞれのショートステイは、違った特徴やサービス内容のため、まずはしっかりと把握しましょう。

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