高齢者の夏バテの症状とは?兆候を見逃さず早めに対策を
暑い夏は高齢者にとって厳しい季節。「近ごろ、利用者さんの元気がない…」と感じる場合、夏バテの可能性があるかもしれません。この記事では高齢者の夏バテで現れやすい症状を解説し、日頃からできる夏バテ対策をご紹介していきます。また、夏バテを引き起こす条件と熱中症を引き起こす条件には共通点があるため、あわせて警戒していきましょう。
高齢者の夏バテの兆候や特徴と警戒したい熱中症との関係
まずは高齢者の夏バテを見逃さないよう、夏バテの兆候と思われる症状や特徴をチェックしていきましょう。夏バテと熱中症との関係もご紹介していきます。
高齢者の夏バテの症状
高齢者の夏バテで主に現れるのは以下のような症状です。
<高齢者の夏バテの症状>
- 胃腸の不調
- 食欲の低下
- 不眠
- 肩こりや腰痛
- 体のだるさ、重さを感じる
暑い日が続くと自律神経が乱れ、胃腸の働きが悪くなり、食欲が低下するといった症状が見られます。さっぱりしたものばかりを食べていると、栄養が偏り、胃腸が冷えてしまう悪循環に陥ることも。自律神経の乱れは不眠や血行不良なども引き起こします。肩こりや腰痛を感じることに加え、体がだるい、重いといった不調を訴えることもあるでしょう。
高齢者は感覚機能の低下で暑がることが少なく、気づかないうちに夏バテになっていることもあります。高齢者は、ひとたび夏バテの症状が出ると回復に時間がかかり、不調が持病を悪化させてしまう可能性も。介護スタッフは日頃から積極的に利用者さんの健康状態を把握し、サポートしていくことが重要です。
夏バテと熱中症
高齢者は熱中症にもなりやすいため、夏バテで体力が低下しているときはあわせて警戒が必要です。高齢者に熱中症が多い理由を確認していきましょう。
<高齢者に熱中症が多い理由>
- 感覚機能が低下している
- 体温調節機能が低下している
- 体内の水分が不足しがち
高齢者は、暑さを感じにくい、喉の渇きを感じにくい、体温調節機能が低下して汗をかきにくい、体内の水分量がもともと少ない、といった特徴があります。脱水症状や熱中症は小さな子どもから高校生、働き世代などさまざまな年代で起こりますが、80歳以上は特になりやすい年齢でもあり、注意が必要です。
日頃から体力が低下している、食欲がない、居室が暑い、など体調や環境が整っていないと夏バテから熱中症になってしまうこともあります。暑い季節は夏バテや熱中症にならないために、しっかりと対策をとることが重要です。特に独居老人は夏バテや熱中症を引き起こしても気づかれないことが多いため、日頃から周囲がサポートすることが重要でしょう。
高齢者の夏バテ対策のポイントは【水分・栄養・運動】
高齢者の夏バテを防ぐには、暮らしの中で以下の3つを意識することが重要です。
<高齢者の夏バテ対策ポイント3つ>
- 水分補給
- 栄養のある食事
- 適度な運動
夏バテしないために、日頃からこまめに水分補給をすることが大切です。水分補給の目安は、1日に1,000~1,500ミリリットル。多いように感じますが、200ミリリットルの飲料を1日に6回~7回程度飲む、と考えると実行しやすいでしょう。食事時やおやつの時間にプラスして、起床時や入浴前後、就寝前などのタイミングで飲む習慣を作ることがおすすめです。温かいスープやゼリーなど、水分補給の方法を工夫すれば苦痛に感じないでしょう。
夏バテ対策には栄養のある食事も重要。冷たいものばかりを食べていては胃腸の働きが弱ってしまうため、適度に温かい食べ物も取り入れてください。肉、魚、大豆製品などからタンパク質をしっかりと摂取し、野菜も食べ、バランスの良い食生活を心がけましょう。
適度な運動で体を動かすと血行が促され新陳代謝がアップします。肩こりや腰痛対策としても適度な運動は大切。炎天下を避けて涼しい時間帯に日影をウォーキングしたり、家の中でできる簡単な筋トレやストレッチを取り入れたり、負担にならない程度に体を動かしましょう。椅子に座って両足のひざを伸ばす、といった簡単な運動もおすすめです。
ご紹介した3つのポイントのほかにも、高齢者の夏バテ対策としてできることがあります。たとえば住居環境の整備。室温28度を目安に、夏はクーラーや扇風機をうまく活用して涼しい環境を整えましょう。
高齢者の夏バテは放置厳禁!症状を把握してサポートを
高齢者の夏バテは、持病の悪化や熱中症につながるケースがあるためあなどれません。夏バテは「なんとなく不調だけどいつものこと」と我慢してしまう高齢者が多い特徴があります。介護スタッフは高齢者のちょっとした変化や症状を見落とさないよう注意し、率先してケアやサポートをしていきましょう。