加齢黄斑変性とはどんな病気?予防策や治療方法も

毎年10月10日は、「目の愛護デー」。豊かな生活を送るためには、目の健康が欠かせません。その一方で、白内障や緑内障など、目の病気に悩む高齢者の方も多くいらっしゃいます。なかでも、「加齢黄斑変性」は、近年増加する高齢者の失明原因のひとつ。介護スタッフの方も、耳にしたことがあるのではないでしょうか?そこで今回は、「加齢黄斑変性」とはどのような病気か、治療法や予防策も解説します。

加齢黄斑変性とは

加齢黄斑変性は、文字通り「目の中の黄斑という組織が、加齢とともにダメージを受け起きる疾患」のこと。
加齢黄斑変性は高齢者に多いのが特徴で、「緑内障」や「糖尿病網膜症」とともに、高齢者の失明原因として注意が必要です。

加齢黄斑変性の症状は?

黄斑は、人が物を見るのに極めて重要な部位です。そのため、加齢黄斑変性になると、以下のような症状が現れます。

  • 物がゆがんで見える
  • 視野の中心が暗くなる
  • 視野が欠ける
  • 視力が低下する

視野の中心部が見えにくくなるのは、黄斑が網膜の中心部にあるためです。患部に大きな出血が起きれば、さらに広い範囲が見えにくくなってしまいます。

加齢黄斑変性の原因は?

加齢黄斑変性は、大きく分けて2種類あり、種類によって原因が異なります。
加齢が原因で黄斑が縮んでしまう「萎縮型(いしゅくがた)」と、本来ないはずの血管(新生血管)ができて、黄斑にダメージを与える「滲出型(しんしゅつがた)」です。

  • 加齢による目の老廃物処理機能の衰え
  • 紫外線
  • 喫煙
  • 遺伝
  • 食生活の乱れ

これらの要素も、加齢黄斑変性の一因ではないかと考えられています。

加齢黄斑変性を予防するには?

加齢黄斑変性の予防には、眼科での定期検診がおすすめです。
加齢黄斑変性は、初期は自覚症状が少なく、気づいたときには症状が進んでいることも…。自覚症状がなくても、定期的に眼科で検査を受けるようにしましょう。

  • 高齢である
  • 喫煙習慣がある
  • 身内に加齢黄斑変性の方がいる

以上の項目に当てはまる方は、特に注意が必要です。
また、日々の生活のなかでできる予防策としては、以下のような取り組みも挙げられます。

禁煙

喫煙は、加齢黄斑変性の前兆とされる「網膜への老廃物の蓄積」や「網膜細胞の色素異常」を促すとされています。早めの禁煙を心がけましょう。

紫外線対策

太陽光に含まれる紫外線も、加齢黄斑変性の要因のひとつとされています。帽子やサングラス、日傘などを身につけ、紫外線から目を守りましょう。

肥満解消

欧米では、加齢黄斑変性と肥満の関連性が重視されています。肥満になると動脈硬化が起きやすくなり、黄斑のある網膜の血流が悪くなってしまうからです。肥満気味の方は、バランスのよい食生活を心がけ、定期的に運動しましょう。

食生活の見直し

加齢黄斑変性を予防するには、目によいとされる栄養素を積極的に取り入れましょう。
ビタミンCやビタミンE、亜鉛などの栄養素は、活性酸素の影響から網膜を守ってくれます。ルテインやゼアキサンチンは、黄斑のはたらきを補う効果も。
これらの栄養素は、ほうれん草やにんじん、かぼちゃなどの緑黄色野菜に豊富に含まれています。ときには、サプリメントも活用しながら、目にやさしい食生活を心がけましょう。

加齢黄斑変性の治療方法は?

加齢黄斑変性の治療方法は、「萎縮型」と「滲出型」でそれぞれ異なります。

「萎縮型加齢黄斑変性」の治療

萎縮型加齢黄斑変性は今のところ有効な治療法がないため、サプリメントの服用や生活習慣の改善を行います。萎縮型から滲出型に移行する可能性もあるため、定期的な検診が必要です。

「滲出型加齢黄斑変性」の治療

滲出型加齢黄斑変性の治療法は、大きく分けて3種類あります。

  • 抗血管新生療法…薬剤を眼球に注射して新生血管を沈静化する方法です。「抗VEGF療法」とも呼ばれます。麻酔をするため、痛みはほとんどありません。入院せず外来でできる治療です。
  • 光線力学的療法…光に反応する薬剤を体内に注射し、薬剤が新生血管に到達したら、微弱なレーザーを照射して、新生血管を破壊します。
  • レーザー光凝固術…新生血管を直接レーザーで破壊し、黄斑へのダメージを緩和する方法です。

加齢黄斑変性の予防は周囲の協力も大切!目の健康を守ろう

加齢黄斑変性は、失明につながることもある重大な目の病気です。しかし、研究に伴い有効な治療法や予防策も開発されています。
加齢黄斑変性を予防するには、定期的な通院や生活習慣の改善など、周囲の人々の協力が大切です。介護スタッフの方は予防策を理解し、利用者さんの目の健康を守りましょう。

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