介護施設でできる医療行為とは?職種別でできることを一覧でご紹介

介護施設で行われる医療行為。介護スタッフとして何ができるか把握できていますか?この記事では、介護施設で行う医療行為を一覧で紹介します。医師しかできないもの、看護師が行うもの、介護スタッフができるものをそれぞれピックアップしました。看護師にお願いされたけど、このケアは介護職がしてもいいの?そんな疑問や不安を抱えた経験をした方も多いはず。では、介護施設でできる医療行為を確認していきましょう。

そもそも医療行為とは?

医療行為とは、医師や看護師など専門的な資格を持つスタッフが、医療の知識や技術をもって行う行為のことです。医療的ケアと呼ばれる、生活に必要な医療的援助(血圧測定や服薬管理など)も含まれています。

介護施設で行う医療行為は大きく分けて3つ

介護施設で行われる医療行為は、医師によるもの・看護師によるもの・介護職によるものの3つに分けられます。基本的に介護職には禁止されている医療行為ですが、例外として一部認められているものがあるので確認していきましょう。

介護施設で介護職ができる医療行為の一覧

介護職ができる医療行為は、主に8種類あります。日常日常生活に密接した処置やケアが多いことが特徴です。

  • 体温、血圧測定(自動血圧測定器を使用)
  • 軟膏を塗る(床ずれ治療目的のものは除く)
  • 湿布を貼る
  • 軽い傷の処置(絆創膏を貼って対応できる程度のもの)
  • 内服管理・介助(一包化したもの)
  • 目薬を入れる
  • 座薬を入れる
  • 鼻腔内に噴射して使用する薬の介助

爪切りは医療行為に入らないの?と疑問に思う方もいるかもしれませんが、爪自体や爪周囲の皮膚の異常、糖尿病などの既往歴がなければ、医療行為に入りません。日常生活のケアとして認識しておくと良いでしょう。ただし、上記条件に当てはまらない場合は、爪切りも看護師や医師に委ねる必要があるので注意が必要です。

また、介護職で提供できるサービスの質を強化させるために、「認定特定行為業務従事者」という認定制度が2012年に設けられました。この制度の認定を受けることによってできるようになった医療行為は2つあります。

  • 喀痰の吸引
  • 経管栄養(胃ろう、腸ろうなど)

どちらの医療行為も、必要としている利用者さんは多いですよね。この認定を受ければ、すぐ吸引したいのに看護師の手が空かない!といった場面に遭遇したときも自分で対処をすることができます。介護職におけるステップアップとして、認定特定行為業務従業者の認定を目指すのも良いでしょう。

介護施設で看護師ができる医療行為の一覧

介護施設で看護師が行う医療行為は、主に以下のものです。

  • インスリン注射…血糖値を下げるホルモン・インスリンを注射する行為。糖尿病の方に行う治療方法のひとつ
  • 中心静脈栄養…心臓に近い静脈に挿入されたカテーテルに点滴で栄養を注入する行為
  • 経管栄養
  • 喀痰の吸引
  • 人工呼吸器の管理…自力での呼吸が困難な方に使用する機械の管理
  • 床ずれの処置…褥瘡(じょくそう)と診断された部位の管理(軟膏処置など)
  • 在宅酸素療法の管理…自力で酸素を取り込めない方が、鼻などに装着したチューブから酸素を取り込む治療の管理
  • ストーマ装具の貼り替え…人工肛門に使用する排泄物を受ける装具を、必要時交換する行為
  • 導尿やバルーンカテーテルの管理…自力で排泄できない方に対し、膀胱に溜まった尿を排出できるよう入れたチューブの管理

介護職より、医療的知識が求められる行為が多いことが特徴です。夜間に看護師が常駐していれば、上記のような処置やケアが必要な利用者さんが入所できる施設ということになります。施設に常駐するスタッフで提供できる医療行為に幅があることを認識しておきましょう。

介護施設で医師ができる医療行為の一覧

最後に、介護施設で医師にしかできない医療行為の一覧です。

  • 経過の観察および診察
  • 注射、点滴
  • 人工透析
  • 処方箋の発行
  • 応急処置

介護施設では、医師がいても医療施設よりできる行為が少ないことが分かります。病院のように設備や機器がそろっているわけはないため、医師がいるから何でもできるわけではないことを念頭に置いておきましょう。

医療の充実度は施設の人員配置により異なる

介護施設の医療の充実度は、専門スタッフの配置数により異なります。では、スタッフの配置定数は、介護施設ごとでどのように違うのでしょうか。
専門スタッフの数は、入所する利用者さんの数により配置定数が定められています。例えば5:1以上なら、利用者さん5人に対し、専門スタッフが1人以上必要という意味です。では、公的施設、民間施設それぞれどのような配置基準になっているのかチェックしていきましょう。

公的施設

介護施設の種類特別養護老人ホーム介護老人保健施設介護医療院(Ⅰ型)介護医療院(Ⅱ型)
医師の配置義務健康管理及び療養上の指導のための必要な数100:1(常勤1名以上)48:1(3名以上)100:1
看護職員の配置義務3:1以上3:1(看護職員を2/7程度を標準)6:13:1(看護職員を2/7程度を標準)
介護職員の割合3:1以上3:1(看護職員を2/7程度を標準)6:13:1(看護職員を2/7程度を標準)

公的施設では、医師の配置が義務付けられていることが特徴です。入居者に対する看護師の配置基準も高いので、民間施設より手厚い医療を提供できる施設であることが分かります。したがって、入居する利用者さんも、必然と医療への依存度が高い方が多くなる傾向にあることを理解しておきましょう。

民間施設

介護施設の種類介護付き有料老人ホームその他の有料老人ホーム
医師の配置義務なし(任意)なし(任意)
看護職員の割合3:1(看護職員の配置義務あり)必要な数
介護職員の割合3:1(看護職員の配置義務あり)必要な数

民間施設では医師の配置義務がないため、基本的に医療面のサポートが少ないことが特徴です。しかし、介護付き有料老人ホームでは医療機関との連携が義務付けられているので、医師の配置がなくても診察を受けることが可能。さらに、緊急入院や往診可能な医療機関と連携している施設、独自サービスで医師を配置する施設なども増加傾向にあります。民間施設は、それぞれが提供するサービス内容により、医療の充実度に大きな差があることを知っておくと良いでしょう。

介護職でできる医療行為を把握しておこう

介護施設で介護職が提供できる医療行為を一覧でご紹介しました。高齢の方が利用する介護施設だからこそ、必然と必要になる医療行為ばかりであることが理解できたでしょうか。利用者さんに快適に過ごしてもらうためにも、自分がやって良いこと、悪いことを知っておくことはとても大切です。不安になりながら利用者さんと向き合うことがないよう他スタッフと連携し、安心・安全な介護を提供してくださいね。

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