認知症予防にカレーが役立つ!高齢者におすすめの理由とは
1月22日は「カレーの日」ということをご存知ですか?社団法人全国学校栄養士協議会が、1982年に「カレーを学校給食メニューに」と提供を呼びかけたことにちなんで、カレーの日が誕生しました。実は最近、カレーは子供たちのためだけではなく、認知症予防につなげたい高齢者にもおすすめであることが分かってきたのです。そこで今回は、カレーが認知症予防になるという調査結果と、なぜカレーが高齢者におすすめなのかを紹介します。
そもそも認知症とは?
認知症とは、認知機能が低下して日常生活に支障が出る状態のことです。認知症の原因は脳の病気や障害などさまざまで、認知症の種類もいくつかあります。
もっとも多い認知症はアルツハイマー型認知症です。脳の一部が萎縮するために、もの忘れするようになり進行していきます。次に多いのは血管性認知症で、主な原因は脳梗塞や脳出血など。
どの認知症も65歳未満の方が発症する若年性認知症がありますが、一般的には年をとるほど認知症になりやすいです。厚生労働省によると、2020年時点で65歳以上の認知症の方は約600万人、2025年には約700万人になると予測。これは高齢者の約5人に1人が認知症になることを意味しています。
ただし認知症は予防することができ、もし認知症を発症したとしても早期発見であれば、認知症の進行を遅らせることも可能です。
認知症予防にカレーが役立つ?!
ハウス食品グループ本社株式会社が、2021年11月にカレーと認知機能に関する調査結果を発表しました。日本人の中高齢者がカレーを長期的に、そして頻繁に食べることで良好な認知機能を保てる可能性があるというものです。
調査では、50歳以上の一般生活者に対して、調査直前1年間の短期と成人以降調査1年前までの長期でカレーを食べる頻度を調査し、認知機能との関係を調査。また、月1回未満・月2~3回・月4回以上(週1回以上)とカレーを食べる頻度でも分類しました。
結果、長期間カレーを食べる方で、頻度も月4回以上の方がもっとも認知機能が良好であることが分かったのです。短期の場合も、高頻度でカレーを食べる方のほうが、認知機能が良好という結果になりました。
なぜカレーがおすすめなのか
高齢者の認知症予防にカレーが有効である可能性が高まっていますが、どうしてカレーがおすすめなのでしょうか?ここでは、カレーがおすすめの理由について紹介します。
動脈硬化を予防
ハウス食品グループ本社株式会社では、カレーの健康機能に関する研究を行っています。2014年にはカレーが血管内皮機能を改善する効果があるという結果を発表。これによって、動脈硬化を予防するかもしれないことが分かったのです。
動脈硬化とは血管が硬くなり血栓が詰まりやすくなる病気で、脳梗塞を引き起こすこともあります。脳梗塞は認知症の原因になることもあるため、動脈硬化が予防できれば認知症の予防にもつながる可能性が高いでしょう。
PM2.5 による呼吸機能低下を改善
2019年ハウス食品グループ本社株式会社が発表した研究内容によると、カレー粉に含まれる数種類のスパイスが、PM2.5による炎症反応を抑える効果を確認。カレーを食べる機会が多い方ほど呼吸機能が維持されていることが分かり、抗炎症作用が影響していることも判明しました。
抗炎症作用は呼吸機能以外の疾患にも作用するため、抗炎症作用があるカレーを食べるほど健康を維持できる可能性が高まるというわけです。
アルツハイマー型認知症を防ぐ
カレーには数種類のスパイスが使われており、その中でもターメリックに含まれるクルクミンには、アルツハイマー型認知症を予防する効果が期待されています。
そもそもアルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドβが蓄積するために発症するといわれています。クルクミンには抗炎症作用があるだけではなく、アミロイドβが脳内に蓄積するのを阻害する役割もあるのです。
実際に、富山医科薬科大学和漢薬研究所薬効解析センターや、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームが、カレーに含まれるスパイスが、アルツハイマー型認知症を予防する可能性があるという内容の論文を発表しています。
長期間継続することで認知症予防が期待できる
高齢者の認知症予防にはカレーが有効です。しかし、カレーを食べれば認知症にならないわけではありません。毎日栄養バランスが整った食事を摂り、適度な運動をすることも大切です。認知症予防には、脳を活性化させることもポイント。利用者さんが楽しく脳を活性化できるようなレクリエーションも導入しましょう。