ケアプランデータ連携システムとは?期待される効果&メリットに注目
2023年4月から本格稼働する予定の“ケアプランデータ連携システム”。ケアプランのやり取りの効率化を図るシステムについて、知識を身に付けたい方に向けた情報をお届けします。本記事では、システムの詳細や導入により期待される効果、メリット、利用フローなど幅広い情報を詳しくご紹介。「システムを導入すると介護の現場ではどう変わるのか」「介護施設で導入するときの流れを知りたい」そんな方はぜひご一読ください。
目次
ケアプランデータ連携システムとは
ケアプランデータ連携システムは、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所間でやり取りされるケアプランの一部情報を、効率良く送受信するための情報連携基盤です。介護現場ではケアプランやサービス利用票などのやり取りを郵送・FAXで行うことが多く、時間と手間がかかっています。そこで、これまでの紙媒体でのやり取りをデータ化し、介護現場の業務負担を軽減することが、ケアプランデータ連携システム導入の狙いです。
<業務フロー>
ケアプランデータ連携システムを介して、上図のようにケアプランデータの送受信を行います。
ケアプランデータ連携システムを活用…期待される効果とメリットは?
ケアプランデータ連携システムを活用すると、“業務の効率化”と“費用効果”が期待できます。
業務の効率化 | 記載時間の削減 転記誤りの削減 データ管理による文書量削減 介護職員の負担軽減 |
費用効果 | 印刷費の削減 郵送費の削減 交通費の削減 通信費(FAX)の削減 人件費の削減 |
業務の効率化については介護職員の時間と手間の削減が大部分ですが、転記ミスがあった際の心理的負担軽減も期待できる効果のひとつ。業務を効率化すると介護職員が利用者さんのサポートにかけられる時間が増え、ケアの質の向上が期待できるでしょう。
費用効果については、厚生労働省では人件費の削減を考慮した場合、年間で約816,000円の費用が削減できると考えられています。人件費の削減を考慮しない場合でも年間で約72,000円の削減と、ケアプランデータ連携システムの活用前と比べて費用面に大きな差が出る見込みです。介護現場での費用削減が実現すれば、介護職員の新規確保・定着率向上、事業所の維持・改善のための割当額増加という相乗効果にもつながるでしょう。
ケアプランデータ連携システムの活用により期待できる効果はどれもメリットに直結しますが、以下にまとめた具体例もチェックしてみてください。
<ケアプランデータ連携システム活用のメリット>
- 郵送や書類の手渡しの作業が減る
- 書類の印刷、FAXの送信にかかる費用が減る
- 書類を手入力する手間が減る(転記ミスの削減)
- 実績と請求の管理業務が減る
- データの受け渡しを効率的かつ安全に行える(データの暗号化が可能)
現在の介護現場で紙媒体のやり取りが多いことを考えると、メリットとしては送付作業関連の負担軽減が大きいといえるでしょう。ケアプランデータ連携システムはデータを暗号化ができる点もメリットです。費用の削減はもちろん、効率良く安全にデータをやり取りできます。
ケアプランデータ連携システム導入の事前準備&利用フロー
続いて、ケアプランデータ連携システム導入の事前準備と利用フローについてご紹介します。
【事前準備】導入に必要なのは?
ケアプランデータ連携システムの導入には、システム以外にも必要なものがいくつかあります。
- PC:Windows10以降、インターネットに接続できるもの
- 介護ソフト:厚生労働省のケアプラン標準仕様に準ずるもの
- 電子証明書:介護給付費請求に使用するもの
ケアプランデータ連携システムを運用するには、データをやり取りする双方(居宅介護支援事業所と介護サービス事業所)が、それぞれ介護ソフトを導入していなければいけません。事前準備として、連携先の対応を確認しておきましょう。
【利用フロー】3ステップを確認
ケアプランデータ連携システム利用フローは、利用申請、クライアントソフトのインストール、電子証明書の確認という3ステップに分かれています。
1.利用申請 | システムの専用Webサイトから申請 |
2.クライアントソフトのインストール | 国民健康保険中央会のWebサイトを通じてクライアントソフトをダウンロード後、介護施設のPCにインストール(1事業所につき1端末) |
3. 電子証明書の確認 | 介護報酬の電子請求受付システムの利用有無を確認 |
電子証明書の確認については、利用していない場合は電子証明書を申請してダウンロードする流れになります。
ケアプランデータ連携システムの導入スケジュールと利用料金
ケアプランデータ連携システムは、利用申請から本稼働までステップごとに開始のタイミングが異なります。ここではシステムの導入スケジュールと利用料金を見ていきましょう。
【導入スケジュール】2023年4月に本稼働
ケアプランデータ連携システムは、2023年4月から利用申請の受付が開始されます。
- 4月1日:利用申請開始
- 4月14日:クライアントソフトのインストール開始
- 4月20日:本稼働開始
クライアントソフトのインストールは4月14日以降に可能です。本稼働以降、システムを利用(データの送受信)できます。
【利用料金】1年間の利用で21,000円
ケアプランデータ連携システムは、1事業所につき利用料が年間21,000円です。消費税込みの価格でライセンスの有効期限は1年間。月々の利用料金で考えると1,750円になります。
ケアプランデータ連携システムはライセンスに番号が割り振られているので、複数の介護施設を運営している場合でも、1事業所ごとに上記の利用料金がかかります。複数年にわたってケアプランデータ連携システムを利用する場合は、年間料金21,000円×年数で計算しましょう。
導入検討の際は“効果とメリット”と“コスパ”を考慮しよう
ケアプランデータ連携システムの利用料金は月々で考えると負担額は少なめです。しかし、システムの利用にはPCやソフトを用意する必要があることも、検討する際に考慮しましょう。導入することで期待される効果とメリット、事前準備にかかる費用面も含めた利用料金、どちらもふまえた上で検討することが大切です。