【認知症の介護に活かせる資格一覧】難易度は?どんな人におすすめ?
現在、認知症患者の増加の影響で介護職員向けの認知症関連資格がいくつも創設されています。認知症の利用者さんと接したときにじゅうぶんなケアができるよう、事前に資格を取っておくと安心です。本記事では、認知症の利用者さんを介護する際に役立つ資格一覧を掘り下げていきます。「介護職員としてのスキルアップに役立てたい」「認知症に関する理解を深めたい」そんな方はぜひ参考にしてください。
目次
【認知症の介護に役立つ資格一覧:その1】認知症予防レクインストラクター
“認知症予防レクインストラクター”の資格は、認知症発症の予防と遅延、進行した際の遅延目的のレクリエーションを提供できることの証明になります。認定団体は『一般財団法人日本能力開発推進協会』。得点率70%以上で合格する資格です。
資格取得後に身に付くスキルは、高齢者の心と体に関する知識、認知症の基本的な知識、認知症予防レクリエーションの企画と実践力など。認知症の方の身体・精神面の効果別レクリエーションの取り入れ方、介護現場での声掛け・進行方法の知識も学べる資格です。
認知症予防レクインストラクターとして活躍するには、『一般財団法人日本能力開発推進協会』認定の“介護レクインストラクター”の資格も取得していなければいけません。それぞれ順に取得することもできますが、介護レクインストラクターの資格を持っていない方は、2つの資格を同時に取得できる講座の利用を検討しましょう。認知症予防レクインストラクターが活躍できる場は、有料老人ホームや特別養護老人ホーム、通所リハビリテーション施設などいくつもあります。介護業界で広く活躍できる“認知症の知識豊富な介護職員”を目指す方におすすめの資格です。
<日本能力開発推進協会 認知症予防レクインストラクター>
<認知症予防レクインストラクターとは?資格取得のメリットや受講方法>
【認知症の介護に役立つ資格一覧:その2】認知症ケア専門士
“認知症ケア専門士”は、認知症介護のプロ育成のために設けられた資格です。認定団体は『一般社団法人日本認知症ケア学会』。認知症介護で求められる深い知識、倫理観、高度なスキルが身に付く資格で、認知症介護のプロであることの証明になります。資格を取得するのは、介護福祉士をはじめ、ヘルパーや看護師、社会福祉士などです。認知症ケアに対する理解の浅い現在の介護現場では、適切なケアを行っているケースが少ない状態。専門的なケア方法を指導できる認知症ケア専門士は、介護現場で重要なポストを任される可能性もあるでしょう。
認知症ケア専門士は更新制の民間資格で、5年間で30単位以上取得して資格を更新しなければいけません。認定試験の合格率は2017~2021年の5年間で約5割と難易度がやや高めですが、介護業界では知名度が高く評価されやすい・求人が豊富などのメリットもあります。介護業界で活躍したい方には有利な資格と言えるでしょう。
認知症ケア専門士の関連資格には、“認知症ケア上級専門士”や“認知症ケア准専門士”もあります。それぞれ難易度や受験資格が認知症ケア専門士と異なりますが、比較検討するのもいいでしょう。
<一般社団法人日本認知症ケア学会 認知症ケア専門士>
https://ninchisyoucare.com/senmonsi/Ssenmonsi.htm
<認知症ケア専門士の受験資格が知りたい!認定試験の合格率や難易度も>
【認知症の介護に役立つ資格一覧:その3】認知症介助士
“認知症介助士”は、認知症を正しく理解して、さまざまな事例から適切な対応方法を習得した証明になる資格です。認定団体は『公益財団法人日本ケアフィット共育機構』。認知症介助士の研修対象者は、一般の個人や企業、市民です。家庭や職場、地域のような日常生活で役立つ認知症の方への対応方法が身に付く資格で、認知症の方が安心して暮らせる環境づくりを担うポジションにあたります。
認知症介助士の認定試験合格率は非公開ですが、9割以上の想定とされ、難易度は低め。創設から2年半で資格取得者数が10,000人を超える注目度の高い資格です。認知症介助士になると、地域社会の一市民という視点で認知症の方への適切な対応方法を学べる・介護職へ転職するときのアピール要素になるなどのメリットがあります。履歴書の資格欄にも記載できるので、転職時のアピールポイントが欲しい方におすすめの資格です。介護業界間の転職や医療業界から介護業界への転職など、さまざまなケースで役立つことが期待できるでしょう。
<公益財団法人 日本ケアフィット共育機構 認知症介助士>
https://www.carefit.org/dementia/
<認知症介助士とは?資格取得のメリット・受験資格・合格率など>
【認知症の介護に役立つ資格一覧:その4】認知症ライフパートナー
“認知症ライフパートナー”は、認知症の方の生き方や経験、価値観を尊重して、その方らしく日常生活を送れるようサポートすることを目的とする資格です。サポートを行う対象者は、認知症の方ご本人はもちろん、ご家族も含まれます。認定団体は『一般社団法人 日本認知症コミュニケーション協議会』です。
認知症の基礎知識、思考や感情を理解するスキル、アクティビティの運営と計画といったさまざまなスキルが求められる認知症ケアの専門職となります。資格取得で身に付けた知識を認知症ケアに役立てるのが、認知症ライフパートナーとしての役割です。
認知症ライフパートナーは1~3級に分かれていて、難易度や身に付く知識が異なります。基礎知識の習得を目指す3級をはじめ、2級、1級とより専門的な知識が盛り込まれていく資格です。2020年に実施された試験の合格率は、3級が約66%、2級は57%、1級は25%と徐々に低くなっています。資格取得のメリットは、業務をスムーズに進めるためのスキルが身に付く、認知症の方とケアをする方のストレス軽減につながるなどです。認知症の方をケアする際の負担を減らしたい方におすすめの資格と言えるでしょう。
<一般社団法人 日本認知症コミュニケーション協議会 認知症ライフパートナー>
<認知症ライフパートナーについて知りたい!受験資格や難易度は?>
【認知症の介護に役立つ資格一覧:その5】認知症ケア指導管理士(初級)
“認知症ケア指導管理士”は、介護や医療現場で働く方の認知症に対する専門性と質の向上を目的とする資格です。
『一般財団法人職業技能振興会』と『一般社団法人総合ケア推進協議会』の共同認定の資格で、初級と上級に分かれています。初級は資格や実務経験にかかわらず誰でも受験でき、すでに介護業界で働いている方、今後働きたいと考えている方も対象です。
2010~2021年に実施された試験の合格率は約6割。受験資格の条件と合格率のハードルは上がりますが、認知症ケアの指導者としての専門性をより高めたい方は、“上級認知症ケア指導管理士”の資格取得も検討してみましょう。
認知症ケア指導管理士には、実務経験が問われないので受験しやすい・転職で有利になるなどのメリットがあります。認知症ケア加算がある特別養護老人ホームや介護老人保健施設への転職時に効果的な資格なので、転職先の候補に入れている方におすすめしたい資格です。
<一般財団法人 職業技能振興会 認知症ケア指導管理士(初級)>
<認知症ケア指導管理士はどんな資格?受験しやすい理由やメリットとは>
認知症の介護に役立つ資格一覧をチェック!資格取得の検討を
認知症の利用者さんに接するときは、気持ちに寄り添った介護を心掛けることはもちろん、じゅうぶんな知識を身に付けたうえで、行き届いたケアを行うことが大切です。資格の取得は介護職員として働く際の自信にもつながります。ご紹介した認知症関連の資格一覧を例に、“質の高いケア”を目指して取得を考えてはいかがでしょうか。