訪問看護ステーションとは?サービス内容・医療体制・設備などを解説
高齢の方はもちろん、赤ちゃんから大人まですべての世代の方の療養生活をサポートする「訪問看護」は、在宅医療において欠かせない存在と言えます。そんな訪問看護サービスを行っているのが、訪問看護ステーションです。今回は、訪問看護ステーションとはどんなところなのか、分かりやすくご紹介しましょう。訪問看護に興味のある方は、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
【簡単に解説】訪問看護ステーションとは?
訪問看護ステーションとは、看護師または保健師が管理者となり、訪問看護サービスを提供して在宅医療をサポートする事業所のことです。利用者さんは、子供から高齢者までと幅広く、訪問看護が必要と主治医に認められた方には、症状・障害の程度を問わずサービスを提供することができます。「障害や病気があるけれど、自宅で生活をしたい」「最期を思い入れのある自宅で迎えたい」など、患者さんの想いに寄り添えるのも魅力です。
一般社団法人全国訪問看護事業協会の調査によると、2020年の時点で、全国に約11,931か所の訪問看護ステーションがあると報告されています。10年前の2010年調査結果の5,731か所と比べると、約2倍に増えているのです。保険医療機関ではない独立型の事業所ですが、医療保険や介護保険が使えることから、利用者さんは年々増加傾向にあります。
提供するサービス内容とは?
訪問看護では、看護師などケアスタッフが患者さんの自宅へ訪問し、診療の補助や療養生活のサポートを行います。主なサービス内容は、以下の通りです。
健康状態のチェック
血圧・脈拍・体温などを確認し、利用者さんの健康状態を観察します。
日常生活の支援
清拭や入浴介助など清潔ケアをはじめ、食事摂取や排泄管理のケアなど多岐に渡ります。
医療的ケア
病気治療のための看護や、症状悪化予防のケアなどを行います。例えば、服薬の指導・たんの吸引・カテーテルの管理・点滴・注射・床ずれの処置など。
精神面や心理的なサポート
リラックスできるようマッサージをしたり、コミュケーションの相手になったり、精神面でもサポートを行います。
このほかにも、認知症者の看護・リハビリテーション看護・医療的ケア児の看護なども提供。利用者さんが希望する療養生活を送れるよう、さまざまなサポートを行っています。
看護師をはじめとする医療体制は?
訪問看護ステーションは、都道府県知事の指定を受け、看護師または保健師が管理者として運営しています。訪問看護のケアスタッフには、看護師はもちろん、准看護師・助産師・保健師などが在籍。主に主治医から交付される“訪問看護指示書”に基づいて利用者さんの在宅医療をサポートしています。また、理学療法士・言語聴覚士・作業療法士などを実情に応じて配置しているのも、訪問看護ステーションの特徴です。利用者さんの希望や状況に応じて、リハビリテーションに力を入れている事業所も数多くあります。
職員の種類と人員配置は?法律上の指定基準も
先述のとおり、訪問看護ステーションにはさまざまな職員が在籍しています。人員に関しては健康保険法並びに老人保健法など、厚生労働省が定めた法律上の指定基準がありますので、詳しく見てみましょう。
職員の種類
看護職員である看護師・准看護師・保健師・助産師のほか、リハビリ職である理学療法士・言語聴覚士・作業療法士など、在籍している職員の職種は多彩です。また、施設の管理者や事務職員なども働いており、職種は異なりますが、共に利用者さんの在宅医療をサポートしています。
人員配置
訪問看護ステーションの人員配置は、厚生労働省が定めた基準があります。
①看護師等の員数
- 看護職員(保健師・看護師・准看護師いずれか)を常勤換算で2.5名以上配置すること
※うち1人は常勤 - 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など実情に応じて適当数配置すること
②管理者
保健師または看護師の管理者を1名配置すること
このように、人員に関して細かく基準が設けられています。この基準を満たすことで、各都道府県知事より事業者指定を受けることが可能です。
これも知っておきたい!訪問看護ステーションの設備・種類とは?
人員に決まりがあるように、設備にも基準が設けられています。また、訪問看護には、訪問看護ステーション以外にも種類がありますので、把握しておきましょう。
訪問看護ステーションの設備
設備の基準には、2項目設定されています。
①事業の運営を行うための必要な広さを有する専用事務室を設けること
②指定訪問看護の提供に必要となる設備及び備品等を揃えること
具体例を挙げるならば、受付・相談スペース・スタッフデスク・医療機器管理スペース・車や自転車の管理スペースなどがあります。設備基準を満たしたうえで、運営しやすいよう、設備環境や動線を整えることが大切です。
訪問看護事業の種類
訪問看護を提供する事業には、訪問看護ステーションのほかに、病院や診療所が訪問看護を実施しているところもあります。大きな違いは、主治医の限定です。
例えば、病院や診療所が訪問看護を提供する場合、その医療機関を受診する患者に限定されますので、自ずと主治医は限定されます。逆に、訪問看護ステーションの場合は、独立した事業所のため、主治医の限定はありません。
ベースを知っておこう!費用感は?
公益財団法人日本訪問看護財団「日本の訪問看護のしくみ」によると、訪問看護1回に係る費用は 7,500~11,000 円であると記されています(介護保険と医療保険で異なる)。経営状況で見ると、訪問看護事業者は1人当たり1ヶ月に70~80回の訪問で、1事業所の平均収入は1ヶ月で450~500万程度になるのだそうです。利用者数と利用回数によっても変動はありますが、だいたい費用の80%は人件費の支出となっています。
訪問看護ステーションは在宅医療の要!
訪問看護ステーションとは、どんなところなのかイメージできたでしょうか。さまざまな理由で在宅医療を必要とする方々がいらっしゃいますが、訪問看護ステーションはその方たちが生活する上で欠かせない存在です。患者さんのより近くでサポートしたい、訪問看護を提供したいなど、訪問看護に興味のある方は、ぜひ訪問看護ステーションも視野に入れてみてくださいね。