凍結含浸法とは?見た目も楽しめる介護食のメリットやデメリット
凍結含浸法についてご存知ですか?広島県の特許技術で、見た目も楽しめる介護食が作れるとして話題になっています。凍結含浸法を用いれば、食材がやわらかくなるため、咀嚼する力が弱っている利用者さんや歯が少なくなった利用者さんが、ミキサー食といった介護食ではなく、一般的な料理と同じような見た目の料理が食べられるという最新技術です。そこで今回は、凍結含浸法がどういうものなのか、メリットやデメリットを含めて詳しく見ていきましょう。
凍結含浸法は広島県の特許技術!
凍結含浸法とはどういうものか、またなぜ凍結含浸法が求められているのかを紹介します。
凍結含浸法とは
これまでのやわらかい食事というと、ミキサーで細かくしたり刻んだりして提供することがほとんどでした。
凍結含浸法は、広島県立総合技術研究所食品工業技術センターが2002年に発明した特許技術です。食材の中に酵素などの物質をしみ込ませることで、食材の形を保ったまま歯茎や舌でつぶせるほどやわらかくすることができます。
この技術によって、咀嚼力が弱った方でもドロドロとした見た目の料理ではなく、通常食と同じ見た目の料理を食べられるようになったのです。
凍結含浸法が求められる理由
食事は、ただ栄養補給するだけのものではありません。目で見て食感や味わいを楽しむものでもあります。しかし、ミキサー食となると見た目が悪く、食欲がわきにくくなることも。
そうなると、家族や利用者さん同士の食事の時間を楽しめず、むしろ食事の時間が不快な時間になってしまうこともあります。食事の時間が、ただ栄養補給するだけの時間になってしまうのです。
凍結含浸法によって作った料理であれば、他の方と同じ見た目でやわらかい料理になっているため、食事の時間を楽しむことができます。メニューから季節の変化を感じたり、会話を楽しんだりすることで脳への刺激にもなるでしょう。
食事の時間を楽しめず、むしろ食事の時間が不快な時間になってしまうこともあります。食事の時間が、ただ栄養補給するだけの時間になってしまうのです。
凍結含浸法のメリット
凍結含浸法のメリットについてさらに詳しく紹介します。
形を残し見た目にも美味しそう
最大のメリットは、見た目が美味しそうという点です。食材の形が残っていることで、通常食と同じで見た目が美しく、料理を目で見て楽しめます。他の方と同じ料理を食べられるため、食事を楽しめるという点もあるでしょう。
栄養分が逃げない
一般的には、食材をやわらかくしようとすると、長時間煮たり茹でたりしなければなりません。栄養素の種類によっては栄養分が減ってしまうこともあります。しかし、凍結含浸法を用いれば、栄養分を必要以上に逃さずやわらかくすることができるのです。
消化・吸収しやすい
胃を切除した方の場合、胃酸や消化酵素が分泌されにくくなっています。そのため、たんぱく質を消化しにくくなることも。また、胃腸に不安がある方は、ごぼうやれんこんなどの食物繊維が豊富な食べ物を摂ると、消化に負担がかかります。
凍結含浸法を用いれば、たんぱく質の損失を最小限にして吸収しやすい水溶性に分解してくれるのです。食物繊維についても短時間で消化できるように変化させることができます。
凍結含浸法のデメリット
凍結含浸法はメリットだけではありません。最後に、デメリットについて見ていきましょう。
歯にくっつきやすい
弱い力で崩れるというメリットの反面、歯にくっつきやすいというデメリットがあります。口腔ケアをしっかり行わなければ、食べかすによって、虫歯や歯周病を引き起こす可能性も。食事後の歯磨きを丁寧に行うよう呼び掛けると良いでしょう。
家庭では作れない
凍結含浸法を行うには、含浸溶液や減圧するための機械が必要です。そのため、家庭で手軽に用いることはできません。小規模な施設や家庭で凍結含浸法を用いた食事を提供したいと思えば、凍結含浸法を利用して作った宅配食事を利用すると良いでしょう。
凍結含浸法で楽しい食事の時間を
咀嚼の力が弱っている方も凍結含浸法を使った料理であれば、通常食と変わらない食事を楽しめます。ミキサー食で食欲が低下している利用者さんがいれば、凍結含浸法を利用した食事の導入を検討してみるもの良いでしょう。メリットやデメリット、費用面などを考慮して検討してみてください。