主任介護支援専門員とは?需要増加中の資格を取得して活躍しよう!

「主任介護支援専門員」という資格を聞いたことがありますか?主任介護支援専門員は別名「主任ケアマネジャー」とも呼ばれ、介護業界で需要が高まっている資格です。今回は、よく混同されることもある介護支援専門員(ケアマネジャー)との違いや、主任介護支援専門員の資格を取得するための要件などをご紹介していきます。現在介護支援専門員の資格を持っている人は、主任介護支援専門員の資格を取得してステップアップを目指しましょう!

【簡単に解説】主任介護支援専門員の資格とは?

主任介護支援専門員は、2006年の介護保険制度の改正で設けられた資格です。介護支援専門員(ケアマネジャー)の上位資格で、「主任ケアマネジャー」とも呼ばれます。主任介護支援専門員の主な役割は、保健医療・福祉サービスの提供者との連絡調整や、サービス提供が円滑に行われるために知識や技術を習得することなど。介護支援専門員へのスーパービジョン(助言や指導)を行うスーパーバイザー(監督者)としての役割も担っています。

厚生労働省の調査によると、管理者が主任介護支援専門員である介護施設の割合は2016年度には44.9%でしたが、2018年度には51.2%に上昇していました。(出典:平成30年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成30年度調査))このことからも、主任介護支援専門員の需要が年々高まっていることがうかがえます。

主任介護支援専門員は、地域包括支援センターに配置が義務付けられている人員です。主任介護支援専門員が活躍できる場は、地域包括支援センターのほか、居宅介護支援事業所や特別養護老人ホームなどがあります。

主任介護支援専門員の資格取得のメリット

主任介護支援専門員の資格を取得するということは、介護支援専門員(ケアマネジャー)として豊富な経験と知識があることの証明になります。職場では、指導的立場で現場を引っ張っていく存在として、大いに頼りにされるでしょう。資格を取得することで、転職時にも有利になるほか、職場によっては資格手当がつく場合もあります。

主任介護支援専門員の配置が義務付けられている地域包括支援センターは、市町村が主体となって設置されている公的な施設です。全国に5,200ヶ所以上あり(2020年4月末時点)、総合相談窓口として幅広い事案に対応しています。専門性を活かして地域に貢献でき、職場としても安定しているため、やりがいを感じながら安心して働くことができるでしょう。

主任介護支援専門員と介護支援専門員との違いは?

主任介護支援専門員と介護支援専門員の違いは、一見するとわかりにくく感じられるかもしれません。まずは、介護支援専門員(ケアマネジャー)の業務内容を詳しく見ておきましょう。

介護支援専門員のメイン業務の1つは、介護施設や地域包括支援センターなどで、利用者さんごとの介護サービス計画書(ケアプラン)を作成することです。また、介護保険のプロフェッショナルとして、サービス事業者や市町村などとの調整を行うのも業務の1つ。介護を必要とする人と、介護サービスを提供する側のマッチングや調整を行っています。

一方、主任介護支援専門員は、介護支援専門員の上位資格者として、先ほど述べたような業務をフォローアップする存在です。介護支援専門員として積んできた経験を活かして、より広い視野で介護支援専門員に助言や指導を行います。新たに介護支援専門員となった人の育成を通して、介護業界の次世代を担う人材を育てることも主任介護支援専門員の重要な業務です。

主任介護支援専門員の受験資格は?

主任介護支援専門員の資格を取得するためには、いくつかの要件があります。

▽主任介護支援専門員の受験要件

  • 5年(60ヶ月)以上、専任の介護支援専門員として従事した人
  • ケアマネジメントリーダー養成研修を修了している人、または、日本ケアマネジメント学会が認定する「認定ケアマネジャー」で、かつ専任の介護支援専門員として3年(36ヶ月)以上従事した人
  • 主任介護支援専門員に準ずる人員として、現在地域包括支援センターに配置されている人
  • 十分な経験や知識を持つ介護支援専門員として都道府県に認められている人

(出典:第173回社会保障審議会介護給付費分科会(ペーパーレス)資料 参考資料2)

これらに加えて、都道府県ごとに独自の条件を設けている場合もあります。

主任介護支援専門員の資格を取得するためには研修を受講

主任介護支援専門員の資格を取得するための特別な試験はありません。先ほどご紹介した受験要件を満たしていれば、計70時間の「主任介護支援専門員研修」を受けることができ、これを修了すれば資格を取得できます。研修の内容と受講時間は、以下の通りです。

▽主任介護支援専門員研修

主任介護支援専門員の役割と視点5時間
ケアマネジメントの実践における倫理的な課題に対する支援2時間
ターミナルケア3時間
人材育成及び業務管理3時間
運営管理におけるリスクマネジメント3時間
地域援助技術6時間
ケアマネジメントに必要な医療との連携及び多職種協働の実現6時間
対人援助者監督指導18時間
個別事例を通じた介護支援専門員に対する指導・支援の展開24時間

(出典:第173回社会保障審議会介護給付費分科会(ペーパーレス)資料 参考資料2)

この研修は、70時間まとまって実施される訳ではありません。詳しいスケジュールは実施する都道府県によりますが、1週間に1回ずつ、約3ヶ月にわたって受講する場合が多数。これなら実務と並行してでも受講しやすいかもしれませんね。詳しくは、受験を考えている都道府県に確認してみるといいでしょう。

現在、介護支援専門員の資格を持っている人にとっては、ステップアップのためにぴったりな主任介護支援専門員の資格ですが、これから介護業界で働く人にとっては、まず介護支援専門員の資格取得を目指さなければなりません。介護支援専門員の資格の概要についても少しチェックしておきましょう。

介護支援専門員の試験は、2020年度には46,415人が受験し、8,200人が合格。合格率は17.7%でした。介護支援専門員の資格を取るためには、実務経験が必要なうえに、高齢者の心身や介護保険に関する知識まで、幅広い専門知識が必要となります。難易度の高い資格ですが、介護業界では重宝されるため、ぜひチャレンジしてみましょう。

主任介護支援専門員研修の受講料は?

主任介護支援専門員研修の受講料は、都道府県によって異なります。ここでは、中四国の自治体の受講料をまとめて見ておきましょう。
※2021年10月時点での数値です。今年度の申し込みをすでに終了している自治体もあります。

広島県62,000円
岡山県35,400円
山口県50,000円
島根県24,400円
鳥取県40,000円
香川県40,000円
愛媛県52,000円
高知県42,000円
徳島県39,400円

主任介護支援専門員研修は、都道府県によってスケジュールや定員が異なるので注意が必要です。研修を修了すれば資格が取得できる主任介護支援専門員ですが、2016年からは5年ごとの更新制となっています。更新するには「主任介護支援専門員更新研修」の受講が必要です。資格を取得して終わりではなく、取得後も継続して知識を更新していけるような仕組みが構築されています。

「主任介護支援専門員」になって、高い専門性を証明しよう!

介護の現場での経験があるなら、スキルや知識を証明できる資格があった方が何かと有利です。主任介護支援専門員になるには、まず難関の介護支援専門員の資格を取得しなければなりませんが、持っていれば介護業界でのキャリアアップにつながります。比較的新しい資格ですが、今後のキャリアを見据えてぜひチャレンジしてみてくださいね。

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