柔道整復師とは?資格取得のメリットや国家試験の合格率など

柔道整復師とは、骨折や脱臼、捻挫などの外傷に対して治療を行うことができる医療系の国家資格です。就職先は接骨院や整骨院がメインになりますが、実は介護施設で活躍する柔道整復師も数多くいます。そこで、介護施設における柔道整復師の仕事内容や国家資格を取得するメリット、国家試験の合格率などについてもまとめました。介護業界で求められる人材を目指したい方や職に手をつけたい方はぜひ参考にしてください。

【簡単に解説】柔道整復師の仕事内容とは?

柔道整復師とは、初回処置において単独で骨折・脱臼の整復固定が許されている医療系国家資格です。医師以外で単独の整復固定ができるのは柔道整復師のみ。手術ではなく、手技を用いた「非観血的療法」によって整復や固定などを行い、人間が本来持つ自然治癒力を最大限に引き出すことでケガの回復を図ります。

柔道整復師の接骨院・整骨院以外の就職先

柔道整復師の多くは整骨院や接骨院で働いています。しかしその他にも、介護施設などの福祉分野や病院・整形外科などの医療分野、トレーナーなどとしてスポーツ分野など、就職先は多岐にわたり、活躍の場が多いのが魅力です。

特に、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)やデイサービス(通所介護)などの介護の現場では、機能訓練指導員として活躍することができます。機能訓練指導員とは、介護老人福祉施設やデイサービスなどで必ず1名以上の配置が義務づけられているリハビリ分野の職種です。

機能訓練指導員は誰でもなれるものではなく、柔道整復師を含むいくつかの医療系国家資格を有する者しか務めることができません。そのため、柔道整復師は介護の現場で大変重宝される存在でもあります。

柔道整復師の4つの主な仕事内容

柔道整復師の仕事内容は、評価・整復固定・リハビリテーション・指導管理などがあります。それぞれ簡単に触れていきましょう。

評価

問診・視診・触診などを行い患者さんの状態を把握し、まずは柔道整復師の対応範囲であるかどうかを判断。対応可能な症状であれば、ケガの程度や患者さんの状態に合わせて治療方針を決定していきます。

整復および固定

整復とは、手技によって骨の損傷や脱臼・捻挫などによる関節部分のズレなどを正常な状態に戻す治療方法です。また患部の治癒の促進、痛みの軽減などの目的でギプスやテーピングなどを用いて固定を行います。

リハビリテーション(後治療)

整復・固定による処置後の治癒を促したり、運動機能の回復を図ったりする目的でリハビリテーションを行います。マッサージなどの手技療法や患部を動かして機能の回復を目指す運動療法、温熱・冷却・電気などのエネルギーを発する治療機器で患部に刺激を与える物理療法などが、リハビリテーションの主な内容です。

指導管理

患部に悪影響が生じることを防ぐため、患者さんへ日常生活における適切な指導管理を行います。また介護現場で働く柔道整復師は、まだケガをしていない人たちに対しても転倒やケガなどを防ぐための指導など大切な仕事です。

資格取得のメリットは?女性でも目指す価値はある?

ここまでの内容で、介護分野や医療分野など柔道整復師の就職先が多岐にわたっていることをお伝えしてきました。活躍できる職場の選択肢が多いことは、資格取得の大きなメリットと言えます。

では、その他のメリットについてお伝えしていきましょう。女性が柔道整復師を目指すメリットについても解説します。

信頼性の高い国家資格である

前述のとおり、柔道整復師とは有国家資格者です。資格取得後も各種学会や研究会、講習会などに参加し、知識と技術の向上に努める責務があります。つまり国家資格を有するということは、専門的かつ最新の知識とスキルを修得しているという証。一般社会はもとより、就職の面においても高い信頼を得ることができます。

地域医療の担い手として社会貢献できる

柔道整復師とは、地域医療を担う者として社会貢献できる魅力的な仕事です。柔道整復師の主な活躍の場である接骨院・整骨院や介護福祉施設、病院などにおいては、日々多くの高齢の利用者さんと接します。

ご存知の通り日本は超高齢化社会。内閣府の令和2年版高齢社会白書によると、総人口に占める高齢者の割合は28.4%にのぼります。その中で、高齢の患者さんと密にコミュニケーションを取り、深く関わることができる柔道整復師は、これからの日本社会にとって貢献度の高い職業であると言えるでしょう。また患者さんの状態が回復していく様子を側で感じられることは、柔道整復師の資格を取得する何よりのメリットといえます。

女性施術者のニーズが高まっている

以前より柔道整復師は、男性施術者が多いのが特徴。ケガをした患者さんの整復・固定には腕力や体力が必要とされることなどが理由だと考えられます。しかし最近では、女性にチャンスのある国家資格としても認知されるようになってきました。

女性患者さんならでは痛みやストレスなどデリケートな相談は、女性同士の方がスムーズに治療を進められるというケースもあります。それ以外にも現場では、女性の細やかな気配りや対応力が必要とされることも多々あり、女性施術者のニーズが高まりを見せているのです。そのため柔道整復師の国家資格は女性にとっても目指す価値があると言えるでしょう。

働きながら資格取得はできる?

すでに社会に出ている方や介護業界などで働いている方の中にも、転職やキャリアアップのため柔道整復師の資格を取りたいと考える方もいるのではないでしょうか。そんな方は、夜間部のある専門学校を利用し、国家試験の受験に必要な科目を履修することで、働きながら資格取得を目指すことができます。

ちなみに、柔道整復師とは人の体に触れ施術を行う職業であるため、通信教育で資格取得を目指すことはできません。

柔道整復師国家試験の受験資格は?

では、具体的にどのような場合に柔道整復師の国家試験の受験資格が与えられるのでしょうか?公益財団法人柔道整復研修試験財団公式サイトにて、以下のように示されています。

学校教育法第90条の規定により大学に入学する事のできる者で、3年以上文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した養成施設(いわゆる専門学校)で知識及び技能を修得した者。

つまり、高校卒業後、柔道整復師の養成過程のある専門学校または、柔道整復学科のある大学で専門科目を履修した場合に、柔道整復師国家試験の受験資格が得られるということです。

国家試験の合格率や難易度は?

公益財団法人柔道整復研修試験財団公式サイトに掲載されている直近5年分の国家試験の合格率をご紹介します。

試験回数受験者数(人)合格率
第25回(平成28年度)6,72763.5%
第26回(平成29年度)6,32158.4%
第27回(平成30年度)6,16465.8%
第28回(令和元年度)5,27064.5%
第29回(令和2年度)4,56166.0%

上記の表を見ると、国家試験の合格率はおおむね65%割程度。約3人に1人は落ちてしまうという結果なので、難易度としては誰でも合格できるような簡単な試験ではありません。しかし専門学校などでしっかりと勉強し、国家試験対策をすれば、合格をつかみ取ることは現実的に可能といえるでしょう。

国家試験の内容や日程は?

公益財団法人柔道整復研修試験財団公式サイトに掲載されている試験概要より、試験内容や日程について簡単にまとめました。

試験内容

試験は、以下11科目から出題されます。

  • 解剖学
  • 生理学
  • 運動学
  • 病理学概論
  • 衛生学・公衆衛生学
  • 一般臨床医学
  • 外科学概論
  • 整形外科学
  • リハビリテーション医学
  • 柔道整復理論
  • 関係法規

例年、試験は午前の部と午後の部に分かれており、9時30分から開始され、16時に終了します。回答方法は4つの選択肢から1つの正解を回答するマークシート式です。

試験日程

柔道整復師国家試験は、年1回の実施です。毎年3月上旬の日曜日に実施されていますが、確定情報は9月初旬に官報にて告知されます。

柔道整復師はニーズの高い将来性のある職業

柔道整復師とは、整骨院や接骨院以外にもさまざまな場所で活躍できるニーズの高い職業です。特に介護の現場では、機能訓練指導員として必要とされる貴重な人材。養成校に通い、対策を取ることで誰にでも取得のチャンスはあります。転職やキャリアップの選択肢として検討するのもよいでしょう。

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