「同行援護」とはどういう仕事?資格要件や養成研修を解説
同行援護という言葉をご存知ですか?主に視覚に障害を持つ方のサポートをすることを言います。同行援護従業者になるということは、利用者さんに対してきめ細やかなサービスを提供でき、また自身の働く場所の選択肢を広げる役割もあるでしょう。そこで今回は、同行援護とはどういうことなのか、仕事内容や資格取得の方法などについて詳しく解説します。
同行援護とはどういうもの?
まずは、同行援護とはどういうものなのか、言葉の意味や仕事内容について見ていきましょう。同行援護とよく比較される行動援護についても紹介します。
同行援護とは?
同行援護とは、同行し援護すること。より詳しく説明すると、視覚に障害を持っている方が外出する際に同行し、移動に必要な情報を提供することが仕事です。また移動の援護だけではなく、排泄や食事の介護など外出の際に必要な援助も行います。
人は多くの情報を視覚から得ているため、視覚に障害があると1人で外出することが難しくなり、外出を控えるようになることも。
同行援護を行う方を同行援護従業者と呼び、視覚に障害を持つ方の「目」となってサポートすることで、障害があったとしても安心して外出できるようになります。
行動援護とは?
よく比較されるものに行動援護があります。一見すると同行援護と同じような意味合いに感じますが、実は違う役割があるため確認しておきましょう。
行動援護とは、行動を援護すること。主な役割は、知的障害や精神障害によって常時介護を必要とする方のサポートです。日常生活のサポートはもちろん、外出した際の移動や排泄、食事などの援助を行います。
同行援護従業者になる方法
同行援護従業者となるためにはいくつかの条件を満たす必要がありますが、同行援護従業者資格を取得するのはおすすめです。
同行援護従業者の資格取得によって、自身のスキルアップにつながることはもちろん、利用者さんに合ったサービスを提供できるようになり即戦力として活躍できるでしょう。また、仕事の幅が広がったり転職に有利になったりすることもあります。
事業所に同行援護従業者がいると報酬の加算を受けられるため、同行援護の資格を持っていると事業所からも重宝されるでしょう。
ここでは、同行援護従業者になるための方法について紹介します。
同行援護従業者の資格要件・養成研修
同行援護従業者になるためには、同行援護従業者や同行援護サービス提供責任者の要件を満たさなければなりません。同行援護従業者の資格要件は以下のとおりです。
・同行援護従業者養成研修において一般課程を修了
・居宅介護従業者要件を満たし、視覚障害などの身体障害者の福祉事業に1年以上従事
・国立障害者リハビリテーション学院視覚障害学科を履修またはこれに準ずる方
同行援護従業者養成研修は、都道府県や市町村が指定した機関で受講できます。また同行援護従業者養成研修には一般課程と応用課程があり、一般課程には受験資格がないため誰でも受講可能です。
同行援護サービス提供責任者の資格要件・養成研修
次に、同行援護サービス提供責任者の資格要件や養成研修について紹介します。同行援護サービス提供責任者は、実際に利用者さんにサービスを提供するよりは、相談支援事業者や医療機関などとの調整役です。同行援護サービス提供責任者の資格要件を見ていきましょう。
・居宅介護サービス提供責任者の資格要件を満たす方
・同行援護従業者養成研修において一般課程と応用課程を修了
・国立障害者リハビリテーション学院視覚障害学科を履修またはこれに準ずる方
同行援護従業者養成研修の一般課程を修了しなければ、応用課程は受講できません。ただし、移動支援従業者養成研修において視覚障害課程を修了した方は受講可能です。
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行動援護従業者になる方法
最後に、行動援護従業者についても確認しておきましょう。
行動援護従業者の資格要件・養成研修
行動援護従業者になるためには資格が必要で、資格取得には行動援護従業者養成研修または強度行動障害支援者養成研修(実践研修)を修了しなければなりません。
また、知的障害を持っている方または精神障害者への直接業務が1年以上、かつ180日以上の実務経験が必要です。
行動援護サービス提供責任者の資格要件・養成研修
行動援護サービス提供責任者になるためにも資格や実務経験が必須。行動援護従業者養成研修を修了し、知的障害を持っている方または精神障害者への直接業務に通算3年以上、かつ540日以上従事する必要があります。
行動援護従業者養成研修修了者だけではなく、強度行動障害支援者養成研修(実践研修)修了者も対象です。
専門性を高めつつ働く場所の選択肢が増える
同行援護従業者になるためには資格取得が必要です。しかし資格を取得すれば専門性を高められ、自身のスキルアップにつながります。また、高齢者向けの施設だけでなく身体障害者施設や障害者ホームヘルパーステーションなどでも働けるようになり、勤務先の幅も広がるでしょう。