認知症ケア専門士の受験資格が知りたい!認定試験の合格率や難易度も

認知症ケア専門士は、認知症の方ならびにそのご家族に対して、高い知識とスキルに基づくサービスを提供することを目的として制定された介護系資格です。高齢化が進み、今後も認知症患者数が増えると予想されている日本において、認知症ケアのプロとして活躍できる有望な資格でもあります。そこで今回は、認知症ケア専門士の資格を得るための認定試験について解説。受験資格や試験の合格率、難易度、受講料など詳しくまとめました。

【簡単に解説】認知症ケア専門士の資格とは?

認知症ケア専門士は、「一般社団法人日本認知症ケア学会」が定める民間の認定資格です。認知症介護に携わる方に対し、認知症ケアに関するスキルや能力などを磨くこと、そして、生涯学習の機会を提供することを目的としてつくられました。

認知症ケア専門士の認定資格は、さまざまな職種の方が取得しています。以下は、一般社団法人日本認知症ケア学会が公式サイトで公表している認知症ケア専門士情報を参考に、認知症ケア専門士が保有する上位10の資格とそれぞれの人数をグラフにしたものです(2020年6月時点 重複含む)。

認知症ケア専門士の資格は、介護福祉士・介護支援専門員・ヘルパー・看護師などの資格を持つ方が取得するケースが多いようです。

また認知症ケア専門士は、更新制の認定資格であることも特徴のひとつ。常に新しい知識やスキルの習得を資格維持の要件としています。具体的には、一般社団法人日本認知症ケア学会が主催する講座などへ参加し、5年間で30単位以上を取得することが資格維持の要件です。

認知症ケア専門士の資格取得のメリット

内閣府発表の平成29年版高齢社会白書によると、日本の65歳以上の認知症患者数と有病率の将来推計に関する研究において、2025年には認知症患者数が約700万人に上ると予想されています。5人に1人が認知症になると見込まれているのです。今後も認知症患者は増えていくと考えられる日本において、認知症ケア専門士の資格を取得するメリットを2つ挙げてみましょう。

根拠のある新しい知識やスキルを基に認知症ケアを行える

前述のとおり、認知症ケア専門士は更新制の資格です。資格を維持するためには、認定講座を受講するなどし、認知症ケアに関する知識やスキルを継続的に習得し続けなければなりません。つまり、認知症ケア専門士の資格を保有している=常に最新の知識やスキルに基づいた認知症ケアを提供できるということです。

これは認知症ケア専門士の資格を持つ本人はもちろん、ケアを受ける認知症の患者さん、さらに患者さんのご家族にとっても大きなメリットと言えるでしょう。

活躍の場が広く、求人が豊富

前項で紹介した「認知症ケア専門士保有資格」のグラフからもわかるとおり、認知症ケア専門士の資格は介護支援専門員・ヘルパー・介護福祉士・看護師などのさまざまな有資格者が取得しています。裏を返すと、さまざまな職場で必要とされる資格であるということです。
また、認知症ケア専門士を募集する求人も地域を問わず充実しています。認知症ケア専門士の資格があることで、就職先の選択肢も広がるでしょう。

資格の知名度が高く、評価されやすい

一般社団法人日本認知症ケア学会の学会概要によると、約28,500人の学会員と約35,000人の専門士が所属しているそうです(2018 年 10 月現在)。このように認知症ケア専門士は国家資格ではないものの、学会という大きな後ろ盾を持つ資格なので、介護業界では知名度も抜群!特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護療養型医療施設など、どこで仕事をするにしても、評価されやすい資格であることもメリットといえます。

認知症ケア専門士認定試験の受験資格は?

認知症ケアに関連する施設・団体・機関において、試験実施年の3月31日よりさかのぼること過去10年間のうち、3年以上の認知症ケアの実務経験があることが認知症ケア専門士認定試験の受験資格です。

なお、3年以上の実務経験があることを証明する書類として、「認知症ケア実務経験証明書」という様式が、受験の手引(願書)の中に用意されています。この証明書が、認知症ケア専門士認定試験の受験資格があることの証になるという訳です。ただし、「認知症ケア実務経験証明書」は自身が所属する、または過去に所属していた機関・団体に提出し、認知症ケアの実務経験があることを認めてもらう必要があります。自身で記載するのではないことを覚えておきましょう。

認知症ケア専門士認定試験の合格率や難易度は?

一般社団法人日本認知症ケア学会認定 認知症ケア専門士の公式サイトによると、直近5年分の認知症ケア専門士認定試験の合格率は以下のとおりです。

開催年受験者数合格者数合格率(%)
第16回試験(2020年)2,5501,44256.5
第15回試験(2019年)4,8932,60753.3
第14回試験(2018年)5,0632,76954.7
第13回試験(2017年)6,0293,26656.5
第12回試験(2016年)7,4673,98349.3

上記の表を見ると、直近5年分の合格率は5割強ほど。この合格率は介護系の民間資格の中でもやや低く、難易度は比較的高めと言ってよいでしょう。

認知症ケア専門士認定試験は、マーク式の第1次認定試験だけでなく、論述試験の第2次認定試験もクリアしないと資格は取得できません。そもそも第1次認定試験で出題される4分野すべてにおいて70%以上の正答率を獲得しなければ、第2次認定試験に進むことすらできないのです。これらが、認知症ケア専門士認定試験の難易度がやや高い理由かもしれません。

だからこそ認知症ケア専門士は、認知症ケアに関する最新かつ精度の高い知識とスキルを持ち合わせた即戦力となる人材として、高く評価されているのでしょう。

認知症ケア専門士認定試験の受験料や試験日は?

認知症ケア専門士認定試験の受験料は、3,000円×受験分野数となっています。第1次認定試験は全部で4分野あるため、すべての分野を受験すると合計12,000円。受験料が1分野単位になっているのは、必要な分野のみの受験もできるからです。

前述のとおり、4分野すべてに合格しなければ第2次認定試験に進めません。しかし、各分野とも5年間の合格有効期間が設けられているので、前年合格できなかった分野の数に応じた受験料を支払えば、次年度以降も必要な分野のみの受験が可能です。

試験日については、第17回(2021年度)は2021年7月11日(日)に第1次認定試験が実施されました。例年、第1次認定試験は開催地によって試験日が異なっていました。しかし、第17回はWEB試験に変更されたことにより、全国統一の試験日が設定されたようです。最新情報が気になる方は、一般社団法人日本認知症ケア学会認定 認知症ケア専門士の公式サイトで確認してみてください。

認知症ケア専門士は介護の現場で即戦力として活躍できる

認知症ケア専門士は、認知症ケアに対する優れた知識と高い技術を持つ民間資格です。試験の難易度はやや高めですが、介護の分野では知名度が高く、評価されやすいといったメリットがあります。受験資格は、認知症ケアの3年以上の実務経験があること。要件を満たす方は、ぜひ認知症ケア専門士の資格取得を目指してみてください。

この記事をシェアする