認知症ケア指導管理士はどんな資格?受験しやすい理由やメリットとは

「認知症ケア指導管理士」は、認知症ケアの専門性を高めるために生まれた資格です。この記事では、そんな認知症ケア指導管理士の資格を取得するメリットや、資格試験の難易度などを紹介します。この資格は、介護や医療従事者はもちろん、これから介護業界に転職したい方にもおすすめです。上級資格まで設定されており、初級資格取得後にステップアップもできます。認知症ケアに携わっている方やこれから携わりたい方は、ぜひ参考にしてください。

【簡単に解説】認知症ケア指導管理士の資格とは?

認知症ケア指導管理士とは、認知症ケアの専門性を高めるために創設された民間資格です。「一般財団法人 職業技能振興会」および、「一般社団法人 総合ケア推進協議会」が認定しています。2010年に創設されており、これまでに19,000人以上の方が所有する資格です。

特徴の1つとして、初級と上級の2種類の資格に分かれていることが挙げられるでしょう。初級はすでに介護や医療に従事している方だけでなく、家族の認知症ケアを行う方やこれから介護の仕事に就きたい方も対象です。幅広い年齢層に開かれた資格のため、高校生や大学生、専門学校生なども受験しやすいでしょう。

認知症ケア指導管理士の資格を取得する3つのメリット

急速な高齢化が進む今、認知症の正しい知識とケア技術をもつ人材は、今後さらに求められていくでしょう。認知症ケア指導管理士の資格取得には、次のような3つのメリットが挙げられます。

1.認知症ケアの知識や技術が身に付く

認知症ケア指導管理士は、適切なケアを通して、認知症の方やそのご家族の尊厳と安心を守るための資格と言われています。そのため初級資格を取得すれば、認知症ケアに対する専門知識と技術、そしてご家族へのサポートと総合的な技能が身に付くでしょう。また、上級資格まで取得すると、認知症ケアにおける指導者としての専門性も高められます。

2.初級資格は実務経験を問わないため受験しやすい

認知症ケア指導管理士の初級資格は、これまでに介護や医療従事者としての実務経験がない方でも受けられる試験です。そのため、国家資格の有無や規定年数の実務経験を必要とする資格と比べると、受験ハードルが低いと言えます。これから介護・福祉業界への転職を考えている方でも受けやすい資格であることも、メリットの1つでしょう。

3.転職で有利に働きやすい

特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護保険施設では、「認知症ケア加算」が算定されています。認知症ケアに特に力を入れている施設では、スタッフを含む体制づくりにも積極的に取り組んでいることが多いです。そのため、認知症ケア指導管理士の資格を取得して専門性の高さを証明できれば、転職でも有利に働きやすいと言えるでしょう。

認知症ケア指導管理士の受験資格は?

認知症ケア指導管理士は、初級と上級で受験資格が異なります。ここからは、それぞれの受験資格について見ていきましょう。

認知症ケア指導管理士(初級)の受験資格

認知症ケア指導管理士(初級)は、実務経験や関連した資格の有無にかかわらず、どなたでも受験できます。介護・医療従事者はもちろん、高校生や大学生、専門学校生の受験も想定して行われている試験です。一般財団法人 職業技能振興会によると、過去に受験した方の内訳は、約6割が介護職、約3割が医療職となっています。

上級認知症ケア指導管理士の受験資格

上級認知症ケア指導管理士を受験するには、まず初級資格の取得が必須です。加えて、次の1~3のいずれかの条件を満たす必要がある点に注意しましょう。

  1. 認知症ケア指導管理士(初級)資格を取得して、1年以上経過している方
  2. 認知症ケア指導管理士(初級)資格を取得後、1年経過していないが、国家資格またはそれに準ずる資格を有する方
  3. 国家資格またはそれに準ずる資格を有しており、認知症ケア指導管理士(初級)と上級認知症ケア指導管理士1次試験を併願受験する方 ※初級試験未取得の場合

上記のように、上級認知症ケア指導管理士の試験は、医師や看護師、理学療法士など22職種の資格の有無でそれぞれ条件が異なります。該当する資格を有している場合は、事前に確認しておくとよいでしょう。

認知症ケア指導管理士の資格試験合格率と難易度は?

ここからは、認知症ケア指導管理士の初級と上級、それぞれの合格率と難易度について見ていきましょう。

認知症ケア指導管理士(初級)の合格率と難易度

一般財団法人 職業技能振興会が公表する第1回~第20回までのデータによると、認知症ケア指導管理士(初級)の合格率は59.0%です。試験は制限時間90分で60問が出題されるマークシート方式で、5つの選択肢から答えを1つ選んでいきます。書店やウェブストアで購入できる「認知症ケア指導管理士(初級)試験公式テキスト」を中心に出題され、総得点の7割が合格基準です。

上級認知症ケア指導管理士の合格率と難易度

上級認知症ケア指導管理士には、1次試験と2次試験があり、それぞれ合格率が異なります。一般財団法人 職業技能振興会が公表する第7回(2019年実施)のデータによると、1次試験の合格率は7.0%2次試験の合格率は95.2%です。同団体の第1回~7回までの累計データでは、合格率は7.6%と発表されており、難易度の高さを表しています。

1次試験は、制限時間90分で60問が出題されるマークシート方式で、5つの選択肢から答えを複数選ぶ「五肢複択」です。出題範囲は非公開ですが、上級資格のテキストとして「総合ケアシリーズ シリーズⅠ 認知症ケア論」と「総合ケアシリーズ シリーズⅡ 多角的ケア論」が記されています。また、2次試験は論述形式で、制限時間は90分です。認知症ケア全般に対する状況設定やケアに関する思考を問う問題が出題予定とされています。なお、1次試験の合格基準は明確に公開されておらず、合否通知で合格最低点を知る形式です。また、2次試験では、課題に対する対応力と判断力が合格基準として示されています。

認知症ケア指導管理士の受験料は?

認知症ケア指導管理士の初級と上級、それぞれの受験料は次のとおりです。

認知症ケア指導管理士
(初級)
一般 7,000円
学生 4,000円 ※高校生以上が対象
上級認知症ケア指導管理士1次試験 12,000円
2次試験 6,000円 ※1次試験合格者のみ

なお、いずれの資格も取得後は2年ごとに、更新の手続きを行う必要があります。更新を希望する場合は、5,000円の更新料振込と必要事項の提出などの手続きを行いましょう。

認知症ケアに携わるならぜひチャレンジを!

認知症ケア指導管理士は、介護や医療従事者はもちろん、これから介護業界に転職を考えている方にもプラスになる資格です。指定の教材や過去問を使って独学で学べるため、費用面でも負担が少ないと言えるでしょう。認知症ケアに携わる方は、ぜひ認知症ケア指導管理士の資格取得を、考えてみてはいかがでしょうか。

この記事をシェアする