「訪問介護2時間ルール」ってなに?計算方法や例外もチェック!
訪問介護には2時間ルールというものがあります。介護報酬の「単位」に関わるルールのため大変重要ですが、「イマイチ分からない」「介護現場ではさまざまな働き方があり計算に迷う」といったケースもあるでしょう。そこで本記事では「訪問介護2時間ルール」を分かりやすく解説。介護報酬の単価の詳細や、計算方法を紹介していきます。
訪問介護の2時間ルールってなに?
訪問介護の2時間ルールは、介護サービスごとに適した単位が加算されるよう設けられた規定です。利用者さんへ1日に複数回介護サービスを提供する際に重要となります。
「訪問介護2時間ルール」では、同じ利用者さんへ介護サービスを提供する際は、サービスとサービスの間隔を原則2時間以上空けることが決まりです。2時間以上空けずに次の介護サービスを提供すると、2回ではなく「1回」のサービスとカウントされてしまいます。これにより介護サービスの加算単位が変わり、適した介護報酬を得られないことがあるため、ルールが重視されているのです。
2時間あけるかあけないかで介護報酬の「単位」が変わる!
介護サービスを提供する際に加算される介護報酬の単位についておさらいしていきましょう。
介護サービスの提供時間ごとの介護報酬単位
介護報酬の「単位」は、提供するサービスの内容や、提供時間により決められています。訪問介護における代表的な介護サービスは、身体介護、生活援助(家事援助)、通院介助の3つ。ここでは身体介護と生活援助(家事援助)の単位例を見ていきましょう。
<訪問介護における身体介護の介護報酬単位>
時間 | 単位 |
30分未満 | 255 |
30分以上1時間未満 | 402 |
1時間以上1時間30分未満 | 584 |
1時間30分以上2時間未満 | 666 |
2時間以上2時間30分未満 | 750 |
2時間30分以上3時間未満 | 833 |
3時間以上 | 916単位に30分を増すごとに83単位加算 |
参考:厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000971646.pdf
<訪問介護における家事援助の介護報酬単位>
時間 | 単位 |
30分未満 | 105 |
30分以上45分未満 | 152 |
45分以上1時間未満 | 196 |
1時間以上1時間15分未満 | 238 |
1時間15分以上1時間30分未満 | 274 |
1時間30分以上3時間未満 | 309単位に15分を増すごとに35単位加算 |
参考:厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000971646.pdf
身体介護の介護報酬単位は30分ごと、家事援助の介護報酬単位は15分ごとに加算されます。
正しく介護報酬単位を出すことが重要!
介護報酬単位は、「訪問介護2時間ルール」に適用するかしないかで差が生じます。1日に同じ利用者さんへ1時間ずつ2回の身体介護を行った場合を考えてみましょう。
<「訪問介護2時間ルール」に適用している場合>
2時間の間隔を空けてサービスを提供した場合は、1時間(584単位)のサービスが2回と計算され、介護報酬単位は1,168単位です。
<「訪問介護2時間ルール」に適用していない場合>
十分な間隔を空けずにサービスを提供した場合は、合算され、2時間の身体介護を1回行ったと扱われます。この場合、介護報酬単位は750単位です。
両ケースの差は418単位。この介護報酬単位に1単価=10円として単価を掛け合わせて計算すると、介護報酬額の差は「418(単位)×10円(単価)=4,180円」となります。このような差が生まれてしまうため、「訪問介護2時間ルール」をきちんと意識しておくことが重要です。
ちなみに介護報酬単位ごとの単価は、「1単価=10円」をベースに地域により上乗せ割合が決められています。上乗せがない地域もありますよ。
「訪問介護2時間ルール」の例外2つ
「訪問介護2時間ルール」には2つの例外があるのでチェックしていきましょう。
看取り期の訪問介護
看取り期は、訪問介護の間隔が2時間未満でも所要時間が合算されません。頻繁に訪問が必要なことが考慮され、それぞれの単位数が算定できることになっています。
指定訪問介護事業所の20分未満の身体介護
指定訪問介護事業所の場合は、前後の訪問介護の間隔が2時間未満でも所要時間を合算しません。個々に応じた単位数を加算します。
「訪問介護2時間ルール」を意識して正しい加算を
訪問介護における2時間ルールは介護報酬単価を計算するうえで大切な規定です。同じ利用者さんのもとを複数回訪問する場合、介護サービスの間隔を2時間空けるかどうかで介護報酬単位は異なります。ぜひこのルールを意識しながら、利用者さんのニーズに応じていきましょう。