介護事務の資格はどれがよい?取得メリットや各試験の違いを知ろう

デイサービスや老人ホームなどの運営をサポートする「介護事務」。高齢化による介護事業所の増加にともない、求人数も増えている仕事の1つです。未経験からの就職も可能ですが、業務内では介護報酬の計算など専門的な知識やスキルも問われます。そのため、事前に資格を取得し、知識を得ておくと安心でしょう。この記事では、介護事務の仕事内容や資格取得について、くわしく解説していきます。

【簡単に解説】介護事務とは?

介護事務とは、デイサービスや老人ホームなどの運営をサポートする仕事です。国家資格などは必要ないため、未経験の方でもチャレンジできます。ただし、業務する上で介護保険制度の知識や介護報酬の計算などのスキルが必要です。そのため、事前に介護事務に関する民間資格を取得し、介護事務に関する情報を頭に入れておくと仕事に役立つでしょう。施設によっては、介護職と兼任で働くことで手当がつき、給料が上がることもあるようです。

介護事務の主な仕事内容

介護事務の主な仕事は、大きく2つに分けられます。1つは、利用者さんと国民健康保険団体連合会に、介護報酬を請求する仕事です。利用回数や要介護度、提供したサービスなどに応じた金額を計算し、利用者さん・国民健康保険団体連合会の双方に請求します。

もう1つは、介護施設や事業所の受付業務、運営に必要な書類作成などの総合的な事務です。利用申し込みの問い合わせに対応したり、必要な備品の発注や管理などを行ったりします。数字のチェックや人と接するのが得意な方は、その能力を活かせる仕事でしょう。

介護事務の資格を取得する5つのメリット

ここからは、介護事務の資格を取得するメリットについて見ていきましょう。

実務に役立つスキルが身につく

前述したとおり、介護事務の業務には、介護保険制度の知識や介護報酬の計算が欠かせません。そのため、就職前に資格を取得してこれらのスキルを身に付けておけば、すぐに実務に活かせます。介護事務に関する理解も深まるため、就職後の不安感も軽減できるでしょう。

熱意のアピールにつながる

介護事務の資格は、仕事への熱意をアピールすることにもつながります。資格取得に至った経緯などを履歴書の志望動機欄に書けば、未経験でも就職対策の例文のような履歴書にならずにすむでしょう。書類選考に通りにくいと感じている方は、取得を検討してみるとよい資格です。

体力や年齢にかかわらず働きやすい

介護事務はデスクワークが中心となるため、体力や年齢にかかわらず長く働きやすい仕事です。そのため、現在は介護職員として働きながらも「体力的に辛い」と感じている方は、介護事務の資格を取得しておくのも1つの案でしょう。

場所が変わっても働きやすい

介護事務のスキルは、介護施設はもちろん、訪問看護ステーションや介護サービス人材派遣など幅広い勤務先で活かせます。全国で通用するスキルのため、家庭の事情で転居の多い方でも就職先が見つけやすいでしょう。また、ブランク期間があっても復職しやすいところも介護事務のメリットです。

事務処理能力が高まる

介護事務の資格を取得すれば、介護に関する理解が深まり、事務処理能力も高まるはず。また、介護保険制度に対する理解は、これからケアマネジャーなどを目指す方にも役立つでしょう。多くの福祉系資格のように受験条件として実務経験が問われないため、これから介護・福祉業界で働きたい未経験の方にもおすすめの資格です。

介護事務の資格が取得できるおすすめ試験5選

介護事務の民間資格は、さまざまな団体が認定を行っています。団体ごとに試験方法や試験日程などが違うため、資格取得を目指す方は以下も参考に、自分に合う試験を選びましょう。

介護事務管理士®技能認定試験

「介護事務管理士®技能認定試験」は、技能認定振興協会が認定する資格試験です。試験に合格すると「介護事務管理士®」に認定されます。合格率は70%ほどとのこと。公式テキストを使った独学のほか、通信教育を行うソラストの介護事務講座(別途費用)を利用して学ぶこともできます。

受験資格誰でも受験可能
試験日奇数月の第4土曜日の翌日(日曜日)
試験方法在宅受験(郵送)
試験内容学科:10問/マークシート(択一式)
実技:全6問中2問を選択/レセプト点検問題
合格条件学科・実技ともに約80%以上
受験料6,500円(税込)

ケアクラーク技能認定試験

「ケアクラーク技能認定試験」は、日本医療教育財団が認定する資格試験です。合格すると「ケアクラーク®」に認定されます。公式テキストがないため、独学の場合は教材選びからはじめましょう。なお、通信教育を行うニチイの介護事務講座(別途費用)を利用すれば、学習から受験までを一貫して行えます。

受験資格誰でも受験可能
試験日年3回(5月・9月・1月)
試験方法在宅試験(郵送)
試験内容学科:25問/筆記(択一式)/50分
実技:2問/介護給付明細書作成等/60分
合格条件学科・実技ともに約70%以上
受験料6,900円(税込)

介護情報実務能力認定試験

「介護情報実務能力認定試験」は、医療福祉情報実務能力協会が認定する資格試験です。合格すると「介護事務実務士®」として認められます。受験には、同協会が認定する教育指定校の経由が必要です。

受験資格誰でも受験可能
試験日協会が指定する教育機関からの団体受験のみ
試験方法協会が指定する教育機関からの団体受験のみ
試験内容学科:20問
明細書作成:3問
合格条件学科・実技ともに実施回ごとの受験者偏差値55以上または、8割正答
受験料7,700円

介護報酬請求事務技能検定試験

「介護報酬請求実務技能検定試験」は、日本医療事務協会が認定する資格試験です。会場受験を実施しており、試験会場は開催月によって異なります。合格率は80%ほどとのこと。いくつかのテキストは、公式サイトからも購入できます。同協会が運営する介護事務講座(別途費用)もあり、通学と通信コースを選べることも特徴です。

受験資格協会が認定する介護事務講座の修了者
受験申請のあった大学・短期大学・専門学校・高校等 受験申請のあった一般受験申込者
試験日偶数月第3日曜日
試験方法会場受験
試験内容学科:25問/正誤問題 実技:2題
合格条件総得点の70%程度を基準に、難易度で補正した点数以上の者
受験料6,600円(税込)

介護事務認定実務者試験

「介護事務認定実務者®試験」は、全国医療福祉教育協会が認定する資格試験です。合格すると、「介護事務認定実務者®」に認定されます。合格率は60%から80%とのこと。公式テキストはないため、独学の場合は、公式サイト掲載の出題範囲を参考に自分に合うものを選びましょう。なお、ユーキャンの介護事務講座(別途費用)から資格取得を目指すことも可能です。

受験資格誰でも受験可能
試験日毎月開催
試験方法在宅受験・会場受験(※)
試験内容学科:20問/マークシート 実技:2例/マークシート
合格条件正答率6割以上、問題の難易度等で変動あり
受験料一般受験:5,500円(税込)
認定機関の通信・通学受講生:5,000円(税込)

※会場受験は、認定機関が開講する講座受講生が対象

介護事務の合格率や難易度は?

介護事務の資格合格率は、どの団体で受験するかによって変化します。テキストや過去問を活用しながらしっかりと勉強できれば、難易度はあまり高くない試験と言えるでしょう。学習方法に不安がある方は、別途費用がかかりますが、各試験実施団体が提携する講座から資格取得を目指すことをおすすめします。

介護事務の資格取得は未経験からでも目指せる!

介護事務は、デイサービスや老人ホームなどの運営をサポートする存在です。未経験からの就職も可能ですが、業務には介護報酬の計算や介護保険制度の知識が必要なため、資格の取得がおすすめ。自分に合った試験を選び、しっかりと学習していけば、合格へと近づくでしょう。これから介護業界で働きたい方は、選択肢の1つに介護事務を入れてみてはいかがでしょうか。

この記事をシェアする