これからの福祉に求められている人材って?福祉施設経営者に聞きました!
介護職に携わる人の中には、介護と密接なつながりのある「福祉」の現場に興味がある方も多いのではないでしょうか?今回は広島市安佐北区を中心に放課後等デイサービスや就労継続支援事業所を運営する石田雅也さんにインタビューしました!未経験で飛び込んだ福祉の仕事の大変さやややりがい、経営者として求める人材像などを語っていただいています。福祉の仕事に興味がある人はぜひ読んでみてくださいね。
プロフィール
大型トラックの運転手、不動産経営などを経て、2013年1月に株式会社アイオライトを設立し、同年5月に「まごころの家倉掛」を開所。現在、安佐北区3か所、南区1か所に放課後等デイサービス、安佐北区と東区の2か所で就労継続支援B型、安佐北区で生活介護、放課後等デイサービス機能を持つ「まごころの家 高陽」に短期入所(ショートステイ)を運営。
まごころの家倉掛
「まごころの家」では、放課後等デイサービスや就労継続支援B型、生活介護、短期入所(ショートステイ)といった福祉・介護サービスを提供しています。障害のある方への就労支援から始まり、現在では介護を要する重度障害の方へのサポートにも尽力している施設です。
※放課後等デイサービスとは?
障害のある小・中・高校生が放課後や長期休暇中も利用できるサービス。学校や家庭以外に居場所を作り、活動を通して自立を目指していきます。2012年に制度が始まって以来、現在も利用者数の数は増え続けており、今後も高い需要が見込まれる取り組みです。
※就労継続支援とは?
障害や病気が原因で一般の企業や事業所などでの就労が難しい方のために、働く場所の提供や仕事に必要な訓練を実施する福祉サービス。雇用契約を結ぶ「就労継続支援A型」、雇用契約を結ばない「就労継続支援B型」の2種類があります。
目次
福祉の仕事を始めたきっかけは?
(石田さん)福祉の仕事を始めたきっかけは、親類に障害のある子供がいたことです。当時の私は障害の知識が全くなかったので、育児の様子を見て漠然と「大変そうだな」と思っていたのを覚えています。ですが、一生懸命子供と向き合う親類の様子を見るうちに「障害のある子供たちの役に立ちたい。保護者の方が楽になれる場所があれば」と考えるようになったのです。
そんな折に民間事業者でも放課後等デイサービス事業に参入できるようになったのを受け、2013年に放課後等デイサービス「まごころの家 倉掛」をスタートしました。当初は私を含む福祉未経験の役員2名と、介護や保育の有資格者のスタッフ3名で計5名。運営の仕方に戸惑うことも多く、模索する日々が続きました。
福祉の仕事をする中で、難しかったことは?
(石田さん)「まごころの家 倉掛」を開所してすぐ、重度の発達障害のある女の子がやってきました。障害が重かったためか他のデイサービスでは断られ、開所したばかりの当施設を頼ってきたそうです。知らない場所への拒否反応からか初日は玄関から入ることができず、窓から部屋に入るほどでした。言葉がしゃべれずうまく思いを伝えられないので、物を投げたり叫んだりして戸惑いを表現していたようです。その女の子との出会いをきっかけに、障害について勉強し、障害のある子供への関わり方を考え直しました。最初こそ大変なスタートでしたが、今となっては初めての利用者があの女の子でよかったと思っています。
福祉の仕事をされる中でうれしかったこと、やりがいを感じることは?
2階の就労継続支援フロアの様子
(石田さん)先ほど紹介した女の子との交流は4年間続き、関わり方を工夫して根気よく接していくうちに、徐々に信頼関係が生まれました。女の子の純粋な人間味に触れ、心が洗われていくようだったのをよく覚えています。福祉の仕事はスタッフが利用者さんを助けているように見えますが、実は利用者さんの笑顔に救われることの方が多いです。
現在の利用者さんの多くは、以前利用していた方のご家族や知り合いの方です。家族や知り合いに勧めたいと思っていただけるほど信頼を寄せてもらえたことも、なによりうれしいですね。いろんな評価がある中で、知人の口コミほど信頼できるものはなかなか他にありませんから。
これからの目標や取り組みたいことは?
スタッフのみなさん。右から2番目が石田さん
(石田さん)福祉のみならず介護の分野でも多くの人の役に立てるように、いろいろなことを考えています。
まず1つ目は「まごころの家 倉掛」の活用です。2022年2月から1階は生活介護事業サービス、2階は放課後等デイサービス、3階は就労支援サービスを行っています。ただ、まだ空き部屋が残っているので、障害のある子供や大人の自立・就職につながるような場所を作りたいと思っています。
2つ目は新しいビジネスの構築です。福祉業界では「農福連携」といって障害のある方や高齢者の方が農業に取り組むことがよくあります。ただ農作物を作っても、販売ルートが整っていなければ安定的な収入になりません。そもそも農作物ですから決まった数ができるとも言えませんしね。だからこそ、いろいろな方法を模索しながら、障害のある方の仕事につながる取り組みを実現していきたいです。
そして今後、特に大切な取り組みになってくるのが、後進の育成です。私自身が新しい考えを取り入れていくのはもちろん、これまでの経験やノウハウを若い世代に伝えていきたいです。少しでも多くの人の役に立つために次の世代を育てていくことが、私の使命だと思っています。
福祉のお仕事を目指している方や興味がある方へのメッセージ
(石田さん)今、福祉の現場では、専門的な知識・根拠に基づいた支援ができる人が求められています。そのために看護師の資格や福祉・医療の専門資格を持った人がいてくれるとありがたいです。あとはやる気のある人がいてくれるといいですね。
福祉の仕事はチームワークが大切なので、最低限のコミュニケーション能力は欠かせません。困ったときは「手伝ってほしい」と言える、手伝ってもらったら「ありがとう」と感謝できる、誰かが困っているときは「手伝いましょう」と言えるなど、当たり前のコミュニケーションがとれることが大前提だと思っています。
またどんな業界でも、目標を持つことは大切です。介護・福祉の業界を5年経験すれば、いろいろな資格にチャレンジできるようになります。頑張りたい気持ちがあるのなら、毎日ただ漫然と働くのではなく、「1、2年後にはこうなりたい」と目標を持ってほしいです。理想のキャリアプランや目標を達成するために、小さなことでもいいからチャレンジを続けていくのをおすすめします。スタッフの気持ちは利用者さんも見抜いていますから、いい加減な気持ちで働いているとすぐに伝わってしまいますしね。
福祉施設経営者である石田さんのインタビューを終えて
広島市で複数の放課後等デイサービスや短期入所(デイサービス)などを運営する経営者さんの声をお届けしました。福祉には利用者さんの居場所づくりや就労支援ができる仕事があり、年齢や障害の程度に応じた支援ができるのが魅力です。そんな福祉の現場では、知識に基づいた支援やコミュニケーション能力が求められています。福祉・介護の仕事に興味を持った方は、求められている力を意識しながら、一歩踏み出してみませんか?
【まごころの家 倉掛】
所在地 | 広島県広島市安佐北区深川4丁目20-24 |
電話番号 | 082-516-5669 |
公式サイト | https://magokoro-hiroshima.com |