介護スタッフが知っておきたいバイタルチェックの基本と注意点
バイタルチェックは、医師や看護師だけが行うものではなく、介護スタッフも行います。バイタルチェックによって、利用者さんの体調の変化を察知することもできるため、とても大切な作業です。そのため、定期的なバイタルチェックが欠かせません。そこで今回は、介護スタッフが知っておきたいバイタルチェックの基本や注意点などについて見ていきましょう。
バイタルチェックとは?
そもそもバイタルチェックとはどういう意味なのでしょうか、また、どうしてバイタルチェックをするのでしょうか?ここでは、バイタルチェックの意味について紹介します。
バイタルサインをチェックする行為のこと
バイタルチェックとは、バイタルサインを確認する行為のことです。バイタルサインには、生命の兆候や生きているサインなどの意味があります。
そして、体温や脈拍などのバイタルサインを、機器を使いながら計測することをバイタルチェックと呼んでいるのです。
なぜバイタルチェックをするのか?
バイタルチェックをする理由は、主に2つあります。健康状態の把握と変化の確認です。利用者さんのバイタルチェックを記録していくことで、今までの測定値とどんな違いがあるのかを確認できます。
その際に、測定値が大きく変化するようなことがあれば、速やかに必要な処置をすることができるというわけです。また、薬の服用や運動量を見直す際に、測定値の推移を利用することもできます。
バイタルチェックで測定する内容
異常の早期発見や病気の予防に役立つバイタルチェックですが、何を測定すれば良いのでしょうか?一般的なバイタルチェック項目は以下の5つです。
- 脈拍
- 血圧
- 体温
- 呼吸
- 意識レベル
これ以外に、酸素飽和度や尿量を調べることもあります。追加項目は、利用者さんの病状によって異なるケースも。ここでは、各項目について詳しく説明していきます。
脈拍
脈拍は、心臓の拍動によって末梢血管に到達する波動のことです。手首にある橈骨動脈に指を当てて測定。機器を使って測定することもあります。安静時の脈拍数は、1分間に60~100回です。
1分間に50回未満の場合を徐脈、100回以上を頻脈と呼びます。
血圧
血圧とは、血管内部の圧力のこと。一般的には、上腕式電子血圧計を使って測定します。正常値は、120/80mmHg以下です。病院での測定値が140/90mmHg以上、または家庭での測定値が135/85mmHg以上は高血圧としています。
体温
体温の基準値は36~37℃。体温といっても表面温度や深部温度など種類がありますが、医師が用いるのは深部体温です。深部温度は、体温計を使って腋窩最深部にて測ります。
呼吸
呼吸は、1分間にどれだけ呼吸しているのかを計測します。呼吸数を数えることを利用者さんに伝えると、意識してしまうため、脈拍を測りながら一緒に計測すると良いです。基準値は、1分間に16~20回。
意識レベル
全身状態を確認するために、声をかけたり刺激を与えたりして意識レベルを調べます。
バイタルチェックの際に注意したいこと
最後に、バイタルチェックの際に注意したいことについて見ていきましょう。
日頃の数値を把握する
利用者さんへのバイタルチェックは毎日行います。そのため、前日やこれまでの数値と大きく乖離していないかを、毎回確認するようにしましょう。異常値が出ればすぐに対応できるでしょうが、些細な数値の変動でも気を配るようにしてください。
測定のタイミングを合わせる
利用者さんによってバイタルの数値が違うのはもちろんのこと、同じ利用者さんであっても1日を通してみれば数値が変わります。そのため、バイタルチェックのタイミングは決めておきましょう。
また、動いた直後や入浴後などは、正しい数値が計測できません。時間をおいてから計測するようにしてください。
利用者さんへの声かけをする
バイタルチェックは、いつも行っていることだからと、流れ作業のようにしてはいけません。急に測定を始めて、利用者さんが驚くことがあります。配慮のないバイタルチェックによって、利用者さんが今後のバイタルチェックを嫌がるようになることも。
「測定の時間ですよ」などと声をかけてから、バイタルチェックをしましょう。
数値だけにとらわれない
バイタルチェックも大切ですが、数値にあらわれない体調の変化もあります。姿勢が悪くなる、食事の量が減る、表情が暗いなど、些細なサインを見逃さないようにしましょう。
バイタルチェックに関する正しい知識を持っておこう
バイタルチェックは、利用者さんの健康を守り、異常を早期に発見する1つの手段です。利用者さんの健康状態を確認する際は、数値だけを見て判断するのではなく、これまでの数値の変化や表情などを見て総合的に判断するようにしてください。気になる点があればそのままにせず、周りのスタッフや医師、看護師に相談するようにしましょう。