定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは?人員基準、一体型・連携型の違いも

2012年に創設された「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」。比較的新しいサービスのため、詳しく知らないという方もいることでしょう。そこで今回は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の仕事内容や人員基準について詳しく解説。一体型事業所と連携型事業所の違いや、メリット・デメリットにも触れました。定期巡回・随時対応型訪問介護看護が気になる方、人員基準などを知りたい方は、ぜひご一読ください。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは

定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、介護と医療が一体になり、365日、24時間体制で介護や看護を提供するサービスです。これまでの訪問介護・訪問看護のような定期訪問だけでなく、必要な場面で随時サービスを受けられることが最大の特徴となっています。

1回の訪問は10~20分程度と短時間なため、1日のうち複数回ケアが必要な要介護者さんに対応することができます。服薬管理や体位交換介助・インスリン注射など、1日を通じて必要なサービスを提供することが可能です。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の仕事内容

では、もっと詳しく定期巡回・随時対応型訪問介護看護の仕事内容について解説していきましょう。

定期巡回による介護

定期巡回は、事前に立案する訪問介護の支援計画書に応じて定期的に訪問します。1日の訪問回数は利用者さんの状態に合わせた、必要な回数で設定が可能。サービス内容の指定はないので、排泄介助のため、安否確認のため、ナイトケアのためなど、必要に応じたサービスを細かく提供できます。利用者さんの生活リズムに合わせた対応もできるので、個々に寄り添ったサービスが可能です。

訪問看護の提供

訪問看護は、医師の指示に従いながら看護師が定期訪問を行います。血圧・体温測定・点滴・リハビリ・内服管理など、利用者さんに合わせた医療サービスを実施。介護だけでなく、医療面も細かく支援できるので、医療依存度が高い利用者さんも安心して自宅での生活を続けることができます。

随時対応サービス

随時対応サービスでは、24時間あらゆる相談を電話で受け付けます。基本的にはオペレーターが対応し対処法を提案しますが、緊急性が高いと判断されれば救急車を要請したり、職員への対応が求められたりします。利用者さんはスマートフォンなどの機器を持っていなくても、無償で通報専用装置が貸し出されるため、スムーズなサービス導入が可能です。

随時訪問サービス

随時対応サービスにより訪問が必要とされたときに提供されるのが、随時訪問サービスです。状況に応じて、介護職や看護職が訪問します。随時対応と同じように、365日・24時間利用できるので、利用者さんだけでなく、ご家族も安心できるサービスといえるでしょう。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の人員基準と条件

つぎに、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の人員基準とその条件をご紹介していきます。

訪問介護員

【人員基準】

訪問介護員の人員基準は「定期巡回サービス」「随時訪問サービス」で異なります。

定期巡回サービス:訪問頻度や交通事情を配慮したうえで、適切なサービスが提供できる人員数の配置が必要です。

随時訪問サービス:随時訪問サービスを常時対応できる介護職を、常に1人以上確保できる人員数が求められます。

利用者さんへの対応に支障がでない場合は、どちらのサービスも兼務することが可能です。さらに要件を満たせばオペレーターとしても働くことができます。

【従事条件】

訪問介護員になるには、以下の資格のうち、いずれかの取得が必要です。

  • 実務者研修修了者
  • 初任者研修修了者
  • 介護福祉士
  • 旧介護職員基礎研修
  • 旧訪問介護員1級
  • 旧訪問介護員2級

オペレーター

【人員基準】

サービスを提供している時間帯を通じて、1人以上配置できる人員数が必要です。さらに兼務できる職種は以下のものが挙げられます。

  • 定期巡回サービス
  • 訪問看護サービス
  • 随時訪問サービス

当該事業所の他職種・訪問介護事業所および夜間対応型訪問介護事業所の職務(保健師・看護師もしくは准看護師の場合に限る)

【従事条件】

随時対応サービスに対応するオペレーターは、下記資格を保有していることが要件です。さらに1年以上の訪問介護のサービス提供責任者として従事していた経験も必要となっています。

  • 介護福祉士
  • 社会福祉士
  • 介護支援専門員
  • 看護師
  • 准看護師
  • 保健師
  • 医師

計画作成責任者

【人員基準】

資格要件はオペレーターと同じで、資格を保有するスタッフを1名以上配置しなければなりません。

【従事条件】

計画作成責任者で働くために必要な資格はオペレーターと同じなので、参考にしてください。

管理者

【人員基準】

管理者の人員基準はありません。

【従事条件】

資格要件はなく、常勤者なら誰でも管理者になることができます。さらに専従であることが望ましいとされていますが、当該事業所の職務や併設事業所の管理者などの兼務は認められています。

看護職員

【人員基準】

看護師・保健師・准看護師を合わせて2.5人以上配置そのうち1人以上は常勤の保健師か看護師と定められています。併設訪問看護事業所がある場合は、合算した職員数でカウントが可能。オペレーターと兼務することもできます。

【従事条件】

訪問看護サービスを行う職員として働くためには、以下の資格が必要です。

  • 看護師
  • 保健師
  • 准看護師
  • 理学療法士(PT)
  • 作業療法士(OT)
  • 言語療法士(ST)

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の報酬と併用できるサービス

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は報酬面や併用可能なサービスにも特徴があるのでチェックしていきましょう。

基本的には月額の定額制

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用料金は月額制です。随時対応や随時訪問を利用しても追加費用は発生しません。利用者さんの自己負担は原則1割ですが、所得が一定以上ある方は2~3割の負担になります。

併用できるサービス

定期巡回・随時対応型訪問介護看護はデイサービスやショートステイなど通所系・短期入所系サービスとの併用が可能です。在宅で介護をするご家族のリフレッシュ期間を設けることができるので、利用者さんだけでなく、ご家族にも配慮されたサービスといえます。

一体型事業所と連携型事業所では何が違うの?

定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、一体型事業所と連携型事業所の2種類の事業所が存在します。ではどのような違いがあるのか、メリット・デメリットも併せて説明していきましょう。

一体型事業所と連携型事業所の違い

一体型事業所は、訪問介護と訪問看護を同じ事業所でサービス提供をしています。一方、定期巡回・随時対応型訪問介護の事業所が、訪問介護事業所と連携してサービス対応を行っているのが連携型事業所です。訪問介護と訪問看護が同一の事業所かどうかが、この2つの事業所の違いになります。

一体型事業所のメリット・デメリット

一体型事業所は、訪問介護・訪問看護とも同じ事業所で提供されているため、情報交換や連携が取りやすいところがメリットです。一体的なサービス提供ができるので、利用者さんも安心感を得やすいでしょう。

デメリットは、お願いしたい一体型事業所を見つけても、エリア外だと利用できない点が挙げられます。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は地域密着型サービスのため、住民票と同じ区域の事業所を選ばなければなりません。

連携型事業所のメリット・デメリット

連携型事業所のメリットは、複数の事業所が連携して定期巡回・随時対応型訪問介護看護を提供します。そのため、地域全体の幅広いネットワークを活用でき、あらゆる情報を得やすい傾向にあるのが特徴です。

連携型事業所は訪問介護・訪問看護サービスを同じ事業所が提供していないため、スムーズかつ密な連携が取りにくいことがデメリットです。事業所間の情報交換が不十分だと、一体的なサービス提供が難しくなるため、どのように連携をとるのかが課題になりやすいでしょう。

ニーズが高まっている定期巡回・随時対応型訪問介護看護で働こう

365日・24時間対応で訪問介護・訪問看護を受けられる定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、利用者さんの希望に沿いやすいサービスといえます。住み慣れた自宅で過ごしたいと考えている方に、無駄が少ない介護や看護提供ができる定期巡回・随時対応型訪問介護看護であなたも働いてみませんか。まずは、人員基準や従事条件をチェックして、転職活動の参考にしてくださいね。

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