インボイス制度の影響は?介護保険サービスにおける消費税を解説!
介護保険サービスの消費税は基本的に非課税ですが、例外的に課税対象となるものもあります。介護職の皆さんのなかには、2023年10月からスタートしたインボイス制度との関係について気になっている方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、介護保険サービスの課税・非課税の範囲、介護事業者とインボイス制度の関係についてまとめました。
目次
介護保険サービスの消費税は基本的に非課税
介護保険サービスは、原則、消費税が課税されません。それは、社会政策的な配慮から課税対象に適さないとみなされているからです。
しかし、すべての介護保険サービスが非課税に該当するわけではありません。例えば、介護サービス利用者の希望によって提供される特別食や特別サービスなどのように、例外的に消費税の課税対象となるものもあります。
消費税が非課税の介護保険サービス
まずは、消費税が非課税となる介護保険サービスの具体例について見ていきましょう。
消費税非課税の居宅介護サービス
以下に、消費税が非課税となる居宅介護サービスを挙げました。
- ケアプラン作成
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導
- 通所介護
- 通所リハビリテーション
- 短期入所生活介護
- 短期入所療養介護
- 特定施設入居者生活介護
基本的な居宅介護サービスの大部分は、非課税であると考えていいでしょう。地域密着型の介護保険サービス、要支援者を対象とした介護予防サービスについても、原則、消費税は非課税です。通所系サービス利用の際に時間延長が発生した場合にも、追加発生した負担額について消費税が課されることはありません。
消費税の課税・非課税はサービス内容によって決まるため、介護保険の給付額を超えたとしても非課税対象のサービスを利用した場合であれば超過分に対して課税されることはない仕組みとなっています。
消費税非課税の施設介護サービス
以下に挙げた施設入所系の介護保険サービスも、消費税は課税されません。
- 介護福祉施設サービス(特別養護老人ホーム)
- 介護保健施設サービス
- 介護医療院サービス
施設で利用するおむつや食事といった日常生活に関わる費用は、介護保険適用外であっても非課税です。
消費税が課税される介護保険サービス
一方、消費税が課される介護保険サービスにはどのようなものがあるのか、具体例を見ていきましょう。
- 福祉用具貸与・購入
- 住宅改修
- 事業区域外の事業者を利用した際の送迎・公共交通機関の利用
- 介護サービス利用者の希望によって利用する特別室や特別食のサービス
- 訪問入浴介護の際の浴槽水使用
- 介護保険の対象外となるサービス
基本的に特別なサービスを希望した場合には課税対象となります。ただし、どこまでを課税対象とするかは施設によっても異なるようです。
インボイス制度と介護保険サービスの関係は?
消費税の課税・非課税については、インボイス制度との関係も気になるところ。ここからはインボイス制度の概要と介護保険サービスへの影響について見ていきましょう。
2023年10月からインボイス制度がスタート
2023年10月からスタートしたインボイス制度では、消費税を支払った取引に対して仕入れ税額控除を受ける際に「適格請求書(インボイス)」の保存が必須となります。適格証明書は、「適格請求書発行事業者」として承認されなければ発行できません。
介護事業者にインボイス制度が適用されるケースは?
本来、介護保険サービスは消費税非課税のため、個人向けサービスの提供がメインとなる介護事業者はインボイス対応の必要はないでしょう。
しかし、法人向けサービスを提供する介護事業者で、
- 取引先に課税事業者がいる
- 介護保険外のサービスを提供している
- 製品販売を行っている
といった場合には、インボイス発行を求められる可能性があります。トラブルを招かないためにも、適格請求書発行事業者の登録を済ませておくと安心でしょう。ただし登録すると、消費税の申告義務が発生するばかりか、消費税を納める必要も出てきます。インボイス制度対応するかどうかは、慎重な判断が必要となるでしょう。
インボイス制度と介護保険サービスの関係は介護職必須の知識!
インボイス制度の施行により、消費税計算や請求書作成に対して今まで以上に正確性が求められるようになりました。介護事業所のなかには、インボイス対応の手続きが必要となるところもあります。介護の現場で請求書作成に関わる立場の方は、今のうちにしっかりと知識を身につけておきましょう。