高カカオチョコレートが認知症に良い?理由や注意点を知っておこう
チョコレートには健康に良いとされる成分が豊富に含まれているため、健康に有益だと言われています。そんな中、チョコレートと認知機能の関係を調べる研究が行われました。すると、習慣的にチョコレートを食べていると認知機能に関連する記憶や学習機能が高まることがわかったのです。つまり、認知症の予防になる可能性があるということ。そこで今回は、チョコレートと認知症の関係や摂取の際に注意したいことなどを紹介します。
チョコレートが良いとはどういうこと?
世界では、チョコレートと健康に関するさまざまな研究がされています。今回はその中から、2つの研究内容と結果を見ていきましょう。
<その1>チョコレート摂取の研究内容
まずは、South Australia大学の研究内容です。これまでチョコレートと循環器に対する研究は多く行われ、さまざまなデータが蓄積されています。一方で、認知機能に関しては一貫したデータがありませんでした。そこで、認知機能との関係を分析する研究を行うことに。
その中でも今回紹介する研究は、習慣的なチョコレートの摂取頻度と認知機能の関係を分析したものです。
<概要>
- MSLS(認知機能と循環器の疾患リスク因子との関係を調べた研究)に参加した23~98歳までの968人が対象
- 広範な認知機能検査の結果を調査
- MMSE(ミニメンタルステート検査)のスコアとチョコレート摂取頻度の関係を調査
結果については次で見ていきましょう。
<その1>研究結果
研究結果は、チョコレート摂取頻度が高い方ほど認知機能スコアが高い傾向に。
視空間記憶や言語記憶、探索と追跡などのチェックをする総合スコアはもちろん、言語記憶以外のすべての指標スコア、認知症診断に用いられるスコアなどの項目でチョコレート摂取が効果的であることを示していたのです。
<その2>チョコレート摂取の研究内容
チョコレートと認知症の研究は、海外だけではありません。日本でも行われました。
<概要>
- 愛知県蒲郡市内外の45~69歳の男女347人を対象
- 4週間カカオポリフェノールを多く含むチョコレートを毎日一定量摂取
- 量は1日25g、約150kcal
- カカオ72%のチョコレートを使用
日本人を対象にしたこの研究は、愛知学院大学と愛知県蒲郡市、株式会社 明治の共同で実施しました。
<その2>研究結果
研究結果では、チョコレート摂取によりBDNFという栄養因子が上昇することが判明したのです。BDNFとは脳由来神経栄養因子のことで、アルツハイマー型認知症や記憶・学習などを司る認知機能と関係が深いことがわかっています。
そして今回の結果では、チョコレート摂取後にBDNFが上昇することを見つけました。この他にも、血圧の低下やうつ病の予防など心の健康に役立つこともわかりました。
どのくらいの量を食べると良いの?
チョコレートに含まれるフラバノールの量を調べるのは難しいですが、フラバノールはポリフェノールの一種です。つまり、ポリフェノールの含有量が高い高カカオチョコレートを摂ることが有効だと考えられます。
量は、前述の「研究内容その2」を参考に、カカオ72%のチョコレートを1日25gを目安にすると良いでしょう。
★関連記事はこちら
チョコレート摂取で注意したいこと
最後に、チョコレート摂取で注意したいことについて紹介します。チョコレートの選び方にもふれていますので、参考にしてみてください。
チョコレートの選び方
日常的にチョコレートを摂取すると血流を良くしたり運動機能低下を防いだりする役割が期待できるなど、さまざまな健康効果が期待できます。こういった効果を効率的に得ようとするのであれば、食べるチョコレートを選ばなければなりません。
健康や認知症予防のために摂取する場合は、カカオの含有率が70%以上のチョコレートを選ぶようにしてください。
持病のチェック
高カカオチョコレートであれば糖分が抑えられていますが、高カカオチョコレート以外のミルクチョコレートなどは、糖分が多い傾向にあります。糖尿病など持病がある場合には注意が必要です。
食べ過ぎに注意
1日25gのチョコレートを食べるとすると、カロリーは150kcalほど。そのため、毎日チョコレートを食べたとしても肥満の原因になることは考えにくいです。しかし食べ過ぎてしまうと、肥満の原因になることもあるため注意しましょう。
また、チョコレートに含まれるポリフェノールは、食べるとすぐに吸収されるため効果が持続しにくいです。1日分を1回ですべて食べず、数回にわけて食べると良いでしょう。
認知症予防にチョコレートを摂るのもあり!
さまざまな研究結果により、高カカオチョコレートの定期摂取が認知症予防につながることがわかりました。介護施設では、利用者さんの認知機能を高めるレクレーションとともに定期的なチョコレート摂取を行うと良いかもしれません。ただしその場合は、チョコレートの種類や持病、量に注意するようにしてください。