【オムツ介助の注意点】介護職が知っておきたい負担軽減の方法とコツ

オムツ介助は介護で避けられないケアのひとつです。しなければならない動作に加えて注意点が多く、慣れない排泄物の処理に苦手意識を感じている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、オムツ介助を負担なくスムーズに進めるための方法やコツ、これだけは押さえておきたい注意点などをまとめて解説します。オムツの処理ばかりにとらわれていると忘れてしまいがちな注意点ばかりなので、改めて確認しておきましょう。

【オムツ介助の注意点】負担に感じる理由は?

介護スタッフがオムツ介助を負担に感じる理由は大きく分けて3つあります。詳しく解説していきましょう。

介護スタッフの身体的負担

オムツ介助は夜間も含めて、1日でひとり当たり5~10回、もしくはそれ以上の回数を行うことも。また介護スタッフには、オムツ介助が必要な利用者さんの状態によって、オムツを履いてもらうために身体を持ち上げる動作や、身体の向きを変える動作などが求められます。
オムツ介助において、介護する側が睡眠不足で体調を崩さないようにする点や、体力が必要となる点が、介護スタッフが負担を感じやすい部分です。

利用者さんの精神的負担

オムツ介助は人の尊厳に関わるデリケートなケアのため、「恥ずかしい」「申し訳ない」「失禁を知られたくない」など、利用者さんの精神的負担は計り知れません
また、夜間の交換があると利用者さんもしっかりと眠ることができず、体調を崩しやすくなることもあります。
オムツ介助は、利用者さんにとって精神的負担とともに身体的負担も抱えてしまう作業なのです。

排泄物の処理が苦手

排尿・排便そのものが起因する負担もあります。尿は時間の経過とともにアンモニア臭がきつくなりますし、排便は見た目・臭いのどちらも慣れないものなので処理は苦手、という介護スタッフは多いのです。

【オムツ介助の注意点】負担を軽減する方法をチェック

両者に負担はあるものの、オムツ介助は必要なことです。ここからは、オムツ介助の負担を軽減する方法と注意点を3つご紹介します。簡単な事前準備で改善できることばかりなので、すぐに取り入れてみてください。

臭い対策をしっかりする

まずは排泄物の臭い対策をしておきましょう。すぐできる臭い対策には、窓を開けて換気・空気清浄機や消臭剤の設置といった方法があります。また、防臭効果のあるオムツ袋に入れて処分するとき、新聞紙やビニール袋などで二重に包んでから処分するのも効果的です。
オムツ介助をする際には、利用者さんにあからさまに対策していることを気付かれないように意識しましょう。


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排泄回数や時間を把握する

利用者さんの排泄回数や時間を把握するとオムツ介助の回数が少なくなるため、介護スタッフだけでなく利用者さんの負担も減ります
介助さえあればトイレで排泄できる場合、介護スタッフがオムツの処理をする必要がなくなり、利用者さんの生活の質も向上するでしょう。また、必ずオムツ介助が必要な場合、毎日決まった時間に実施されるとわかれば気持ちの整理がつき、介護スタッフも慌てることなくオムツ介助ができます。
夜間の排泄が気になる場合、寝る前の水分量の調節や日中のうちに排便ケアをしてスッキリしておくのも有効な方法です。
オムツ介助の回数を少なくする場合、オムツが濡れていなくとも適宜交換することが注意点として挙げられます。皮膚がオムツ内の湿気に刺激され、皮膚病や感染症を引き起こしてしまう場合があるからです。吸収力のあるオムツを使用する場合には、特に注意しておきましょう。

漏れや身体への食い込みがないようにする

身体に合わせたオムツを使用し、漏れや身体への食い込みがないようにすることも大切です。オムツが身体に合っていなければ、オムツが擦れて皮膚トラブルに繋がったり、漏れてしまってオムツ介助により負担がかかったりと、利用者さんと介護スタッフどちらにもデメリットが生じます。排泄量やギャザーの幅などを考慮し、利用者さん一人ひとりに合ったオムツを用いましょう。
注意点は、サイズの合ったオムツを使っていても、テープ位置など正しい使用方法がとられていないと漏れや食い込みが起こってしまうということ。テープの貼り方、フィット感、オムツと身体の中心が合っているかという点も確認しておきましょう。

【オムツ介助の注意点】スムーズに進めるコツ

ここからは、オムツ介助をスムーズに進めるコツをご紹介します。前述したオムツ介助の方法や注意点と併せて実践してみてください。

声かけで利用者さんと連携を

オムツ介助は力勝負です。利用者さんへ声をかけて連携をとり、サポートしてもらうようにしましょう。声かけは、介護スタッフの身体的負担を減らすだけでなく、利用者さんの羞恥心や罪悪感を払拭する手立てにもなります


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利用者さんの健康状態やプライバシーに気を配る

手早くオムツ介助をするためには、利用者さんのプライバシーを守りながら健康状態を的確にチェックすることが必要です。
陰部の状態や皮膚の発色といったポイントを確認することに加え、今日の飲食物や使用した薬などを把握しておくと、排泄物が変わっているときに異常がすぐわかります。
また、オムツに対して抵抗感がある方は、言葉ひとつでオムツを拒否して勝手に脱いでしまうなど、介護スタッフの負担が増えてしまうことも。「紙パンツ」「尿パッド」など言葉を変えてみる、他の利用者さんにオムツ交換をすることが気付かれないようにするなど、利用者さんの尊厳とプライバシーを守りながら行いましょう。

段取りが何より大切

オムツ介助をスムーズに進めるためには、とにかく段取りが大切です。介助しやすいようにベッドの高さを変える、臭いがこもらないよう換気する、使用済みオムツをすぐに処分できるよう新聞紙やビニール袋を広げて準備しておくなど、物品準備と環境整備を行っておきましょう。また、利用者さんへ今からどういう流れでオムツ介助をするか一言伝えておくだけで、利用者さんが心の準備できるだけでなく、オムツ介助する際に身体を動かしてもらえるなど連携がスムーズに進みます

オムツ介助を両者の負担なく進めるためにコツと注意点を確認しておこう

オムツ介助を利用者さんと介護スタッフ両者の負担なく進めるためには、段取りや手順といったコツを押さえて行うことが大切です。また、プライバシーや健康面への配慮、利用者さんそれぞれに合わせたオムツ介助を行うなど、注意点を踏まえておくと、よりスムーズに実施することができます。今回ご紹介したのはオムツ介助にすぐに取り入れられるポイントばかりなので、早速次回から実践してみてはいかがでしょうか。

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