薬の一包化とは?服薬介助で知っておきたい基礎知識

利用者さんの中には、1回に3~5種類の薬を服用している方も。薬の種類が多いことで飲み忘れや飲み間違い、誤嚥などを引き起こす可能性があります。介護スタッフは利用者さんの身の回りのサポートをしますが、服薬介助はどこまで行えるのでしょうか。そこで今回は、介護スタッフが服薬介助で知っておきたい基礎知識や、薬の一包化について紹介します。外来服薬支援制度についても説明しますので、ぜひ参考にしてください。

介護スタッフは服薬においてどこまでのサポートができる?

まずは、介護スタッフができる服薬サポートの範囲について見ていきましょう。

服薬介助はOK

そもそも服薬介助とは、介護スタッフが利用者さんの服薬をサポートする行為のことです。服薬介助では、薬の種類や個数を確認したり飲み忘れを防ぐために声かけをしたりします。

ただし服薬介助の中には医療行為が含まれることも。介護スタッフは医療行為ができないため、服薬介助と医療行為のボーダーラインに注意しなければなりません。

介護スタッフができる服薬介助は主に以下のとおりです。

  • 声かけ
  • 一包化された薬の用意
  • 飲み残しの確認
  • 軟膏の塗布
  • 坐薬挿入
  • 点眼
  • 湿布の貼付 など

次では、服薬介助NGとなるケースを見ていきましょう。

服薬介助NGなケース

服薬介助NGとなるのは主に以下のようなケースです。

  • PTPシートから薬を出す
  • 薬の量を調整する
  • 容態が安定していない利用者さんの服薬介助
  • 服薬に専門知識を要する服薬介助 など

PTPシートとは錠剤やカプセルなどをアルミで挟んだシートのこと。利用者さんの中には、PTPシートのプラスチック部分を強く押せず、うまく取り出せない方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、介護スタッフがPTPシートから薬を取り出すのは医療行為になるため注意しましょう。また、薬の量を介護スタッフが調整することもNGです。

服薬介助NGとなる行為は控え、看護師や医師に相談すると良いでしょう。

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薬を一包化することは可能?

薬の種類や量が多い、利用者さんがPTPシートから薬を取り出せないなど服薬介助で困っている場合は、薬を一包化してもらうのもおすすめです。ここでは薬の一包化とはどういうものか、メリットやデメリットについて見ていきましょう。

薬の一包化とは?

薬の一包化とは、1回に飲む数種類の薬を1袋にまとめることです。一包化するには処方した医師が指示しなければならず、また一包化は薬剤師以外できません。

薬の一包化のメリット

薬を一包化するメリットについて紹介します。

  • 飲み忘れや飲み間違いを防げる
  • 利用者さんの服薬ストレスが軽減できる

薬の飲み忘れがあると、利用者さんの病状を悪化させるリスクが高まるだけではなく、残った薬を廃棄するケースが出てきて医療費が無駄になってしまうことも。そのため一包化していれば、飲み忘れや飲み間違いを防げて医療費削減にもつながるでしょう。

また、手が不自由で自分で薬を取り出せない利用者さんの服薬ストレスを軽減できるというメリットも考えられます。

薬の一包化のデメリット

薬の一包化にはメリットがある半面、デメリットもあります。主なデメリットは以下のとおりです。

  • 一包化できない薬がある
  • 一包化に時間がかかる
  • 利用者さんに金銭的負担がかかる

薬によって湿気や光に弱いなどの特性があります。そのため一包化用の包装シートではなく、特殊なシートに入れなければならないことも。

通常の調剤であれば各薬を処方日数分用意すれば良いですが、一包化する場合は1度すべて包装シートから取り出さなければなりません。そして1回分ずつ一包化し、薬剤師による目視確認も必要になるのです。結果、一般的な調剤と比べると倍の時間かかることも。

また調剤コストが増え、利用者さんに金銭的負担がかかる可能性があります

外来服薬支援制度を活用すると便利!

服薬や薬の一包化で困ったときには、外来服薬支援制度を利用すると良いでしょう。ここでは外来服薬支援制度の概要と利用の際の注意点を紹介します。

外来服薬支援制度とは?

近くの薬局に薬を持って行くことで、服薬管理をしてもらえる制度のことです。服薬管理の中には一包化も含まれます。

外来服薬支援制度を利用する際の注意点

ただし誰でも利用できるわけではなく、薬を処方した医師が認めた場合のみ利用可能です。また、外来服薬支援制度を利用できるのは1ヶ月に1回のみ

基本的には薬を受け取った薬局での服薬管理が優先されますが、場合によっては近くの薬局でも利用できるケースがあります。

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介護スタッフができる飲み忘れを防ぐためのサポート方法

ここからは利用者さんの薬の飲み忘れを防ぐために、介護スタッフができるサポート例を紹介します。

お薬カレンダーの活用

お薬カレンダーとは、カレンダーのように日付や曜日が書かれたものです。各日にちにポケットがあるため、そこに飲むべき薬を入れておきます。きちんと薬を飲めばポケットが空になるため、飲み忘れを防げるというわけです。

日付だけのものや曜日に朝・昼・晩と分けられたものなど、さまざまなお薬カレンダーがあるため、利用者さんの薬の種類に合わせて選ぶと良いでしょう。

声かけをする

シンプルな方法ですが、薬を飲んだのか声かけするのもおすすめです。介護スタッフ側で服薬チェックシートのようなものを用意し、服薬確認できたらチェックを記入するなどすればより確実でしょう。

介護スタッフが服薬介助で心がけること

最後に、介護スタッフが服薬介助で心がけることについて紹介します。

誤嚥予防

利用者さんの中には、ものを飲み込む機能が低下している方も。そういった方の場合、服薬で誤嚥する可能性があります。薬を飲む際は体を起こしたり、頭を持ち上げたりして服薬のサポートをしましょう。

また薬を飲むときはあごを上に向けがちですが、少し下を向いたほうが飲み込みやすくむせにくいです。

飲み間違いや落薬の予防

飲み間違いや飲み忘れは、利用者さんの健康にも影響します。薬の一包化を依頼したり、看護師に服薬管理してもらったりして飲み間違いを防ぐ工夫をしましょう。

また、薬は小さく転がりやすいものです。落薬を防ぐために、利用者さんにふちのあるお盆の上で薬を出してもらうと良いでしょう。薬が転がらないように、テーブルにタオルを敷くのもおすすめです。

飲み物チェック

飲み薬は、基本的に水かぬるま湯で飲みます。しかし利用者さんの中には、薬の味が苦手で「ジュースで飲みたい」という方がいるかもしれません。しかしジュースで薬を飲むと、薬の効果が低下したり副作用が起きたりするケースがあります。

利用者さんに水やぬるま湯で飲む理由を伝えてサポートするか、服薬ゼリーなどを活用すると良いでしょう。

服薬後のチェック

薬を飲んだあとは、利用者さんに体調の変化がないかチェックしてください。また、薬を飲んだように見せかけて吐き出す方もいます。服薬サポートする場合は、確実に飲み込んだかを確認しましょう。

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服薬介助ではさまざまな工夫を

介護スタッフは服薬介助ができますが、医療行為に該当する行為はできません。介護スタッフが利用者さんにできるサポートを適切に行いましょう。薬の種類が多く服薬管理が難しい場合は、薬の一包化を相談するのもおすすめです。ただし、一包化や外来服薬支援制度の利用は、利用者さんの金銭的負担が大きくなる場合があるため、その点もしっかり説明しましょう。

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