介護記録とは?内容や作成する目的について知ろう

介護記録とは、その名の通り、提供した介護サービスの内容を記録したものです。介護スタッフが作成し介護施設にて保管します。事業所での保管期間は2年ですが、地域によっては5年のところも。このように長期間保管する義務がある介護記録は、介護スタッフであれば、作成が当たり前のものだと思っているかもしれません。しかしそもそもどうして介護記録が必要なのでしょうか?今回は、介護記録とはどういうものなのか、そして、介護記録を作成する目的について紹介します。

【わかりやすく解説】介護記録とは?

介護記録とは、介護スタッフが行った介護サービスの内容や利用者さんの健康状態、普段と違う様子はなかったかなどを記録に残すものです。手書きで作成する施設もあれば電子化され、スマホやタブレット、パソコンなどに入力するケースもあります。

介護記録の作成および保存は、介護保険法によって義務付けられていますが、例文やテンプレートがあるわけではありません。電子化された介護記録ではテンプレートなどがあるケースもありますが、手書きの場合は介護スタッフが一から記入することになります。そのため、介護スタッフによって書き方や内容が異なることも。

また、介護記録は、法律で作成を義務付けられているからという理由だけではなく、その他にもさまざまな目的があって作成されるものです。介護記録作成の目的がわかれば、介護記録を作成する際に必要な項目を漏れなく記入できます。「何を書いたら良いのかわからない」ということが減り、作成時間短縮にもつながるでしょう。

ここからは、介護記録作成の目的について見ていきます。

目的1 提供サービスの報告

介護事業所では、適切なサービスや運営が行われているかをチェックするために、定期的に実地指導や監査が行われます。その際に、介護記録は、提供サービスの内容をチェックするために利用されているのです。

介護記録がなければ、いくら介護スタッフがサービスを提供したとしてもそのサービスを証明するものがありません。口頭で報告してもサービスを提供していない可能性があり、また報告内容を改ざんされる可能性もあるため、記録として残すように求められています。

介護記録は、提供したサービス内容の報告の意味合いと介護スタッフが仕事をした証明にもなるものです。詳細に、そしてわかりやすく記入しましょう。

目的2 利用者さんの様子や変化の観察

介護記録では、介護サービスの基本である利用者さんのバイタルチェックの内容も記録として残します。体温や血圧、脈拍、食事の様子など内容はさまざまです。

その他にも利用者さんの生活の様子やいつもとは違う変化などを記します。たとえば、「食欲がないようだった」や「傾眠の傾向が見られた」などの状況を記入しておけば、体調が大きく変化した際に、いつから症状が出ていたのかを確認できるからです。

目的3 スタッフ間での情報共有

介護の現場では、介護スタッフだけでなく医師や看護師、ケアマネジャーなどさまざまな職種の職員が関わります。一人ひとりに口頭で利用者さんの様子を伝えるのは現実的ではありません。

利用者さんが多い大規模施設では口頭での伝達は機能しないでしょう。また小規模施設であっても、伝達もれが生じ、適切なサービス提供ができない可能性が高いです。介護記録を残しておけば、いつでも誰でも確認でき、利用者さんに最適な質の高いサービスを提供できるようになるでしょう。

また、スタッフ間でサービス内容を統一する目的もあります。介護スタッフによって利用者さんに提供するサービス内容が異なると、利用者さんが戸惑い、ストレスに感じることも。安定したサービスを提供するためにも介護記録は必要なのです。

介護スタッフとなって間もない新人スタッフにとっては、どういったサービスを提供する必要があるのか、どのように介護記録を残したら良いのかを知る機会にもなるでしょう。

目的4 万一の際に利用者さんと介護スタッフを守る

介護サービスの現場では、転倒などの事故が発生する可能性があります。その際に適切な対応ができたのか、利用者さんの状況はどうだったのかなどを介護記録に残しておけば、後々利用者さんや介護スタッフを守ることにつながるでしょう。

たとえば、利用者さんが一人のときに転倒して頭をぶつけていたとします。そのことを知った介護スタッフが、医師に診察してもらいその内容を介護記録に残しておけば、その後利用者さんの体調が変化した際に介護スタッフによる事故でないことが証明でき、利用者さんの治療もスムーズに行われるでしょう。

目的5 利用者さんやその家族との情報交換に利用

介護記録では、利用者さんの様子はもちろん利用者さんの健康状態なども記録します。利用者さん自身にサービス内容をチェックしてもらい、足りないものはないかサービス内容は適切だったかのチェックをしてもらえるでしょう。定期的に自分の健康状態を把握することで、利用者さんのモチベーションがアップするかもしれません。

また、遠隔地にいる利用者さんのご家族が定期的に介護記録をチェックすれば、利用者さんの体調の状態や変化を確認でき安心できます。もし介護記録で、利用者さんのご家族が不安を感じた点があれば、介護スタッフや介護事業所と共有して利用者さんを見守ることもできるでしょう。

目的6 ケアプランを活用し最適なサービスを提供

介護サービスにおいては、毎回ケアプランにそって介護サービスを提供しています。しかし利用者さんの健康状態が良くなったり悪化したりした場合には、ケアプランの内容と乖離してしまうケースもあるでしょう。

介護記録があれば、定期的に利用者さんの様子を確認でき、ケアプランの内容が利用者さんにとって最適なものなのかをチェックできます。万一乖離していれば、ケアプランの修正が簡単にでき、利用者さんが求める介護サービスを提供できるでしょう。

目的7 正当な介護報酬を得るため

介護サービスは介護保険の一部が使われています。そのため、提供したサービスによって介護報酬が計算され、報酬を得る仕組みです。口頭ではサービス内容を証明することができないため、介護記録は介護サービスを証明する重要な書類といえるでしょう。

正当な介護報酬を得るには、介護記録が必須のため、漏れがないように正確に記録してください。

介護記録とは重要な書類!正確にわかりやすく記入しよう

介護記録とは、利用者さんはもちろん、介護スタッフや事業所スタッフなどさまざまな立場・役職の関係者が閲覧し活用する重要な書類です。誰が見てもわかりやすいように、専門用語をできるだけ使わず理解しやすい内容で、正確に記録しましょう。

介護記録作成の目的を知れば、どんな内容を介護記録に記載すれば良いのかを理解できます。ぜひ次回からの介護記録作成時に活かしてください。

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