フレイル予防は食事・運動・社会参加が基本!介護現場の対応策を紹介

この記事では、フレイルとはどのような状態なのかを簡単に解説し、その予防策についてご紹介していきます。健康な状態と要介護状態の中間にあたるフレイルは、介護現場での対応によって予防が可能です。また、フレイルの状態の利用者さんも、早期に対策をとることで状態の維持や回復が期待できます。食事、運動、社会参加の側面からフレイル予防のポイントをお伝えしていくので、ぜひ参考にしてください。

フレイルとはどんな状態?簡単におさらい

フレイルとは、2014年に日本老年医学会により定められた「Frailty(フレイルティ)」という英語が語源の用語です。

フレイルとは

加齢や疾患などにより心身が衰え、社会的なつながりも弱くなり、さまざまなストレスに対して回復力が落ちてしまう状態を指します。フレイルは「健康な状態」と「要介護状態」のはざまに位置し、身体的・心因的・社会的な要因が重なり合って進行するのが特徴です。早期のフレイルはプレフレイル(フレイル予備軍)と呼ばれています。

フレイルの基準やチェックリスト

利用者さんがフレイルかどうかを判断するには、基準やチェックリストを参考にすると良いでしょう。フレイルの判定によく用いられる「改訂J-CHS基準」や、厚生労働省の「食べて元気にフレイル予防」というパンフレット内のチェックリストを参考にするのがおすすめです。

※改訂J-CHS基準

項目評価の基準
体重減少6ヶ月で2キログラム以上の意図しない体重減少
疲労感わけもなく疲れた感じがする
筋力低下握力 男性で28キログラム未満、女性で18キログラム未満
身体活動軽い運動や定期的な運動が週1回以下
歩行速度通常歩行速度が毎秒1.0メートル未満

参考:国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 改訂J-CHS基準

(当てはまる項目数が0:健常、1~2:プレフレイル、3以上:フレイルと判定)

※厚生労働省パンフレット「食べて元気にフレイル予防

フレイルについての解説はこちらの記事もぜひご覧ください。

フレイルは予防が重要!

フレイルは適切な対策をとることで予防が可能です。すでにフレイルの状態であっても、早期段階で発見して対応できれば、状態の維持や向上が期待できます。フレイル予防の方法としては食事、運動、社会参加のサポートが挙げられるので、それぞれご紹介していきましょう。

【その1】食事からできるフレイル予防

食事面では、食材の偏りがないバランスの良い食事を十分に食べることがポイント。高齢期は肥満よりも「痩せ」に注意が必要です。3食しっかりと食べることを基本として、さまざまな食品をとること、主食・主菜・副菜がそろった食事を1日2回以上とることが大切とされています。

加齢とともに筋肉量は減少する傾向にあるため、筋肉のもととなるタンパク質を豊富に含む食材を積極的に食べることも重要です。介護施設内の食事では、トーストをチーズトーストにして提供する、献立に納豆を加えるなど、タンパク質を多く含む食品を積極的に取り入れる工夫を。介護スタッフとしては、利用者さんが食事を残さず食べられるよう積極的に声かけをするなど心掛けると良いでしょう。

【その2】運動(体操)からできるフレイル予防

フレイル予防には運動も大切。高齢者は年齢を重ねるごとに活動量が減りやすいため注意が必要です。活動量が減少すると筋肉量が落ち(サルコペニア)、運動機能が低下して日常生活に支障が出てしまうケース(ロコモティブシンドローム)もあります。

予防策としては、日々の生活で「しっかり歩く」「しっかり動く」を意識することが重要。有酸素運動、ストレッチ、筋トレ、バランス訓練といった運動を取り入れると良いと言われています。介護サービスの現場では、ウォーキングや散歩などの有酸素運動や、体操・ストレッチなどのレクリエーションを取り入れていくのがおすすめです。

【その3】社会参加からできるフレイル予防

コミュニケーション不足が孤立や活力低下につながり、フレイルが進行してしまうケースもあるので、フレイル予防には積極的な社会参加も欠かせません

社会参加の例としては、就労のほかにボランティア活動に参加したり、地域の幼稚園や小学校などとの交流会に参加したり、趣味の活動で集まったりすることが挙げられます。介護施設の催しで高齢者が気軽に集まれる場を企画してもいいでしょう。

【その他】フレイル予防で気をつけるべき点とは

フレイルは、口腔機能の低下で食事を思うようにとれず、栄養状態が悪化して進行するケースもあります。そのため、日頃から口腔ケアに気を配ることも大切です。また、慢性疾患がある場合は進行させないこともポイント。介護施設では利用者さんの持病を把握しておくことも重要です。

食事・運動・社会参加でフレイル予防を!

フレイルとは、加齢により心身が衰えていくことですが、適切な対策をとることで進行を予防することができます。バランスやタンパク質を重視した食事、適度な運動や人と関わりを持てる社会参加がポイントです。介護スタッフとしては、提供する食事メニューやレクリエーション、声かけ方法などを工夫して、利用者さんのフレイル予防をサポートしていきましょう。

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