老人ホームで導入が進む施設内通貨とは?メリット・デメリットも

老人ホームなどの介護施設で、今続々と導入されている「施設内通貨」を知っていますか?文字通り、施設内でのみ利用できる架空の通貨で、利用者さんの自立支援や認知機能の改善などに効果があると言われています。何より、老人ホームの利用者さんにとって、通貨を稼ぐ・貯める・使うといった行為は大きな楽しみにもなるそう。そこで今回は、今注目を集める施設内通貨について詳しくご紹介します。

導入する介護施設多数!施設内通貨制度とは?

施設内通貨とは、介護施設や事業所などが作成した、その施設・事業所内でのみ利用することができる架空の通貨のことです。老人ホームなどの介護施設においては、利用者さんの注意力・理解力・認知力・手指上肢の運動機能の向上などが期待できるとあって、施設内通貨制度の導入が広がっています。

施設内通貨の単位は「円」を用いることは少なく、地元の名産品や施設名、縁起の良いワードなどにちなんだ、さまざまな名称が付けられているのが特徴です。

老人ホームでの施設内通貨、その使い道は?

施設内通貨は、老人ホームをはじめ、デイサービスやグループホームなどさまざまな介護施設で導入されています。施設内通貨制度の詳細は各施設によってさまざまですが、主な使い道は稼ぐ・貯める・使うの3つです。つまり、実際の通貨と同じように使うことができます。では、施設内通貨を稼ぐ・貯める・使うとは、具体的にどのような行動によって行えるのでしょうか。具体的な例を見てみましょう。

老人ホームなどで施設内通貨を「稼ぐ」の例

施設内での生活や活動のあらゆる行為に対して施設内通貨を稼ぐことができます。

  • 自分で洗濯物を干す
  • 施設の庭掃除や植物の水やりをする
  • 脳トレやリハビリを行う
  • 髪を自分で乾かす
  • 自分でバイタルチェック(血圧測定・検温)を行う など

老人ホームなどで施設内通貨を「貯める」の例

「貯める」行為は、実施の通貨と同様に、稼いだ施設内通貨を自ら管理・保管します。施設によっては、利用者さんが施設内通貨を管理できるよう専用の通帳を用意している場合もあるようです。

老人ホームなどで施設内通貨を「使う」の例

施設内通貨を使って、利用者さんがさまざまな行為を楽しめるよう工夫されています。

  • 散髪やネイルアートをしてもらう
  • ゲームやパチンコなどの娯楽を行う
  • 野球観戦など特別な場所へ外出に出かける
  • コーヒー・乳酸菌飲料・オレンジジュースなど好きなドリンクをオーダーする
  • 各種コンサートへの参加
  • 施設内でのバザー・お祭りにて商品や食べ物の購入 など

施設内通貨制度に問題点はある?メリット・デメリット

施設内通貨制度の導入による、メリットとデメリットをまとめました。

たくさんの嬉しい効果が期待できる!施設内通貨制度導入のメリット

施設内通貨には、さまざまなメリットがあると言われています。

  • 利用者さんの自己決定・自己選択によってスケジュールを組み、主体的に1日を過ごすことで、利用者さんが意欲的に楽しみながらリハビリや活動に取り組める
  • 施設内通貨を支払い、対価を得られることで、利用者さんが満足感を得られる
  • 利用者さん同士で通貨を数えたり、支払いをするときに協力しあったりと、利用者さん同士の交流ツールになる
  • 意欲的に稼ぐ・目的をもって貯める・好きなことに使う、といった行為により認知機能の改善や記憶力維持などの効果が期待できる
  • 施設内通貨の額を数えることが手の機能訓練に、金額を計算することが頭の体操になるなど

問題はある?施設内通貨制度導入のデメリット

施設内通貨の導入によって、利用者さんが被るデメリットはほぼありません。しかし施設・事業者側にとっては、導入コストがかかるというデメリットが挙げられます。事業所内で一から作成する場合は、用紙代・印刷代などのほか、用紙を紙幣の形に裁断する手間や利用者さんに対し利用法の説明をする時間コストなども必要です。デザイン会社などに施設内通貨の作成を依頼することも可能ですが、相応の費用を要するでしょう。
そのほか、施設内紙幣は使用しているうちに破損することも考えられるので、補修・補充のためのランニングコストも必要になります。

稼ぐ・貯める・使うを楽しめる!老人ホームの施設内通貨

施設内通貨は、利用者さんの認知機能の改善や記憶力維持、手の機能訓練などに役立つ効果的なツールです。自分で稼いで、貯めて、好きなことに使うという行為は、利用者さんに生活の楽しみや活力を与えることもできます。たくさんのメリットが期待できる施設内通貨、ぜひ導入を検討してみてください。

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