介護ロボットについて知りたい!種類や導入するメリットとは

IT化が進み、さまざまなAIやロボットが導入されている現代において、介護業界も例外ではありません。高齢化が加速する日本では、介護ロボットは人材不足の救世主として注目を浴びており、国や自治体をあげた事業として進められています。そもそも介護ロボットとはどんなものなの?という疑問をお持ちの方も多いかもしれません。ここでは、介護ロボットとは?という疑問から、ロボットの種類や導入した場合のメリットやデメリット、さらに介護ロボットの未来について解説します。

介護ロボットとは?

介護ロボットとは、利用者さんの自立を支援し、介護をする方の負担軽減を目的に開発が進められている介護機器のことを言います。

厚生労働省では、「情報を感知し(センサー系)」「判断し(知能・制御系)」「動作する(駆動系)」これら3つの要素技術を有する、知能化した機械システムを『ロボット』と定義しており、ロボット技術が応用され利用者の自立支援や介護者の負担軽減に役立つ介護機器と示しています。

引用元:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000210895.pdf

高齢者の人口が増える一方で、働き手である人材不足が課題である介護業界。厚生労働省と経済産業省を中心として開発が進められている介護ロボットですが、現状ではまだ普及が進んでいません。とはいえ、人材不足解消や負担軽減が可能な介護ロボットには大きな期待が寄せられています。さまざまなデメリットの解消によって将来的に普及していく可能性は大きいと言えるでしょう。

介護ロボットの種類

ロボットというと、二足歩行の人型ロボットを思い浮かべる方も多いかもしれません。介護業界で活躍するロボットはさまざまな種類があり、使う目的によって姿、形が異なります。介護ロボットは、大きく分けると3種類に分類可能です。

介護支援型

入浴や排泄、移乗などの介護業務を支援するためのロボット。身体的に負担がかかる業務をサポートします。介護者の負担軽減や利用者さんの緊張感・恐怖感を和らげることが可能です。

自立支援型

食事や歩行、リハビリなど利用者さんの自立を補助するロボット。たとえば、膝に装着して膝にかかる負担を軽減し、自立歩行や立つ・座るという動作をサポートします。

コミュニケーション/セキュリティ型

AIを搭載して、人とコミュニケーションを取ったり、見守りセンサーによって利用者さんの様子をチェックしたりできるロボット。事故や徘徊予防にも有効です。コミュニケーション型は、会話ができるだけでなく、音楽やクイズなどレクリエーション機能がついているタイプや声掛けをするタイプなど、さまざまなタイプがあります。

厚生労働省と経済産業省では、介護ロボットの開発・導入のために「ロボット技術の介護利用における重点分野」を6項目13分野に定めています。

移乗支援

  1. 装着
    ロボット技術を利用し、装着して介護者のパワーアシストを行います。
  2. 非装着
    ロボット技術を利用した非装着型機器で、介護者による抱え上げ動作についてパワーアシストを行います。

移動支援

  1. 屋外
    荷物などを安全に持ち運ぶための歩行支援機器。
  2. 屋内
    屋内移動や立ち座りなどの動作をサポートする歩行支援機器です。特に、トイレ内での姿勢保持などを支援します。
  3. 装着
    膝や腰に装着し、利用者さんの外出をサポートする移動支援機器です。転倒防止や歩行補助などを行います。

排泄支援

  1. 排泄物処理
    排泄物の処理方法にロボット技術を利用した設置位置が調節できるトイレ。
  2. トイレ誘導
    ロボット技術を利用し、排泄を予測、的確なタイミングでトイレへと誘導します。
  3. 動作支援
    ロボット技術を利用し、トイレ内での衣服の着脱など、排泄に関する一連の動作をサポートする機器です。

見守り、コミュニケーション

  1. 施設
    介護施設で使用するセンサーや外部通信機能が備わった機器のプラットフォーム。
  2. 在宅
    在宅介護で使用する転倒を検知するセンサーや、外部通信機能が備わった機器のプラットフォームです。
  3. 生活支援
    コミュニケーションなどにロボット技術を利用した生活支援機器。

入浴支援

ロボット技術を利用し、浴槽に入浴に関する一連の動作を支援する機器のことです。

介護業務

ロボット技術を利用し、見守りや移動支援、排泄支援などの介護業務に関する情報を収集・蓄積し、利用者さんに必要な支援として活用することを可能とする機器。

介護ロボット導入のメリット・デメリット

続いて、介護ロボットを導入した場合のメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット

介護ロボットの導入による介護者の精神的・身体的負担減少は、大きなメリットのひとつです。介護の仕事は、身体的負担のかかる業務が多々あります。利用者さんの身体を支えたり、立ちっぱなしや中腰での作業が多かったりと、腰や膝の痛みに悩む方も少なくありません。また、介護の度合いが重いほど、夜間の見回りが必要になり、介助にも気を使うなど精神的負担がかかってきます。介護ロボット導入によって、体力が必要な業務や夜間の見回り回数の軽減・減少、利用者さんの体調の変化への対応などがより細かく可能に。介護者の精神的・身体的負担の軽減にもなるでしょう。

利用者さんの中には、介護をしてもらう際に「恥ずかしさ」や「申し訳なさ」を感じる方もいらっしゃいます。介護ロボットの導入によって、利用者さんの精神的なストレスを軽減できる点も、メリットのひとつです。

さらに、介護ロボット導入により現場での業務効率がアップすれば、人手不足の解消や人件費削減にもつなげられます。介護ロボットの導入は、介護者・利用者さん双方にとって、大きなメリットがあるのです。

デメリット

介護ロボットの導入は、国をあげて推進されている事業ですが、まだまだ一般的に普及していません。その大きな理由のひとつとして、導入コストがかかるという点が挙げられます。単価も高く、活用事例がまだ少ないことから、効率的な運用のノウハウが確立されていないのが現状です。不安感から利用したくてもできないという介護施設も多く、普及率が進まない原因となっています。

介護ロボットを導入しても操作が難しく慣れるまで時間がかかるという点も改善すべきところのひとつ。介護ロボットをうまく扱うには、機能や適切な操作方法について理解する必要があります。操作のためにスタッフの負担が増えると、導入した意味がないと感じることもあるでしょう。

デメリットも多い介護ロボットですが、利用者さんや介護者にとって多くのメリットがあるのも事実です。デメリットを改善していくことで、介護ロボットの普及率アップにつながるでしょう。

介護ロボットの未来は?

少子高齢化が進む現代において、介護ロボットの開発・導入は早期の対応が求められています。介護ロボットの実用化には、ロボットの精度を上げるだけでなく、扱う人材の育成も不可欠です。2019年に創設された「スマート介護士」は、介護ロボットの操作技術だけでなく、ロボットの効果的な運用により業務効率化と介護の質の向上を目的とした民間資格。このように、介護ロボットの導入に向けた資格の創設は、将来性への期待が伺える事例とい言えるでしょう。

普及に時間がかかりそうな現状ではありますが、国や自治体による事業推進の動きから、今後補助金や助成金制度も整えられていくことが考えられます。介護業界が抱える人手不足や介護者の負担軽減といった課題を、介護ロボットの導入などによりひとつずつ解決していくことで、将来のビジョンも期待できるはずです。

介護ロボットは介護業界にとって希望の光

介護ロボットは、まだまだ開発中の事業なので課題も多いですが、利用者さん・介護者双方にメリットが多いのも事実です。開発・導入が進むことで、コスト面や操作面においても改善され、介護ロボットの需要は増加するでしょう。介護業界の希望の光として、介護ロボットが活躍する未来もそう遠くはないかもしれませんね。

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