梅雨のカビ対策が病気を防ぐ?高齢者ケアで見直したいポイントとは

湿気が増え、気温も上がる梅雨の時期に発生しやすいのがカビです。人によっては、カビが原因となり、アレルギーや病気が引き起こされることもあります。肺機能や免疫力が低下していると発症しやすいため、高齢者の多い介護施設ではとくに気をつけたいところ。そこでこの記事では、梅雨のカビが原因となる病気やカビ対策について解説していきます。梅雨のカビ対策について理解を深めていきましょう。

梅雨のカビが原因で起こる病気もある!

カビは微生物の一種で、きのこや酵母などと同じ「糸状菌」です。栄養や水分を吸収して成熟すると胞子を作って空気中を舞うため、人は1日に1万個のカビ胞子を吸っていると言われています。

カビは、次の3つの条件が揃うと増えやすくなります。

  • 温度:室温25℃~30℃
  • 湿度:80%以上
  • 栄養:皮脂汚れやほこり、食べこぼしなど

梅雨の時期は、これらの条件が揃いやすいため、とくに注意が必要です。

健康な方であれば、体内にカビを取り込んでも撃退する機能があるため、あまり大きな問題にはなりません。しかし、肺機能や免疫力が低下している方だと病気を発症することもあるため注意が必要です。

長引く咳の原因はカビかも?「夏型過敏性肺炎」

夏になると風邪をひきやすい、咳がいつまでも続くなどの症状がある場合には、「夏型過敏性肺炎」を発症している可能性があります。

夏型過敏性肺炎の原因は、室内に発生するトリコスポロンと呼ばれるカビ。トリコスポロンの胞子を吸い込むと、咳などの症状が起こります。夏風邪との大きな違いは、家や介護施設などを離れると咳が治まること。トリコスポロンは、温度20℃以上・湿度60%以上の環境を好むため、6月~10月はとくに注意しましょう。

また、トリコスポロンは古くなった畳や木、エアコン内部などに多くみられます。梅雨時期前後のカビ対策としては、カビの除去と繁殖しない環境作りが大切です。可能であれば、古くなった畳や木は取り替えたほうがよいでしょう。エアコンは定期的な掃除を心がけ、すでにカビが生えている場合には専門の清掃会社に依頼すると安心です。

喫煙歴のある方はとくに注意!「肺アスペルギルス症」

咳や血痰、ゼーゼーとした呼吸音が聞こえる喘鳴などの症状は、カビが原因の「肺アスペルギルス症」の可能性もあります。

肺アスペルギルス症の原因は、空気中や水中、土壌などに分布するアスペルギルスと呼ばれるカビの一種です。ごく身近なカビであり、日常生活の中でほとんどの方が吸い込んでいるものなのだそう。健康な方はとくに問題にならない一方で、免疫力が低下している方アレルギー体質の方などは、発症する可能性が高まります。

また、肺の一部が破壊され袋状の空洞ができる「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」も、肺アスペルギルス症の発症リスクを高める疾患です。COPDは喫煙歴のある方がなりやすい疾患のため、該当する方は注意が必要でしょう。アスペルギルスは梅雨以外でも発生するため、カビ対策には空気清浄機の使用や、エアコンの定期的な清掃・メンテナンスが大切です。

浴室のバスマットのカビが原因のこともある「水虫」

足の指の間がジュクジュクと赤くなって皮がむけたり、かゆみが強くなったりといった症状があると「水虫」の可能性が高まります。

水虫の原因は、白癬菌(はくせんきん)と呼ばれる、カビの一種。この菌が皮膚の角質に寄生することで発症する感染症です。人から人へと広がる疾患で、水虫の方の皮膚から剥がれ落ちた角質を、傷がある素足などで踏むと感染リスクが高まります。白癬菌は温度15℃以上、湿度70%以上の高温多湿の環境を好むため、梅雨の時期には一層のカビ対策が必要です。

とくに注意したいのは、浴室のバスマットやバスタオルなど、共同で使うもの。水虫の方がいる場合には、別々のものを使ったり靴下を毎日交換したりするなど、対策を試みましょう。白癬菌は、皮膚についたまま24時間以上高温多湿の環境にいたときに発症リスクが高まるため、その前に洗い流すことが大切です。

梅雨に欠かせない3つのカビ対策

カビの多くは、高温多湿の環境を好むため、雨が多く気温も上がりやすい梅雨の時期にはカビ対策が欠かせません。ここからは、梅雨の時期のカビ対策の3つのポイントについて見ていきましょう。

対策1.エアコンや空気清浄機は定期的に手入れする

エアコンや空気清浄機などの内部は高温多湿になりやすく、カビが繁殖しやすい場所です。そのため、定期的な手入れが健康を守ることにつながります。フィルターやフィンなどは、月2回を目安にほこりなどを取り除いておきましょう。また、エアコンは、冷房を使った後に送風運転を30分以上行うと、内部の湿度を下げられます。梅雨の時期は、普段の掃除にこうしたカビ対策を加えてみましょう。

対策2.水回りや窓枠などを清潔に保つ

湿気の多い水回りは、カビが好む環境です。梅雨時期はより一層その環境が整うため、とくに次の場所はしっかりカビ対策しましょう。

<浴室>

入浴後に浴室全体を温水のシャワーで洗い流し、最後に冷水をかけて室温を下げます。仕上げに雑巾などで水分をふき取り、換気扇をつけるとカビが防げるでしょう。

<キッチン>

使用後は、飛び散った水などをしっかりふき取ることが大切。すでに生えているカビは、カビ取り洗浄剤などで取り、仕上げに消毒用アルコールを吹きつけて予防しましょう。

<窓枠>

ほこりや結露がたまりやすい場所です。ほこりはこまめにふき取り、仕上げに消毒用アルコールを吹きかけておくとカビの予防になります。

対策3.定期的な換気が大切

梅雨の時期には、定期的な換気もカビ対策に欠かせません。ポイントは、空気中に飛んでいるカビを室内で拡散させずに、外へと排出すること。雨が降っている日などは、換気扇を回すことで、できるだけ空気を滞留させないようにしましょう。また、空気清浄機や扇風機などをつけることも、梅雨の時期のカビ対策に効果的です。

梅雨のカビ対策は病気を防ぐためにも大切!

梅雨の時期に発生しやすいカビは、人によっては病気の原因となるため注意が必要です。とくに高齢の利用者さんは、免疫力が低下している方も少なくないため、カビ対策は十分行いたいところ。エアコンや水回りなどを清潔に保ち、換気もしっかり行うことで、カビによる病気のリスクをできるだけ減らしていきましょう。

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