高齢者のスキンケア【梅雨・夏編】あせもや床ずれなど皮膚トラブルを予防!

じめじめと不快感が増す梅雨時は、スキンケアが重要なことをご存じでしょうか。
特に要介護状態の高齢者の場合、介護者が適切なスキンケアを行わないと、肌のただれやあせも、床ずれなど、皮膚トラブルが起きてしまうことも。また、高齢者は回復力が低下しているため、一度皮膚トラブルが起きると治るまでに時間がかかります。
この記事では、梅雨時に起こりやすい高齢者の皮膚トラブルやスキンケアについてまとめました。介護施設で働く方や自宅でご家族の介護に携わる方は参考になさってください。

高齢者に多い梅雨や夏場の皮膚トラブルとは?

梅雨時や夏場に多い高齢者の皮膚トラブルにはどのような症状があるのでしょうか?

あせも

「あせも」とは、汗の通り道である汗腺がふさがり起きる炎症のこと。汗をたくさんかいたまま放置しておくと、首や背中などに湿疹ができ、かゆみを伴う場合も。

汗をかきやすい乳幼児によくみられる皮膚トラブルですが、実は高齢者でもあせもに悩むケースは多いのです。
高齢者は若者に比べ発汗量が低下していますが、高温多湿の環境にいればたくさんの汗をかきます。また、ベッドに寝たきりだったり、背もたれのあるイスにずっと座っていたりした場合は、背中にあせもができていないか注意が必要です。

床ずれ

「床ずれ」は、長時間圧迫されたことで血行不良になった箇所に摩擦が加わることで起きる皮膚疾患のひとつです。お尻や尾てい骨、肩甲骨やかかとなど、体重がかかりやすい部位に発症しやすく、初期のうちは赤みを帯びるのが特徴。寝たきりの方は特に注意が必要です。

梅雨時は、床ずれのリスクが高まる季節。なぜなら、湿気や汗で下着や衣服、シーツ類が湿り、肌との摩擦係数が増すからです。
また、汗をかいたまま放置するなど、皮膚を不衛生にしておくと、わずかな刺激で床ずれになる場合もあります
寝たきりの方の場合、梅雨時は普段以上に床ずれへの注意が必要です。

真菌感染症

真菌(水虫・カンジダなど)が起こす皮膚トラブルを「真菌感染症」といいます。
真菌はジメジメして温かいところを好むため、湿度が高くじんわり汗ばむ梅雨時は真菌感染症に気を付けなければいけません。

特に注意したいのが、脇の下や胸の下など、皮膚が重なり汗の乾きにくい部位。
手の拘縮(こうしゅく)がある方の場合、手のひらにカンジダ皮膚炎を発症することも。
おむつ交換の際も、皮膚の状態に異変がないか観察を怠らないようにしましょう。

梅雨・夏場における高齢者の皮膚トラブル対策

梅雨時期や夏期に、高齢者の皮膚トラブルを防ぐため、介護者はどのような対策をとればよいのでしょうか。

高齢者のスキンケア対策1:皮膚も寝具も「しっかり乾かす」

ジメジメした季節、高齢者の皮膚トラブルを防ぐには「乾燥」が大切です。

身体の部位

こまめにふいてタオルやガーゼを挟みましょう。ドライヤーの冷風で、水分を飛ばすのもおすすめです。
おむつ交換の際、局部を拭いてすぐおむつをあてるのはNG。しっかり乾かしましょう。少しでも濡れたままおむつをしてしまうと、おむつの中が蒸れやすくなります。

介護用品

紙おむつや尿取りパットは、新品の場合でも湿気を吸っていることも
使用前にドライヤーで湿気を飛ばすと、さらっとした手触りがよみがえりますよ。

梅雨時は、寝具を干せない日が続きます。
枕カバーや肌掛けのタオルなど、洗いやすいものだけでも、こまめに交換して清潔な状態を保ちましょう。

かけ布団や敷布団などの大型寝具は、布団乾燥機の使用がおすすめです。
寝具がカラッと乾いたものに替えると、皮膚トラブルの予防はもちろん、気分も明るくなるでしょう。

高齢者のスキンケア対策2:処方薬や保湿剤を活用する

かゆみをともなう皮膚疾患の場合、市販薬をあれこれ試すより、病院で適切な塗り薬や保湿剤を処方してもらいましょう。真菌感染症の場合、放置しておくと、周りの人に感染する可能性もあります。
しばらく使ってみて症状が改善されなければ、薬や保湿剤の変更も可能です。
医療機関と連携して、適切なスキンケアを行いたいですね。

高齢者のスキンケア対策3:かゆみが止まらないときは肌の状態をリセット!

肌のかゆみが出やすいのは、体があたたまってきたとき。
布団に入りウトウトしてきたところで、かゆみに襲われてしまい、なかなか寝付けない方もいます。高齢者本人だけでなく、介護者も睡眠不足になってしまうことも。

かけばかくほどかゆみは広がりやすいので、薬を塗ったらなるべくかかずに我慢するのが大切です。

かゆみを我慢できないようなら、冷たいタオルでかゆい部位をやさしく拭いてあげましょう。肌がさっぱりすると、かゆみが軽減することがあります。

かゆみが治まってから、あらためて薬や保湿剤を塗りましょう。

高齢者のスキンケア4:手浴・足浴ならベッドや室内でも手軽にできる!

手のひらや足の指は、汗をかきやすく汚れやすいため、できるだけ清潔に保ちたい部位です。

手足の汚れを洗い流すなら、洗面器を使った手浴と足浴がおすすめです。
室内やベッドの上でも手軽にでき、気分もさっぱり!洗ったあとは、指の間までしっかり拭き取りましょう。

洗面器にそのままお湯を張ると、お湯がこぼれやすく後片付けが大変です。
洗面器にビニール袋を入れ、そのなかで手浴・足浴をするとよいでしょう。

高齢者のスキンケアは、無理なくポイントを押さえて!

今回は、高齢者の皮膚トラブルやスキンケアについてご紹介しました。

要介護の方のスキンケアは「毎日全身くまなく!」を目指すと介護者への負担が大きくなってしまいます。
高齢者の身体状況によっては、こまめな入浴や全身の清拭が難しい場合もあるでしょう。しかし、実はピンポイントのスキンケアだけでも、肌トラブルの予防につながります。

介護者の方は、汗をかきやすい部位や汚れやすい部位を正しく理解し、肌トラブルなしで気分よく梅雨時を乗り切りたいですね。

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