高齢者の日焼け止めに正解はある?紫外線対策テクニックもチェック!
紫外線が気になる季節となりました。あなたの介護施設ではどのような対策をしていますか?紫外線は室内にいる方へも影響を及ぼすことがあり、出歩く機会が少ない高齢者の方であっても油断なりません。そこで今回は、介護職員なら知っておきたい、高齢者への日焼け止めに関する基礎知識や紫外線対策に関するテクニックをお届けしていきます。ご紹介する日焼け止めの選び方や塗り方の注意点を、ぜひ参考にしてください。
高齢者にとっても紫外線対策は重要!
紫外線対策は年齢問わず必要なこと。もちろん高齢者にとっても大変重要です。紫外線対策が必要な理由を紐解いていきましょう。
室内や日影にいても紫外線の影響を受ける
紫外線はUVA、UVB、UVCの3種類あり、私たちが影響を受けるのはおもにUVAとUVBです。UVAは、地表に降り注ぐ紫外線の9割を占めていて、実は、窓ガラスやカーテンも通過します。そのため、日中のほとんどを室内で過ごしている方も油断できません。若い方と違って外出する機会が少ない高齢者であっても、紫外線ケアは必要なのです。
日焼けだけでなく「日光角化症」や「目」への影響もある
紫外線が及ぼす影響として、日焼けやシミ・シワなどを思い浮かべる方が多いかもしれませんね。まさにその通りで、UVAは皮膚の下の真皮にまで届いてシミやシワのもとに、UVBはおもに表皮に影響し、炎症や色素沈着の原因になるといわれています。紫外線を長年浴び続けることで、腫瘍や日光角化症、皮膚がんがあらわれることもあるそうです。
高齢者が警戒すべきは肌への影響だけではありません。以下のように、目へ影響が出ることがあります。
- 強い紫外線で充血などが起こる「紫外線角膜炎」
- 水晶体が白く濁り視力に影響が出る「白内障」
- 眼球結膜の一部が角膜に入り込むようにして増殖する「翼状片」 など
高齢者の紫外線対策方法
高齢者であっても無視できない紫外線の影響は、どのようにしたら防げるのでしょうか。対策を4つご紹介します。
<高齢者の紫外線対策4つ>
- 日焼け止めを塗る
- 日傘・帽子・UVカット機能がある洋服などを身につける
- 紫外線が強い時間帯の外出は避ける
- 室内ならUVカットガラスやカーテンを利用し窓側を避ける
紫外線が気になる季節は日焼け止めを活用しましょう。室内で過ごす日も塗っておくと安心です。外出時は日傘や帽子で直射日光を防ぎます。UVカット機能があるカーディガンを羽織るなどの工夫もいいですね。紫外線が強い時間帯の外出は、なるべく避けることも重要。紫外線は10時から14時が特に強くなるそうですよ。
室内に降り注ぐ紫外線対策には、UVカット機能があるカーテンも有効です。リフォームのタイミングなどがあれば、UVカットガラスを導入するといった手段もあります。
高齢者の日焼け止めを選ぶ際のポイント
夏の時期、ドラッグストアには大変多くの日焼け止めが陳列されています。「高齢者の方が使うには、どのようなものを選べばいいのか分からない…」という方もいるのではないでしょうか。ここからは、日焼け止めの選び方をご紹介していきます。
日焼け止めの成分に注目!
高齢者向けの日焼け止めを選ぶ際にまず注目したいのが、成分です。日焼け止め効果を発揮する成分には、「紫外線散乱剤」と「紫外線吸収剤」の2種類があります。
<紫外線散乱剤と紫外線吸収剤とは>
- 紫外線散乱剤…紫外線を反射して影響を防ぐ
- 紫外線吸収剤…紫外線を吸収して化学反応で熱や赤外線に変えることで影響を防ぐ
紫外線吸収剤が含まれている日焼け止めには、塗っても白くならないというメリットがあります。しかし、アレルギー反応を引き起こすケースもあるため注意が必要です。
そのため、高齢者の日焼け止めは紫外線散乱剤のみを使用した肌に優しいアイテムがおすすめ。選ぶ際は、「紫外線吸収剤無配合」「紫外線吸収剤フリー」「ノンケミカル」といった表示を参考にすると良いでしょう。
SPFとPAに注目
日焼け止めにはSPFやPAといった表示もありますね。
<SPFとPAとは>
- SPF…紫外線による炎症の防止効果の程度を表します。表皮の炎症はおもにUVBが影響するため、UVBの防止効果を表すといってもいいでしょう。
- PA…UVAの防止効果の程度を表します。
SPFもPAも、「効果が高いものを選ぶべき」と考える方もいるかもしれません。しかし、日焼け止め効果が高いものほど、肌への負担も大きくなることを忘れてはいけません。環境省の「紫外線環境保健マニュアル2020」によると、日常生活で使用する日焼け止めは、SPF10~20、PA+~PA++程度あれば十分です。高齢者の日焼け止めも、こちらの数値を目安にすると良いでしょう。
高齢者おすすめの日焼け止めはこちら。
高齢者へ日焼け止めを塗る際の注意点
介護業務の一環として、高齢者に日焼け止めを塗るシーンもあることでしょう。そこで意識しておきたいポイントをご紹介します。
日焼け止めはコツをおさえて塗ろう
日焼け止めは、使用量を守って塗りましょう。顔に塗る場合は、額・鼻の上・頬・アゴにちょんちょんと分けて乗せ、広げるようにていねいに伸ばしていきます。顔は2度塗りすることがポイントです。腕などに塗る場合はボトルから直接、日焼け止めで線を描くように出し、クルクルと無駄なく指で伸ばしていきましょう。
日焼け止めは2~3時間ごとに塗りなおそう
日焼け止めは、汗をかいたり衣服で擦れたりすると効果が低くなってしまいます。そのため、こまめに塗りなおすことも大切。施設利用者さんの行動を見ながら、日焼け止めが落ちてしまったな、と感じたときに重ねて塗るか、2~3時間ごとを目安に重ねて伸ばしなおしましょう。
高齢者の日焼け止めは肌に優しいものを選ぼう
紫外線は肌へ影響を及ぼすだけでなく、目の疾患を引き起こす原因にもなります。紫外線は、窓やカーテンを通過して室内へ降り注ぐこともあるため、油断なりません。外出時はもちろん、室内で過ごす日もしっかりと対策をして施設利用者さんの健康を守っていきたいですね。高齢者向けの日焼け止めとしては、紫外線吸収剤のみを含むアイテムがおすすめ。SPFやPAはそう高くなくても大丈夫です。ぜひ、介護シーンで参考にしてください。