高齢者の口腔ケアは欠かせない!手順やおすすめケア用品とは

口の中で繁殖する細菌は、体全体にも影響をおよぼすことが近年明らかになっています。とくに、年齢により免疫力が低下している高齢者はその影響を受けやすいため、注意が必要です。そこで欠かせないのが、口腔ケア。歯みがきやうがいなどをきちんと行うことは、高齢者が元気に生活するための大切な習慣なのです。この記事では、高齢者の口腔ケアの必要性やメリット、おすすめのケア用品までくわしく解説していきます。

高齢者の口腔ケアの必要性とは?

口の中で繁殖する細菌を除去するために必要なのが、歯みがきなどの口腔ケアです。これらの細菌を長時間放置すると、歯周病や虫歯を引き起こす原因となります。さらに、免疫力の低下している高齢者は、口の中の細菌が体内に入り込むことで疾病リスクが高まることも。こうした理由から、高齢者の口腔ケアは、健康を維持するために欠かせない習慣といえます。

高齢者が口腔ケアを行うメリット

高齢者が口腔ケアを行うと、次のようなメリットがあります。

認知症の予防にもつながる

口内環境が悪いと、認知症の発症リスクが高まるといわれています。これは、歯周病の炎症が脳におよぼす影響や、噛む力が低下していることが要因なのだそう。また、財団法人 8020推進財団が公表する「口腔と全身の健康との関係Ⅱ」によると、歯がほとんど残っていない方は、健康な方よりも脳が萎縮しやすいといいます。こうしたことから、高齢者の口腔ケアを適切に行うことは、認知症の予防にもつながるといえるでしょう。

栄養状態がよくなることも

口腔ケアが適切に行われていると、噛む力も維持でき、食事も摂りやすくなります。そのため、栄養状態がよくなることもあるようです。また食事は、家族や仲間とのコミュニケーションの機会でもあります。口腔機能が維持できれば、食べる楽しみを失うこともありません。高齢者の心身の健康を維持するためにも、口腔ケアは欠かせない習慣でしょう。

誤嚥性肺炎など疾病リスクを軽減できる

口の中で増えた細菌は、誤嚥性肺炎などの疾病リスクも高めます。これは、増殖した口の中の細菌がだ液とともに気管に入り、肺などへ侵入するため。とくに、介護が必要な高齢者は複数の病気を患っていることが多く、重篤化しやすい傾向にあります。高齢者の口腔ケアは、こうしたリスクを軽減するためにも重要です。

高齢者の口腔ケアは2種類の目的がある!

ここでは、高齢者の口腔ケアを行う目的を確認しておきましょう。

口の中を清潔に保つための「器質的口腔ケア」

器質的口腔ケアとは、口の中を清潔に保つ目的で行うケアのこと。簡単にいえば、食後の歯みがきや入れ歯の汚れ落としなど、日常的に行っている口腔ケアのことです。高齢者の健康を保つために、欠かせない日常的なケアといえるでしょう。

口の動きを維持・回復するための「機能的口腔ケア」

機能的口腔ケアとは、口の中のリハビリを目的としたケアのこと。噛む力や飲み込む力が弱まりやすい高齢者に対し、口腔機能を維持・向上するために行います。口を大きく開けたり閉じたりする口腔体操や、だ液腺のマッサージなども機能的口腔ケアの1つ。介護施設では、食前に時間をとって行うことが多いですが、だ液腺マッサージは歯みがきを兼ねて、食後に実施してもよいでしょう。

高齢者の口腔ケアの手順

高齢者の口腔ケアの手順は、次のとおりです。

  1. 口腔ケア用品を準備
  2. うがいをしてもらう
  3. 入れ歯を取り外して洗う
  4. 歯と舌の汚れを落とす
  5. 歯ブラシでマッサージする
  6. うがいをしてもらう
  7. 入れ歯を装着

介護施設によってマニュアルが異なるかもしれませんが、以上が高齢者の口腔ケアを行う際の大まかな手順です。流れ自体はそこまで難しくありませんが、介助しながら行う際は、利用者さんに十分に説明し、ケアを行うことの同意を得ておくことが必要でしょう。

口腔ケア用品にはどんなものがある?

高齢者向けの口腔ケア用品は、さまざまな種類があります。介護施設でこれらの用意をする際は、次のアイテムをチェックしてみましょう。

歯ブラシ

歯全体の歯垢を除去するために必要なのが、歯ブラシです。アイテムを選ぶポイントは、利用者さんが使いやすい歯ブラシにすること。手首が動かしにくい方であれば電動歯ブラシを、歯みがき中にだ液が出やすい方は吸引器つきの歯ブラシがおすすめです。また、高齢者は歯ぐきが柔らかいことが多いため、毛先がやわらかいブラシのほうが使いやすいでしょう。

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スポンジブラシ

スポンジブラシとは、先端部分がスポンジになっている、使い捨ての口腔ケア用品のこと。歯の汚れをふき取れるため、うがいができない方や、むせやすい方にも適しています。また、口を大きく開けにくい利用者さんにも使いやすいでしょう。

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球形ブラシ

球形ブラシとは、だ液や痰をからめとるブラシのこと。先端部分が綿毛のようにやわらかい毛で作られているため、痛みが出にくいのが特徴です。ブラシを水で濡らし軽く押しあてながら上下左右に動かせば、粘膜のマッサージにも適しています。

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義歯用ブラシ

義歯用ブラシは、入れ歯を洗うために用いるブラシのこと。入れ歯は外してから洗うため、毛先が硬く、持ち手もつかみやすいものが多く販売されています。また、毛の硬さや大きさが違う2種類の毛が使われているものも多いため、細かい部分まで磨きやすいでしょう。

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歯間ブラシ

歯間ブラシは、歯と歯、歯と歯ぐきのすき間にある汚れを取り除くブラシのこと。歯間がどれだけ開いているかによって、適切なブラシを選んでいきます。サイズが合わないものだと、歯ぐきを傷つける恐れがあるため、注意が必要です。

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舌用ブラシ

舌用ブラシとは、舌の上に残る垢を取り除くためのブラシです。毛がついているものもあれば、ついていないタイプのブラシもあります。使用感は個人差があるため、利用者さんに適したサイズと種類のブラシを選びましょう。

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口腔用ウエットティッシュ

口腔用ウエットティッシュは、口腔内の汚れをふき取る濡れたティッシュのこと。おもに、口腔内の汚れをふき取る際に使っていきます。よだれが垂れてしまったときなどにも使いやすいため、用意しておくと便利でしょう。

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ガーグルベース

ガーグルベースとは、寝たままの状態でもうがいができるよう作られた容器のこと。ベッドの上で高齢者の口腔ケアを行う際に、便利なアイテムです。軽い素材で作られているものが多いため、握力が低下している高齢者でも使いやすいでしょう。

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口腔用ジェル

口腔用ジェルとは、高齢者の口腔ケアの際に必要な口の中の水分を補うジェルです。乾燥により汚れがこびりついているときでも、このジェルを使えばふやかして除去できます。使用後は、誤嚥につながらないよう、汚れをしっかりと取り除きましょう。

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高齢者の口腔ケアは健康を保つために欠かせない習慣!

高齢者の口腔環境が悪化すると、認知症や誤嚥性肺炎などの疾患リスクが高まります。年齢的に免疫力も低下しているため、高齢者の口腔ケアは健康を維持する上でも欠かせない習慣といえるでしょう。また、利用者さんの身体機能に合わせて、口腔ケア用品を選ぶことも大切です。日々の習慣として取り入れてもらえるよう、工夫していきましょう。

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