介護職向け・シルバーカー(手押し車)のキホン!種類や選び方まとめ

シルバーカーは、主に高齢者が使用する歩行補助具の一種。いわゆる、手押し車のことです。足腰の筋力が低下し歩行に不安がある方や、少し歩くだけで疲労感を覚える方などの歩行をサポートします。介護施設で働くスタッフであれば、利用者さんやご家族からシルバーカーについての問い合わせを受けたり、使用に際してアドバイスを求められたりすることもあるでしょう。そこで今回は、介護現場で役立つシルバーカーの種類や選び方、使用する際の注意点などの基礎知識をまとめました。

シルバーカーとは?歩行器との違いは?

シルバーカーとは、自立歩行が可能な方の外出をサポートするための歩行補助具のことです。歩行補助具とは、バランスの不安定な方が歩行するときに、体を支える面積を増やし安定性をアップさせるために用いられる器具を指します。

シルバーカーというと、電動車いすをイメージする方もいるかもしれません。しかし、一般的にシルバーカーとは手押し車のことを指し、前述の電動車いすは「シニアカー」や「電動カート」などと呼ぶことも。

シルバーカーに似たものに、歩行器があります。どちらも歩行をサポートする手動の福祉用具であることは共通していますが、使用対象者や目的が異なるので、覚えておくとよいでしょう。

使用対象者目的
シルバーカー自立歩行が可能な方・歩行時の左右のバランスを取る ・荷物をラクに運ぶ ・歩行途中で休憩をとる
歩行器自立歩行が困難な方・歩行の安定性の確保 ・足腰への負担を軽減 ・歩行時の姿勢を保持

この他、シルバーカーはすべての部品が使用者の前部に位置していることも特徴です。また、本体に座って休むための座面が設置されているシルバーカーもあります。

シルバーカー(手押し車)の種類は主に3つ

シルバーカーにはいくつかの種類があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介しましょう。

【コンパクトタイプ】外出が多い方におすすめ!

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小型タイプのシルバーカーです。軽量で高齢者にも取り扱いやすいのが特徴。ちょっとした買い物や散歩など、外出する機会が多い方におすすめです。セカンドシルバーカーとして使用する方もいます。

メリット デメリット
・軽量で持ち運びや取り扱いがしやすい
・小型で小回りがきき、狭い道でも使いやすい ・荷物の収納スペースが少ない
・軽量なので安定性はやや低め

【ミドルタイプ】スーパーなどへのお買い物にぴったり!

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中型のシルバーカーです。コンパクトタイプに比べて収容力が高いため、スーパーでの買い物など、ある程度の量のある荷物も収納できます。座面付きの製品が多いことも特徴です。

メリット デメリット
・ある程度量のある買い物時にもしっかり収納
・座面付きなら、座って休憩できる ・荷物を入れ過ぎると重たくなり、扱いにくくなることも…
・座面のない製品もある

【スタンダードタイプ(ボックスタイプ)】安定性バツグン!

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大型で車幅が広く、安定性に優れたシルバーカーです。収納力バツグンで、荷物をたくさん入れることもできます。ほとんどの製品に座面が付いていることも特徴。座面は、座幅が広めでクッション性も高く、座り心地もよいです。また、立ち上がりやすいよう座面両サイドにひじ掛けが付いている製品もあります。

メリット デメリット
・車幅が広く歩行時の安定性バツグン
・座面下に大容量の収納スペースあり
・座面が広いため、ゆっくり休憩できる ・車体が大きく、小回りがききにくい
・重量があるため、持ち上げる機会が多い方には不向き

シルバーカー(手押し車)の選び方

シルバーカーを選ぶ際には、種類の違い以外にも注目すべきポイントがあります。

選び方1:SGマーク

SGマークを取得した製品であるかどうかチェックしましょう。SGマークとは、一般財団法人製品安全協会が定めた安全基準を満たした製品に付与されるマークです。SGマークがある製品は、安全基準をクリアしているということ。通販サイトなどで安価に販売されている製品を選ぶ際には、SGマークの有無を確認することをおすすめします。

選び方2:持ち手の高さ

持ち手の高さが、体に合っているかも選ぶ際の重要なポイントです。持ち手の高さが適切でないと、バランスが取りづらくなったり、目線が下がって視野が狭くなったりなど、転倒や事故のリスクが高まります。持ち手の高さは、「身長÷2+5~15センチ」を目安にしましょう。

選び方3:前輪キャスターのタイプ

前輪のキャスターには、車輪が1つのシングルキャスターと車輪が2つのダブルキャスターの2種類あります。シングルキャスターは軽量で持ち運びにも便利。比較的、歩行が安定している方におすすめです。
対して、ダブルキャスターは安定性が高く、側溝の隙間などに車輪が挟まりにくいことがメリット。利用者さんの体の状態や歩行する道路の状況などに合わせて選びましょう。

選び方4:前輪キャスターの可動域

前輪キャスターは、直進固定・左右〇度可動・360度回転など製品によって可動域が異なります。直進固定キャスターは向きが固定されているため、直進性が良く、路面状態が悪い場合でもまっすぐに進めるのがメリット。左右〇度可動キャスターは、決まった範囲内でキャスターの角度を変えられるものです。方向転換がしやすく、必要以上に曲がりすぎないため、操作しやすいのが特徴となっています。360度回転キャスターは、小回りがきくため狭い場所でも使用できるのがメリット。
用途や体の状態に合わせて、適したものを選んでください。

選び方5:ブレーキ操作

ブレーキ操作は、製品によってさまざまなタイプがあります。レバーを握るタイプや、レバーを下ろすとブレーキがかかるタイプ、足元のペダルでブレーキをかけるタイプなどです。利用者さんがブレーキ操作しやすいものを選びましょう。

シルバーカー(手押し車)の使い方の注意点

シルバーカーは使い方を誤ると、転倒や事故の原因になってしまうこともあり、大変危険です。そこで、安全に使用するための注意点を以下にまとめました。

  • 歩道などの段差を無理に乗り越えない
  • エスカレーターは絶対に利用しない
  • 電車のホームや踏切の隙間に注意する
  • 着座時は必ず駐車ブレーキをかける

段差を無理に乗り越える際にバランスを崩し、転倒する恐れがあります。エスカレーターの場合は、シルバーカーだけが先に乗ってしまい、転倒する可能性があり大変危険です。駅のホームや踏切では、たくさんの隙間があり要注意!シルバーカーを押したまま電車に乗ることは絶対にやめましょう。シルバーカーは、隙間や段差の少ない安定した場所で使用するのがおすすめです。
また、駐車ブレーキをかけずに着座すると、シルバーカーが後方に移動し転倒してしまうことも…。座る際には必ず駐車ブレーキをかけましょう。

体の状態や用途に合ったシルバーカーで安全な歩行をサポート

シルバーカーは製品によってサイズや操作のしやすさ、収容力が異なります。介護施設の利用者さんからシルバーカーの使用や選び方などのアドバイスを求められた際は、使用目的や使用シーン、利用者さんの体の状態に合った製品を提案しましょう。また安全に使用してもらうため、使う際の注意点も合わせてお伝えすることも大切です。

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