「デイサービスに行きたがらない」…ご家族からの相談にどう答える?
高齢者がいるご家庭から、「高齢の家族がデイサービスに行きたがらない」「レクが苦手」…そんな相談を受けたら、あなたはどうアドバイスしますか? 高齢者がデイサービスやレクリエーションを避けるケースには、なにかしらの理由があるはずです。介護従事者としてご家族の方にできるアドバイスや、高齢者にとって通いやすい施設にするためにできることを考えていきましょう。
目次
まずは整理!高齢者がデイサービスやレクを避ける理由とは?
高齢者がデイサービスやレクリエーションに行きたがらないときは、ご本人が不安や不満を感じているケースが大半です。あくまでも例ですが、次のような心情であることが考えられます。
<デイサービスやレクを避けるときの高齢者の心情の例>
- 外出が不安
- 家族以外の方に会うのが億劫
- 介護されることに抵抗がある
高齢者がデイサービスに行きたがらないときにまず考えられるのが、外出に対する不安を抱えているケースです。「介護スタッフと意思疎通がうまくいかなかったらどうしよう」「トイレに行きたくなったら嫌だな」「時間どおりに行けるだろうか」「周りと同じように行動できるだろうか」…。このように、さまざまな不安を感じて、デイサービスやレクに行きたがらないようです。認知症や記憶障害がネックとなるケースもあります。
家族以外の他人に会うのが億劫、というケースも。人とコミュニケーションをとることが苦手な方は、デイサービスやレク対してストレスを感じたり、憂鬱な気分となったり、ハードルが高く感じてしまうことがあるようです。
さらに、高齢者のなかには介護されることに抵抗を持っている方もいます。自分が介護される側であることを認めたくない、という理由があることも。他人に排泄やお風呂を手伝ってもらうことに抵抗がある・自尊心を傷つけられるような気持になる…そんな理由で行きたがらないケースもあるようです。
ご家族からの相談への回答例
高齢者のご家族からデイサービスに行きたがらない、レクリエーションに参加したがらない、といった相談を受けるケースは、介護に関わる仕事をしていると多いもの。そんなときは、前項の内容をふまえてこのようなアドバイスをしてみてはいかがでしょうか。
デイサービスやレクを避ける理由を明確にしてもらう
まずは、「なぜ行きたがらないのかご本人に聞いてみてください」といった言葉をかけて、高齢者がデイサービスやレクリエーションに苦手意識を持っている理由を明確にしてもらいましょう。理由が分かれば、ご家族とともに解決に向けて取り組むことができます。
デイサービスやレクに一緒に来てもらえるようご提案
「ご家族も一緒に施設まで来てもらうことはできますか」といった言葉をかけて、高齢者とご家族がともに施設に足を運ぶことをご提案してみるのもおすすめです。高齢者が抱える「施設がどのような場所か分からない」「一人で参加して場に馴染めるだろうか」といった不安を緩和することもつながるでしょう。ご家族とともに施設やプログラムに出向き徐々に慣れていただくことで、初めは行きたがらない場合でも、抵抗なく行けるようになるかもしれません。
無理強いはしないようご提案
高齢者がデイサービスやレクへの参加を長い期間にわたって拒否し続けていると、ご家族が焦ってしまうケースがあります。そんなときは、「本人の意志を尊重することも大切です」といった言葉がけもしてみましょう。
デイサービスやレクへの参加はご本人の意思ありき。施設の利用は無理強いするものではなく、高齢者ご本人に、施設に来たいと思ってもらうことが大切です。家族から過度にプレッシャーかけられると、余計に行きたくなくなってしまうこともあります。無理強いしないことで信頼関係が生まれるケースがあることも伝えましょう。
高齢者のご家族が相談できる先を伝えよう
高齢者のご家族が複合的に悩みを抱えている場合は、専門家への相談で解決が期待できる場合も。あらゆる相談に対応できる窓口のご紹介は、ご家族にとって助けとなるでしょう。
相談窓口の選択肢としては、地域包括支援センターや高齢者総合相談センター・地域の福祉事務所・居宅介護支援事業所・保健所や保健センターなどがあります。連絡先をあらかじめ控えておくと、必要なときにお伝えしやすいですよ。
デイサービスやレクリエーションに来てもらうためにできること
最後に、高齢者の方が少しでも不安なく施設を利用できるよう、介護施設側として準備できることを考えていきましょう。「来たくない」「不安だ」と感じている高齢者の存在を意識し、気持ちを楽に利用していただけるよう工夫することが大切です。
デイサービスのパンフレットやホームページを整える
初めて施設を利用する高齢者の方がどのような場所かイメージしやすいよう、施設のパンフレットやホームページを整えてみてはいかがでしょうか。画像で施設内の様子を載せて目で見てイメージできるようにしたり、職員の自己紹介ページを作ったり、実際の利用者さんの声を紹介したり…。少しの工夫が、初めての利用者さんの不安を取り除く助けとなります。
レクリエーションの内容を見直す
レクリエーションの内容を工夫してみるのも有効です。「子供っぽいレクをやりたくない」ことが行きたがらない理由であれば、将棋や囲碁といったレクを取り入れるのもひとつ。ほかの利用者さんとのコミュニ―ケーションを楽しめるのがレクの特長ですが、たまには自分の世界に没頭できる工作系のレクを取り入れてみても良いかもしれません。内容にメリハリをつけて、できるだけ利用者さんの希望に沿ったレクを取り入れる努力をしてみてはいかがでしょうか。
寄り添う気持ちを忘れない
施設に足を運んでもらえた場合は、勇気を出して一歩を踏み出してくれた高齢者の方を尊重し、気遣う気持ちを忘れないようにしましょう。
興奮している・話しかけると嫌がられてしまう、といった場合は、時間をおいてから再び声をかけるなどの工夫を。ご本人の気持ちを受け入れて寄り添い、気持ちが落ち着いたころに話しかけると、スムーズにコミュニケーションが取れる場合もありますよ。
高齢者とご家族に寄り添ったアドバイスを
高齢の方が一日中家にいると、足腰が弱ってしまう・認知機能が衰えてしまうなどの理由で、より外に出たがらなくなってしまうことも。デイサービスやレクリエーションの参加などで、適度に外出を促すことも大切です。家を出て、家族以外の人物と接することは、身だしなみに気を配るキッカケにもなります。デイサービスに行きたがらない高齢者のご家庭へは、高齢のご家族の気持ちに寄り添いながら徐々に参加へ促せるよう、アドバイスができたらいいですね。