冬は老人性乾皮症に注意!予防のためのスキンケアは?

秋から冬にかけて、高齢者の方に多い悩みのひとつが「老人性乾皮症(かんぴしょう)」。
「肌の乾燥が気になる」「肌がかゆくてたまらない…」と利用者さんから相談されたとき、介護スタッフとしてはどのように対応すればよいでしょうか?
今回は、老人性乾皮症とはどのような症状なのかと、治療法を解説します。老人性乾皮症を防ぐのに効果的なスキンケアも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

老人性乾皮症とは?

「老人性乾皮症」とは、加齢が原因で起きる皮膚疾患のひとつです。空気が乾燥しがちな冬場に起こりやすく、皮膚に浅い亀裂ができたり、皮膚が粉をふいたような状態になったりします。

老人性乾皮症はかゆみを伴うことが多く、かきすぎると「皮脂欠乏性湿疹」に悪化することも。腰の周辺や太もも、脛(すね)などに見られることが多いです。

老人性乾皮症の原因は?

老人性乾皮症のおもな原因は、「皮脂の欠乏」です。
皮脂には、皮膚の潤いを保つはたらきがあります。加齢に伴い皮脂が減少すると、皮膚が乾燥し、わずかな刺激にも反応しやすくなってしまうのです。

また冬場は暖房を使うため、室内が乾燥しやすくなります。入浴時の身体を洗いすぎると、必要な皮脂まで落としてしまうことも。このような生活環境も、老人性乾皮症の一因とされています。

老人性乾皮症の治療法

老人性乾皮症になった場合、肌の状態に合わせた保湿剤を塗布します。保湿剤によって、役割が異なることを知っておきましょう。

  • 白色ワセリン…皮膚膜に代わって、表皮から水分が蒸発するのを防ぐ。
  • 尿素軟こう・ヘパリン類似物質・ヒアルロン酸…肌のアミノ酸と水分の結合を促し、肌に水分を保つ。
  • セラミド…角質細胞間脂質を補う。

保湿剤は、こってりとした軟こうタイプのものもあれば、サラッとしたつけ心地のローションタイプのものもあり、つけ心地の好みが分かれることもあるでしょう。しかし、「ベタつきが気になる」「うまく塗りにくい」などの理由で、勝手に使用を中止するのはNG!
医師は肌の状態に合わせて保湿剤を処方しますので、使用感が気になる場合は自己判断で使用をやめず、まずは相談しましょう。

保湿剤を塗るタイミングとして最適なのは、お風呂上がりです。お風呂から上がったら時間をあけず、やさしく皮膚をなでるように塗りましょう。

湿疹が生じている場合は、老人性乾皮症から「皮脂欠乏性湿疹」に進行している可能性があります。湿疹やかき傷の部分に保湿剤を塗ると、かゆみが増してしまうことも。
皮脂欠乏性湿疹の場合、ステロイド入りの塗り薬でまずは患部の炎症を抑え、その後保湿剤で皮膚の乾燥を防ぎます。
ステロイド薬には強さのレベルがあるため、肌の状態などを観察した上で、医師に相談するようにしましょう。

日頃の生活でできる老人性乾皮症の予防策は?

日常生活で老人性乾皮症を防ぐには、「入浴方法の見直し」「部屋の湿度管理」「衣類・食生活の見直し」の3つが大切です。

入浴方法の見直し

入浴時、ナイロンタオルでゴシゴシ身体をこすらないようにしてください。皮膚にダメージを与え、乾燥を進めてしまいます。また、洗浄力の強い石鹸・ボディソープを使うと、必要な皮脂を失ってしまううえに、肌を刺激して湿疹の原因になることも。
身体を洗うときは、低刺激の石鹸・ボディソープを選び、やわらかいタオルや手でやさしく洗うとよいです。
高齢者の方の中には熱いお風呂を好まれる方もいますが、熱すぎるお風呂に浸かると、皮脂が余分に落ち、乾燥肌の原因になります。肌のことを考えると、39℃くらいの温度がおすすめです。

部屋の湿度管理

秋から冬は、空気が乾燥しやすい季節です。さらにエアコンやコタツ、電気毛布などの暖房機器を使うと、皮膚は乾燥する一方。加湿器を使って部屋の湿度を保つように心がけましょう。適切な湿度は、40~60%とされています。

衣類・食生活の見直し

肌着などの皮膚に直接ふれる衣類は、コットンやシルクといった刺激の少ない素材を選びましょう。
また、アルコールや辛いものを摂りすぎると、体温が上がってかゆみがひどくなることがあります。
皮膚トラブルを抑えるためには、利用者さんが普段身につけている肌着や、食事の内容に問題がないかも見直しましょう。

老人性乾皮症の予防には日頃のスキンケアが大切!

老人性乾皮症を防ぐには、適切な入浴や部屋の保湿、衣類・食生活の見直しが大切です。かゆみがおさまらない様子が見られるようであれば、医師に相談しましょう。ご家族や利用者さんから保湿剤の塗布を頼まれた場合は、ただ塗るだけでなく、塗るタイミングや塗り方も意識したいですね。正しいスキンケアを行い、利用者さんを皮膚トラブルから守りましょう!

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