【高齢者の冬の健康管理】感染症やヒートショックに要注意
介護従事者は日々、介護施設の利用さんの体調に気を配っていることでしょう。本記事では、高齢者の冬の健康管理について解説。皮膚トラブルやヒートショックなど、寒い季節に気を配りたい6つのリスクを挙げ、注意点や対策を分かりやすくご紹介します。
目次
冬場のリスク1【感染症】
高齢者の冬場の健康管理でまず気をつけたいのが感染症です。依然として流行が続いている新型コロナウイルスだけでなく、季節性インフルエンザや感染性胃腸炎への警戒も怠らないようにしましょう。
感染症の対策として有効な手立ては、石けんを使用した手洗い・うがい・マスク着用の徹底。さらに乾燥する季節は湿度管理もポイントとなります。室内が乾燥しているとウイルスが飛散しやすいため、湿度は40%以上を保つことを意識してください。適度な換気も重要です。
冬場のリスク2【手足の冷え】
冬場は手足の冷えにも注意が必要。高齢者は自律神経の衰えにより、一度手足が冷えてしまうとなかなか温まらない特徴があります。「寒い」という感覚は辛いもの。寝不足の原因、ひいては免疫低下のキッカケとなってしまう場合もあるので、気をつけて観察しましょう。
冷え対策には、室温管理に加え、栄養をたっぷりととることが大切。バランスの良い食事に気を配ると、体がしっかりと熱を生産できるようになります。温かい飲みもの・食事を意識してとるのも良いですね。
冬場のリスク3【皮膚トラブル】
皮脂の分泌が少ない高齢者のお肌は、外気が乾燥する冬場はカサカサしたり、かゆみが出たり、皮膚トラブルが多くなります。かゆみを我慢できずかきむしって炎症を起こす、床ずれを起こす、湿疹が出る、といったことも…。さらに、カイロやヒーターの使用による低温やけどにも注意が必要です。
お肌の乾燥対策には保湿ケアの習慣化が大切。全身のお肌の状態のチェックも怠らないようにしましょう。低温やけどの対策としては、同じ部位にカイロやヒーター、湯たんぽが長時間当たらないよう注意して観察を。
冬場のリスク4【ヒートショック】
ヒートショックとは、寒いところから暖かいところへ移動するなど、急激な室温の変化によって血圧変動が一気に起こること。心臓に負担がかかり、脳梗塞・心筋梗塞といった疾患を引き起こすリスクもあります。
ヒートショックを防ぐには、部屋ごとの温度差を極力なくしましょう。トイレやお風呂といった冷える場所に暖房機器を設置するといった工夫が有効。さらに、お風呂の際は意識的に水分補給する、長湯しない、といったことも大切です。
冬場のリスク5【脱水や浴室での熱中症】
冬は乾燥しますが、目に見えて汗をかかないため夏場のようにこまめに水分補給する機会はどうしても減ってしまうもの。そんななかで暖房やヒーターを使用していると、自身では気がつかないうちに脱水状態になってしまうことがあります。浴室で熱中症になってしまうケースも。
脱水状態や熱中症にならないために、冬場でも定期的な水分補給を意識して対策しましょう。入浴時間を管理し、長時間の入浴に気をつけることも対策となります。
冬場のリスク6【関節痛】
冬場の高齢者に多い不調として、関節痛も挙げられます。寒さで体がこわばり血行不良を引き起こすと、組織が痛みのもととなる物質を作り出すためです。腫れや炎症につながるケースもあるため、油断できません。
対策としては、暖かい服装や温かい食事に気を配る、湯船につかる、といった体を冷やさない工夫が有効です。また、無理のない程度に体を動かすことも大切です。
番外編【おもちによる窒息にも注意】
冬場はおもちを食べる機会が増えます。そこで気をつけたいのが、おもちによる窒息事故。高齢者は噛む力や飲み込む力が弱いため、特に注意が必要となります。
介護施設でおもちを食べる機会があれば、小さく切って提供する、飲み物や汁物も用意しておく、飲み込むまできちんと観察する、など気を配りましょう。
冬場ならではのポイントをおさえて健康管理を
気温が低く乾燥する冬場は、ヒートショックや冷え、皮膚トラブルなど、ほかの季節とは異なる健康上のリスクがあります。室温や湿度を管理するなどきちんと対策をとって、施設利用者さんに日々元気に過ごしていただけるよう気を配りましょう。介護従事者一人ひとりの努力や気遣いで、施設利用者さんの冬の暮らしをより快適なものにできるはずです。