「傾聴」は介護職の必須スキル!共感力を身につけて信頼される職員に
介護職において、「傾聴」は施設利用者さんとのコミュニケーションを円滑にするために重要なスキル。傾聴スキルを身につけて話しやすい雰囲気を作れるようになると、介護施設の利用者さんの本音を聞くことができ、利用者さんに安心感を抱いてもらえることにもつながります。さっそく、傾聴の基本をご紹介しましょう。すぐに取り入れられる簡単な傾聴テクニックもご紹介するので、ぜひ最後までご確認ください。
傾聴ってどういうこと?
傾聴とは、相手の話に関心を向け、共感しながらじっくりと聴くことです。
ロジャーズの「聴く側の3要素」がポイント
傾聴には、「共感的理解」「無条件の肯定的関心」「自己一致」という3つの要素があります。アメリカの心理学者カール・ロジャーズ(Carl Rogers)によって提唱された要素です。介護職においても利用者さんの話を聞くときに役立ちます。
<聴く側の3要素>
- 共感的理解…相手の立場に立って気持ちに共感し、理解しようとすること
- 無条件の肯定的関心…相手の話を評価したり否定したりせずに、受け入れる気持ちを持って関心を寄せること
- 自己一致…分からないことはそのままにせず、相手にも自分にも真摯な態度で真意を確認すること
参考:【厚生労働省】傾聴とは|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/listen/listen001/
傾聴とは相手を受け入れて話を聞くこと
ロジャーズの「聴く側の3要素」を介護職に当てはめて分かりやすくするならば、「施設利用者さんの立場に立って、否定などをせず、共感しながら話を聞き理解しようとすること」といえるのではないでしょうか。
「きく」という言葉には、相手の話に集中する「聴く」、受け身的に耳に入れる「聞く」、相手を問いただす「訊く」の3つ漢字がありますが、傾聴においては「聴」という感じが使われています。誠心誠意「聴く」ことが傾聴のポイントです。
介護職で傾聴スキルが重要な理由
介護職において、傾聴が重要とされる理由は3つあります。
<介護職において傾聴が重要視される理由>
- 利用者さんの心の負担が軽くなる
- 利用者さんが心を開いて話をしてくれるようになる
- 介護スタッフと利用者さんの間で信頼関係が生まれる
介護スタッフが傾聴スキルを身につけて利用者さんの話を聞けるようになれば、利用者さんは安心してさまざまなことを介護スタッフへ話せるようになります。話し相手が少ない利用者さんにとっては、何でも話せる介護スタッフの存在が、心の支えや安らぎにつながるケースもあるでしょう。
隠していた本音や、気を遣って言えなかった要望なども聞けるかもしれません。「この人になら何でも話せる」と、信頼感を持ってもらうキッカケにもなります。
今日からできる傾聴テクニック5つ
「聴く側の3要素」など、少し難しい説明もしましたが、傾聴は決してハードルが高いスキルではありません。介護職においてすぐに実践できる5つのテクニックをご紹介しましょう。
<今日からできる傾聴テクニック5つ>
- 利用者さんの話を否定せずに聞き、話に共感する
- うなずく、あいづちを打つといった動作をする
- 穏やかな表情や声を意識する
- 会話をさえぎらない
- 深入りしすぎずに寄り添う
まずは、利用者さんの話を否定せずに聞きましょう。話を聞くときは、うなずいたりあいづちを打ったりして、積極的に話を聞いている姿勢や共感している姿勢でいると、安心感を持ってもらえます。穏やかな表情や声を意識して、相手の目を見ながら話を聞くと、利用者さんはより話しやすくなるでしょう。
話を聞いていると、ついつい自分の意見も言いたくなってしまいますが、共感を表す言葉程度におさめ、最後まで話を聞くことがポイントです。利用者さんの悩みなどを聞くと、その場で解決したくなるケースもあるでしょう。しかし、傾聴においてはあくまでも「話を聴く」ことに注力し、解決するより寄り添う姿勢でいることが理想です。
傾聴スキルで親しみやすい介護スタッフを目指す!
施設利用者さんの話に関心を向け、共感しながらじっくりと話を聴くことで、利用者さんに安心感を抱いてもらえます。利用者さんにとって、何でも話せる介護スタッフがいる施設は、きっと居心地の良い場所となるはず。傾聴スキルの習得は、介護スタッフにとっては仕事のしやすさにもつながるでしょう。ご紹介した傾聴テクニックを実践して、あなたも「利用者さんにとって親しみやすい介護スタッフ」を目指してみませんか。