【介護食レシピ】お肉を使ったメニュー8選|シューマイ・ハンバーグなど

介護食は、高齢者の噛む力や嚥下機能の状態に合わせて、食べやすいように工夫して調理したメニュー。介護食も通常の食事同様、さまざまな食材を用いることが大切ですが、お肉を使ったメニューは食べにくいと敬遠されることも…。しかし工夫次第で、見た目も味も抜群の肉系メニューを提供することが可能です。何より、お肉を使った料理は入居者さんにも人気があり、栄養面でも不可欠です。そこで今回は、お肉を使ったおすすめの介護食レシピを8つご紹介しましょう。

お肉のメニューを提供する際の注意点

お肉などの食べにくい食材であっても、高齢者には必要な栄養成分が含まれているため介護食にも欠かせません。しかし、高齢になると摂食嚥下機能が低下し、うまく食事ができなくなってきます。そのため提供方法を誤ると、食べ物を喉に詰まらせてしまう危険があり、注意が必要です。何より、食べにくさを感じることにより、食事自体に苦手意識を持ってしまうケースもあります。

それらを防ぐためには、噛みやすく・飲み込みやすくすることが大切です。以下に、お肉のメニューを提供する際の注意点をピックアップしたので、確認してみましょう。

  • ひと口サイズにカットする
  • 脂身を取り除いたり、切れ目を入れたりして噛み切りやすくする
  • 長時間煮込み、やわらかくする
  • ミキサーにかけて細かくする
  • とろみ剤・片栗粉・コーンスターチなどでとろみを付ける
  • 介護食用のゲル剤を使ってゼリー状にする など

入居者さんに人気!お肉を使った介護食レシピ

介護食におすすめのレシピを8つご紹介。レシピごとに、介護食としての特徴やどのようなシーンに適しているのかなどについても解説します。

しっかり肉感!なめらか豚肉シューマイ

美味しいことはもちろん、見た目から「お肉を食べている!」と実感できると人気の「なめらか豚肉シューマイ」を紹介します。

このレシピのポイントは、シューマイの肉ダネをしっとりとなめらかな食感に仕上げること。肉ダネの材料は、豚肉にすりおろしたジャガイモ・みじん切りの玉ねぎ・卵・生クリーム・マヨネーズ・麩などを使います。これらの材料をフードプロセッサーで粉砕・攪拌することにより、高齢者でも食べやすい肉ダネが完成。なお、麩はあらかじめミルなどで粉砕し、粉状にしておきましょう。完成した肉ダネは、ラップの上で平らになるよう均一にのばして包めば、冷凍保存することも可能です。

肉ダネをシューマイの皮で包む工程では、シューマイの皮をそのままのサイズで使用するのではなく、まず3等分しましょう。さらに約2ミリ幅の細切りに、そして沸かしたお湯で茹でたものを使用します。これにより噛む力の低下した方でも安心して食べられるやわらかい皮に仕上がるでしょう。

そして、厚さ2~3ミリに切ったにんじんの上にシューマイの皮→肉ダネ→シューマイの皮の順で適量乗せ、小さくカットしたにんじんをトッピングし、蒸したら完成です。シューマイの皮を乗せる量で、食べ応えを簡単に調整できる点もポイント。また彩りとして、肉ダネに鮭のすり身などを加えるとほんのりピンクのきれいな色に仕上がるでしょう。

ごはんとの相性抜群!豚肉とナスのみぞれ煮

彩り豊かで、ごはんのお供にもぴったりの「豚肉とナスのみぞれ煮」をご紹介。こっくりとした味が好みの入居者さんにもおすすめの介護食レシピです。

このレシピには豚のこま切れ肉、または豚バラ肉を使用しますが、下準備に2つのポイントがあります。

  • 豚肉の脂身がより少ない部分を選ぶこと
  • ひと口大に切った豚肉を、すりおろした大根に約20分漬け込むこと

脂身が少ない部分を選ぶことより、さっぱりとした味わいに仕上がります。また、大根おろしに漬け込むことで、大根に含まれるタンパク質分解酵素の働きにより豚肉がやわらかくなるのが介護食のポイントです。さらに、大根おろしの自然な甘みも付くため砂糖の量を抑えられる効果もあります。

ナスは皮を適度に剥いておくのがポイント。皮を剥くことで、噛みほぐしやすくなりますよ。そのほか、にんじん・しいたけを用います。各具材とも、ひと口サイズにカットしましょう。そして、豚肉以外の具材を少量の油で炒めます。次に、炒めた具材の入ったフライパンに、漬け込んでいた豚肉を大根おろしごと入れ、出汁・みりんを加えて加熱。最後に塩少々で調味し、水溶き片栗粉でとろみをつけ、枝豆をトッピングすれば完成です。

とろみを付けることで、食べやすくなります。またナスの紫・にんじんの赤・枝豆の緑と、彩り豊かなので食欲増進にもひと役買うでしょう。入居者さんそれぞれの嚥下機能の状態に合わせて、完成後に食材をカットしてあげるとよいですよ。

つなぎに豆腐を使いなめらかに!ふんわりハンバーグ

入居者さんから「お肉が食べたい!」とリクエストがあったときにおすすめしたいのが「ふんわりハンバーグ」。見た目は通常のハンバーグと大差ないので、大きな満足感が得られる介護食レシピです。

材料をフードプロセッサーで混ぜ合わせることと、つなぎにたっぷりの豆腐とパン粉を用いてひき肉がバラけないようにすることがポイント。まず、つなぎとなる豆腐とパン粉を混ぜ、なじませます。次に、玉ねぎ・ひき肉・つなぎ・卵・塩・こしょうを、フードプロセッサーでなめらかなペースト状になるまで攪拌しましょう。通常のハンバーグの場合、肉ダネも肉の色をしていますが、このレシピではつなぎにたっぷりの豆腐を用いるため、肉ダネが白いことが特徴です。

フライパンにクッキングシートなどを敷き、水を入れてフタをし、中火で蒸し焼きにします。蒸しあがったら、好みのソースをかけて完成です。

肉を焼いて加熱すると、硬くなってしまったり、焼き目にばらつきが出たりするため、食べにくさにつながることがあります。そのため、蒸すのがポイント。また小さめのハンバーグを作って冷凍しておけば、シチューやカレーの具材としても応用できます。

さっぱりと食べやすい!牛肉と野菜のおかか炒め

牛肉・ナス・トマトを炒め合わせた「牛肉と野菜のおかか炒め」は、肉の旨味とかつおの風味で、入居者さんの食欲アップを狙える介護食レシピです。

牛肉は食べやすいサイズに切って使います。そして、炒める前に片栗粉をまぶしておくのがポイント。あらかじめ片栗粉をまぶすことで、味がなじみやすくなるだけでなく、自然なとろみが付くので食べやすくなります。ナスとトマトは、必要に応じて皮を剥く・小さめに切るなどしてください。

熱したフライパンで牛肉・しょうが・ナス・トマトを炒め合わせます。最後に、たっぷりのかつおぶしを入れたら完成です。かつおぶしを入れることで、トマトから出た水分が吸収され食べやすくなるだけでなく、風味や旨みもアップします。こちらのレシピでは、牛肉を使用しましたが、よりやわらかく仕上げるなら豚バラ肉がおすすめです。

口の中でほどける!鶏つくねの照り焼き

歯茎でつぶせるほどやわらかい「鶏つくねの照り焼き」は、食べ応え抜群の介護食レシピです。

つなぎに、やわらかくなるまで茹でた里芋を使うのがポイント。粘り気のある里芋を使用することで、のど越しのよい食感に仕上がります。つくねの材料は、鶏肉・茹でた里芋・パン粉・卵・玉ねぎ・調味料。これらをフードプロセッサーやハンドミキサーなどで十分に攪拌。肉ダネをつくねの形になるよう成形し、フライパンで焼き目が付きすぎない程度に焼きます。片面がある程度焼けたら、ひっくり返して水を入れフタをし、蒸し焼きにすればつくねの完成です。やわらかさを損なわないためにも、途中から蒸し焼きにするのがポイント。最後にみりん・砂糖・醤油で作った照り焼きタレを絡ませましょう。

食べやすくするために、つくねの中心に棒を取り付けてもOK!「焼き鳥を食べているようだ!」と入居者さんにも喜ばれます。

夏バテ防止に!豚肉とはんぺんのしょうが焼き

定食や肉料理の定番ともいえるしょうが焼き。甘辛い味付けはごはんがすすみ、ビタミンB1が含まれる豚肉としょうがの組み合わせは夏バテ防止効果も期待できます。
このレシピでは、香ばしく焼いた豚肉とはんぺんを水と一緒にミキサーにかけ、それを肉の形にまとめるのがポイント。高齢者が通常のしょうが焼きを食べようとしても、豚肉を噛み切れない場合があります。しかし、はんぺんと一緒にミキサーにかけることによって飲み込みやすくなり、豚肉の風味も味わえる一品になるのです。ミキサーでペースト状になった豚肉とはんぺんは、広げたラップの上に乗せて肉の形を再現しましょう。
そして、おろししょうが・醤油・みりん・酒をフライパンで温め、片栗粉を加えてとろみを付けたタレを作ります。先ほど形成した豚肉はんぺんにタレを塗れば完成です。キャベツやトマトを添えると彩り豊かになり、さらに食欲をそそるでしょう。

舌でつぶせる!ふんわり食感の肉団子

そのまま食べても、スープや鍋に入れても美味しい肉団子のレシピを紹介します。
まずは、みじん切りにした玉ねぎを電子レンジで加熱し、冷蔵庫で冷やしておきましょう。豚ひき肉は塩を加えて、糸が引くほどのねばりが出るまでよく混ぜます。そこに、水・オイスターソース・鶏ガラスープの素・砂糖・醤油・ごま油・こしょうを加え、ねばりが出るまで再度混ぜ合わせます。そして、みじん切りにしたえのきたけとしょうが・冷えた玉ねぎ・片栗粉を加えて混ぜ、卵白も追加してさらに混ぜ合わせましょう。
ラップを引いたお皿に肉団子を形成して並べ、ふんわりとラップをして電子レンジで加熱します。粗熱が取れたらラップを外して完成。
ひき肉の練り物料理は、混ぜる順番を守ることが美味しく仕上げるポイントです。こちらの肉団子は冷凍保存しても硬くならず、アレンジしやすい一品のため、多めに作っておくのもおすすめです。

タンパク質が豊富!和風の肉味噌麻婆豆腐

ひき肉と豆腐からしっかりとタンパク質が摂れて、さらに骨粗鬆症予防に効果的な大豆イソフラボンも摂取できるレシピを紹介します。山椒の香りが食欲をそそり、身体も温めてくれるので、寒い日の献立にいかがでしょうか。
まず、ごま油を引いて温めたフライパンに、豚ひき肉を入れてほぐしながら炒めます。味噌をみりんと酒で溶き、みじん切りにした長ねぎとしょうが、一口サイズに切った豆腐をフライパンに加え、サッと炒めましょう。そこへさらに、水・醤油・鶏ガラスープの素を加えて煮ます。塩こしょうで味をととのえたら水溶き片栗粉でとろみを付け、山椒をふりかけて完成です。
麻婆豆腐を美味しく作るポイントは、肉をしっかり炒めて豆腐をしっかり煮込むこと。絹ごし豆腐だとなめらかに、木綿豆腐だとボリューム感のある仕上がりになりますよ。

入居者さんも大満足!肉系介護食レシピを取り入れよう

お肉を使った料理も、レシピ次第で高齢の方の人気を集める介護食にすることができます。介護食づくりならではのポイントを押さえて、介護施設で提供する食事にぜひ取り入れてみてください。また、レシピや介護食を作る手順などを詳しく紹介しているアプリなどもあるようです。必要に応じて、アプリなどを活用してみるのもよいでしょう。

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