【セルフネグレクト】高齢者は注意!介護職が知っておきたいポイント

セルフネグレクトという言葉をご存知ですか?子供や高齢者などに対して、保護や養育義務を果たさず放任するネグレクトと似た行為です。ただし、セルフネグレクトは他人からの影響ではなく、自分自身で行います。そのため、周囲の介入がしにくいケースも。今回は、セルフネグレクトとはどういう行為を指すのか、具体的な事例を含めて紹介します。セルフネグレクトに陥っていないかどうかのチェックポイントも説明しますので、参考にしてみてください。

セルフネグレクトとは?

セルフネグレクトとは、自分自身に対する身の回りのケアを行わず、自分自身に無関心・放置する状態になることをいいます。1人暮らしの高齢者などに起こりやすく、うつ病や認知症などが影響している場合もあるようです。

ただし、これといった医学的に問題がない方でもセルフネグレクトの状態になるケースもあります。セルフネグレクトの状態になると、自分から助けを求めることがないために、セルフネグレクトの状況が悪くなるばかりです。

2011年に内閣府が発表した「セルフネグレクト状態にある高齢者に関する調査-幸福度の視点から」の報告書によると、セルフネグレクトは男性よりも女性に多いことが分かりました。また70代から80代の高齢者に多いという結果も出ています。

利用者さんと接する場合には、セルフネグレクトの兆候がないかチェックする必要があるでしょう。

具体的にはどんな例がある?

セルフネグレクトの状態に陥ると、どのような状態になるのでしょうか?高齢者の方の具体的な例は以下の通りです。

  • 他の方とコミュニケーションを取らなくなる
  • 必要な薬を飲まなくなる
  • 着替えや入浴をしなくなる
  • 食事を摂らなくなる
  • ゴミ屋敷になる
  • 介護サービスを拒否する

どういった状態になるのかは、人によってさまざまです。ただし、急にセルフネグレクトの状態になるわけではなく、徐々にセルフネグレクトが始まり、状況が悪化していきます。早いうちに対処すれば、状況の改善もしやすいでしょう。

セルフネグレクトを行う背景

  • 病気や入院などによる身体機能の低下
  • 家族とのトラブル
  • 経済的な問題
  • 身内の死
  • 社会的な孤立
  • 認知機能の低下
  • 原因不明

気持ちの上では部屋の掃除や衛生管理をしたいものの、身体が思うように動かないために諦め、徐々にセルフネグレクトへ発展してしまった高齢者の方もいます。

また経済的な問題で、食事を減らす・お風呂の回数を減らす・病院へ行かないなどの生活習慣を怠ったために、セルフネグレクトになってしまった場合もあるようです。この他にも、家族とのトラブルや配偶者の死によって孤独になり、社会との接点も減っていくことでセルフネグレクトが進行することもあるでしょう。

これといった原因がないままセルフネグレクトになるケースもあり、セルフネグレクトにはまだまだ分かっていない部分がたくさんあります。

セルフネグレクトのチェックポイント

セルフネグレクトはプライバシーの問題などにより、なかなか介入が難しい案件です。周りの家族や友人であっても、セルフネグレクトなのか、単に節約しているだけ・こだわりがあるだけなのかが判断しにくいでしょう。

またセルフネグレクトになる場合、高齢者の方は、家族や友人との関係が疎遠になっている可能性もあるため、発見が遅れる可能性が高いです。ヘルパーやケアマネジャーなどの介護スタッフであれば、定期的に家に出入りしたり介護サービスを提供したりするため、高齢者の方のセルフネグレクトの兆候に気付きやすいでしょう。

ここでは、セルフネグレクトを早めに見つけるために、セルフネグレクトのチェックポイントを紹介します。主な項目は以下の通りです。

  • 1人暮らしまたは1人の時間が多い
  • 家族や友人がいない
  • 介護サービスが必要なのに利用しない
  • 病院に行かない・治療がそのままになっている
  • 医療関係者や介護スタッフとの接触を拒否する
  • 身の回りの掃除ができていない
  • 身なりを整えていない
  • お金の管理ができていない
  • ゴミ屋敷化している
  • 食事をあまり摂っていない

利用者さんがチェックポイントに該当する場合は、利用者さんの気持ちを聞いた上で、利用者さんの家族や地域包括支援センターなどに相談すると良いでしょう。

セルフネグレクトを防ぐには接点を持つことが大切

セルフネグレクトは1人暮らしの高齢者に起こりやすく、なかなか周りが気づきにくいという側面があります。社会との接点が少なくなり、自分の殻に閉じこもることで悪化するケースもあるため、利用者さんとの交流を積極的に持つことが大切です。利用者さんの気持ちに寄り添った介護サービスを行いながら、セルフネグレクトに陥らないように注意しましょう。

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