介護技術の研修はベテランにも必要!スタッフの介護観を統一しよう
この記事では、なぜ新人だけでなく、ベテランスタッフにも介護技術の研修が必要なのかを解説します。研修は新人スタッフが受けるもの、と思っている方も多いでしょう。しかし、ベテランスタッフも研修を受けることで、知識や技術向上につながります。また、研修によって事業所内の介護に対する認識や介護レベルの均一化も図れるでしょう。研修に取り入れるべき内容や、スタッフが研修内容をしっかり身につける方法も紹介します。
介護技術の研修が必要な理由
まずは、新人だけでなく、ベテランスタッフにも介護技術研修が必要な理由をくわしく紹介しましょう。
介護技術の向上・スタッフレベルの均一化
介護技術研修の大きな目的の一つが、スタッフの知識やレベルを均一化させることです。そのためにはまず「介護」について、全員が正しく理解しておかなければいけません。
介護用語の意味がわからないから、と勝手な解釈で仕事をしてしまうと、ほかのスタッフや利用者さんとの間で誤解が生まれる恐れがあります。そしてそれが、クレームや事故につながるかもしれません。また、それぞれが自己流の介護を行うと、やり方やレベルがスタッフによってバラバラになってしまいます。OJTやマネジメントが機能しなくなる可能性も出てくるのです。
このような事態を防ぐために、研修でスタッフ全員の介護観や介護技術を統一させなければいけません。
新しい知識を得て仕事に活用するため
研修を受けることで、新しい知識や技術が身についたり、今まで気づかなかったことに気づけたりします。
特に介護現場では、介護者の知識が利用者さんの生活の質に大きくかかわってくるのです。例えば、知識不足や技術不足を補おうと、力任せの介助をしてしまった場合、利用者さんは介護に痛みや苦痛を感じる可能性もあります。
また、過剰な介護により利用者さんの機能を使う機会を奪ってしまう…というケースもあるでしょう。これは、利用者さんの身体機能を低下させる原因につながりかねません。
反対に、新しい知識や技術を習得し現場で実践できれば、利用者さんがより快適な生活を送ることができるのです。新しい知識や技術に触れることで自分自身も成長でき、仕事のモチベーションもあがるでしょう。
偏ったモノの見方を防ぐため
「自身が働く事業所」という狭い世界の中だけで情報交換をしていると、いつの間にかモノの見方が偏ってしまう…ということがあります。
そこでおすすめなのが、外部研修で他事業所のスタッフと交流したり、外部から講師を招いたりすること。事業所外の方からの講習では、新たな情報や新しい視点でモノを見る方法を学ぶことができるでしょう。
介護技術研修で行うべき内容とは
続いて、介護技術研修で行うべき内容を具体的に紹介します。
介護についての基礎知識でスタッフレベルを均一化
前述した通り、研修の目的の一つは、スタッフの介護観や技術レベルを均一化させることです。そのためには、「介護」についての基本的かつ正しい知識についての研修が必要不可欠でしょう。
現在、「自立支援」と「自律支援」の違いを明確に答えられない介護スタッフも多い…と聞きます。
「自立支援」とは、誰の手も借りることなく一人で行うことです。一方「自律支援」とは、他人の手助けの有無は関係なく、自分の意志でコントロールすることを意味します。
例えば、車いすを介護スタッフに押してもらって移動している利用者さんがいるとしましょう。もしも、「車いすで移動すること」を利用者さんが決めたのであれば、その方は「自律している」といえるのです。つまり、この利用者さんは「自律支援」を受けていることになります。
このように、言葉の意味の違いをしっかりと理解しておかなければ、利用者さんの心に寄り添った介護はできません。介護の基礎知識をしっかりと学び、定期的に復習することこそ、質の良い介護の第一歩といえるのです。
OJTで新人スタッフと指導者のスキルを上げる
新人スタッフに、業務を実際に体験しながら仕事を覚えてもらう「OJT」も欠かせません。OJTを行うことで、現場で必要とされるスキルや知識が身につきます。また、研修内容と実際の業務にズレが生じにくいメリットもあるでしょう。
OJTは通常1対1で行われるので、個人に合わせたスピードで研修することができます。
さらに、OJTは指導者側にも大きなメリットがあるのです。OJTの指導担当者は「いかに相手に理解してもらえるか」を考えながら仕事を行うので、指導力や業務への理解度が向上するでしょう。
マネジメント研修で管理職に必要な知識を学ぶ
勤続年数の長いスタッフを管理職に抜擢する介護事業所は少なくありません。しかし、管理職に必要な技術や知識が身についていないと、いざ管理業務を行っても「どうすればいいんだろう…」と戸惑ってしまいます。
そのような事態を避けるために、中間管理職および管理職に必要な知識やスキルを学ぶ「マネジメント研修」を導入することも大切です。
介護技術の研修内容をしっかり身につける方法
最後に、研修内容をしっかり身につけ、業務へと活かすにはどうすればいいのかを紹介しましょう。
変化を恐れず向上心を持つこと
介護技術に限らず、業務のスキルアップに大切な心構えは、現状に満足せず、常に向上心を持つことです。
新しい知識や技術、介護方法を学んで実践することは、ときに負担を感じたり、「面倒だな」と思ったりすることもあります。しかし、前向きにチャレンジすることで自分自身が成長していることを感じ、積極的に仕事に取り組めるようになるでしょう。
介護技術や情報は、常に新しいモノが生み出されています。時代の変化についていくためにも、自分自身をアップデートするように努めましょう。
広い視野で情報収集する
介護職で学ぶべきことは、基礎知識から実践的なスキルまで多岐にわたります。それらのすべてを習得するためには、広い視野を持つことが大切です。例えば具体的な介護方法だけでなく、ICT技術に関する知識やレクリエーションに関する知識など、さまざまな情報をインプットすることで、仕事にも幅を持つことができます。
また、一見介護には関係のないようなことでも、利用者さんとのコミュニケーションに役立つかもしれません。日頃からさまざまな分野に対してアンテナを張り、情報を収集するようにしましょう。
定期的な介護技術研修でスキルアップしよう
介護の世界は、時代と共に常に変化を遂げています。変化にしっかり対応するためには、知識や技術の向上を心がけなければなりません。そこで重要になるのが、介護技術の研修です。研修で新しいことを学び、業務に活かすことで、質の良い介護を実現するだけでなく、スタッフの介護観とスキルの均一化も図れるでしょう。