超強化型老健とはどんな施設?特色や働くメリットを知ろう
利用者さんの在宅復帰を目指す介護老人保健施設の中でも、とくに厳しい要件を満たす必要があるのが「超強化型老健」です。リハビリや医療ケアの専門職の方々と連携しながら利用者さんの在宅復帰をサポートしていきます。この記事では、超強化型老健の概要を解説するとともに、同施設で働くメリットについてご紹介。転職や就業を希望するときの留意点なども解説していきます。超強化型老健で働きたい方はぜひご一読ください。
超強化型老健とは?
超強化型老健とは、利用者さんの在宅復帰に貢献する度合いがとくに高いと評価される介護老人保健施設(老健)のことです。まずは、超強化型老健に求められる要件とその他の介護サービスとの違いなどについて見ていきましょう。
超強化型老健は厳しい要件をクリアした施設
超強化型老健は、利用者さんの在宅復帰を目的とした5種類の介護老人保健施設の中で、最上位に区分される施設です。従来の区分けよりもさらに在宅復帰・在宅療養に向けたサポート体制を整える施設は、2018年度の介護報酬改定以降、こちらに区分されるようになりました。具体的には、超強化型老健となるには、次の厳しい算定要件を満たす必要があります。その他の介護老人保健施設と比較して見てみましょう。
超強化型 | 在宅強化型 | 加算型 | 基本型 | その他型 | |
---|---|---|---|---|---|
在宅復帰・在宅療養支援等指標 (最高値90) | 70以上 | 60以上 | 40以上 | 20以上 | 左記の要件を満たさない |
退所時指導等 | 要件あり | 要件あり | 要件あり | 要件あり | |
リハビリテーションマネジメント | 要件あり | 要件あり | 要件あり | 要件あり | |
地域貢献活動 | 要件あり | 要件あり | 要件あり | 要件なし | |
充実したリハ | 要件あり | 要件あり | 要件なし | 要件なし |
出典:厚生労働省「平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について」
なお「在宅復帰・在宅療養支援等指標」は、在宅復帰率やベッド回転率など10項目の値を足し、施設ごとに超えるべき基準を示した指標です。超強化型はこの数値が70以上と、他の施設よりも高く設定されています。
介護老人保健施設とデイサービス、デイケアの違い
超強化型老健に限らず、介護老人保健施設では、在宅復帰を目指す高齢者の方の機能回復をサポートしていきます。イメージとしては、病院と滞在型の介護施設の中間にあたる施設といえるでしょう。また、どのくらいの期間施設を利用するかで次のように呼び方が変わります。
- 長期入所療養介護(ロングステイ):1ヶ月以上3ヶ月未満
- 短期入所療養介護(ショートステイ):1日以上1ヶ月未満
- 通所リハビリテーション(デイケア):1日単位
デイケアは名称がデイサービスと似ているため混同しやすいですが、デイケアは機能回復を、デイサービスは入浴介助などの日常生活のサポートを目的としています。1日単位でサービスを提供する点は共通していますが、目的が異なるため、就業を目指す際は注意しましょう。
超強化型老健の仕事内容
ここからは、超強化型老健で働く介護職の仕事内容について見ていきましょう。
在宅復帰を意識した身体介護
超強化型老健で働く介護職の主な仕事内容は、次のとおりです。
- 食事介助
- 排泄介助
- 移乗介助
- 入浴介助
必要に応じて、清掃やリネン交換などの生活支援や緊急時の対応も行います。ここまでは、他の介護施設と大きな違いはありません。ただし、超強化型老健はこれらの業務を、在宅復帰を意識しながら行う必要があります。そのため、長期的な生活を楽しんでもらうようなイベントやレクリエーションを行う機会は少ないでしょう。
専門職と連携したケア
超強化型老健では、日常生活をサポートする介護的視点でのケアだけでなく、在宅復帰を目指した医療ケアやリハビリも重視されます。そのため、理学療法士や作業療法士、看護師などの他職種と連携してケアを行うことが多いでしょう。
交代制で夜勤業務があるところも
超強化型老健の介護職も、基本的には夜勤業務がある職業です。交代制で夜勤業務に対応しなければなりません。ただし、医師や看護師が常駐するなど医療体制が整っているため、夜間に利用者さんが急変したときの不安感は少ないでしょう。
超強化型老健で働くメリット
ここからは、超強化型老健で働くメリットについて見ていきましょう。
他の老健よりも高い収入が見込める
厚生労働省が公表する「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、各介護サービスの平均給与は次のとおりです。
施設名 | 常勤平均給与 | 非常勤平均給与 |
---|---|---|
介護老人福祉施設(特養) | 34万5,590円 | 20万2,950円 |
介護老人保健施設(老健) | 33万8,390円 | 28万9,050円 |
訪問介護事業所 | 31万4,590円 | 20万1,120円 |
通所リハビリテーション事業所 | 29万7,980円 | 21万8,830円 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 29万1,460円 | 18万9,600円 |
出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」
介護老人保健施設は、特別養護老人ホームなどの介護老人福祉施設の次に平均給与が高いことが分かります。超強化型老健は、そんな介護老人保健施設の中でもより厳しい算定要件があることから報酬水準も高めです。他の介護老人保健施設と比べて、より高い収入が期待できるでしょう。
リハビリや医療ケアの知識や経験が得られる
介護老人保健施設の目的は、利用者さんの在宅復帰です。リハビリや医療ケアの専門スタッフと連携して働くことが多いため、介護分野だけではない専門分野の知識や経験が得られるでしょう。とくに、超強化型老健は利用者さんの在宅復帰率が高い施設のため、ベッドの回転率もよく、さまざまなケースに対応できる力が身につきます。こうした点は、介護職として幅広いスキルアップを図りたい方には、大きなメリットといえるでしょう。
身体的な負担が比較的少ない
超強化型老健をはじめとした介護老人保健施設では、在宅復帰を目指した身体介護を、介護職がメインとなって行います。しかし、要介護度が高い特別養護老人ホームなどと比べると利用者さんの介護度が低いことが多いため、身体的な負担は少ないといえるでしょう。この点は、介護職への転職を考えている初心者の方や、体力に不安がある方でも働きやすいポイントといえます。
ただし、長期的なケアをしたい方やレクリエーションなどを定期的に企画したい方などは、超強化型老健だと物足りなさを感じるかもしれません。そのため、自分がどのような介護に携わりたいのかをしっかりとイメージしてから施設を選ぶことをおすすめします。
在宅復帰に向けたケアを行う!超強化型老健で働こう
超強化型老健では、リハビリや医療ケアを行う専門職の方々と連携して働くことが多くなります。そのため、リハビリや医療に関する知識も身につきやすく、スキルアップを図ることができるでしょう。また、給与水準も比較的高いことが特徴です。介護職での就業を希望されている方は、超強化型老健で働くことを検討してみてはいかがでしょうか。