地域密着型通所介護とは?小規模デイサービスで働くメリット・デメリット

地域密着型通所介護とは、地域と密接に連携した小規模デイサービスのひとつ。介護職として働く方の中には、地域貢献したいという想いから興味を持つ方もいるでしょう。今回は地域密着型通所介護について詳しく知りたい方のために、仕事内容などの基本的な知識から働くうえでのメリット・デメリットまで分かりやすく解説します。就職先、転職先として気になるという方もぜひ参考にしてみてください。

地域密着型通所介護とは?

まずは、地域密着型通所介護の概要について押さえておきましょう。

地域密着型通所介護とは18人以下向けの小規模デイサービス

地域密着型通所介護とは、定員18人以下の小規模デイサービスのことをいいます。

このサービスの目的は、

  • 利用者さんが自宅で自立した生活を送るための心身機能の維持
  • 自宅にこもりがちな利用者さんの孤立感の解消
  • 利用者さんの家族、親族の介護負担の軽減

です。

主なサービス内容は、食事・入浴などの支援や心身機能の訓練、口腔機能向上サービスなど。すべて日帰りで実施し、介護スタッフが利用者さんの送迎も行います。
対象となるのは65歳以上、かつ施設のある地域に住民票のある方で、要介護1~5までの方です(国指定の特定疾患に該当する40~64歳の方も対象)。要支援1・2の方は利用できません。

地域密着型通所介護が創設された背景

地域密着型通所介護が導入されたのは2016年4月からで、創設の背景には高齢者数の増加があります。この影響によって地域の実情に合わせた介護施設の整備が求められるようになり、都道府県管轄の小規模デイサービスは市区町村管轄の地域密着型通所介護へと移行しました。この変更によって地域との密着性が増し、運営元の透明性が高いサービスとして活用されるようになったのです。

地域密着型通所介護の人員基準

地域密着型通所介護の人員基準は、以下のとおりです。

(参考:厚生労働省「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護」)

生活相談員専従で1人以上。事業所ごとにサービス提供時間に応じた配置が必要。
看護職員単位ごとに専従で1人以上。 サービス提供時間帯すべてに専従での配置は不要で、訪問看護ステーションなどと連携も可能。
介護職員単位ごとにサービス提供時間に応じた専従配置が必要。 ※利用者数15人以下なら1人以上、16人以上なら利用者が1人増えるごとに+0.2人以上追加する。
機能訓練指導員1人以上。
管理者専従で1人以上。

※定員10人以下の場合は看護職員または介護職員は、1人の配置で可。

※生活相談員または介護職員のうち、1人以上は常勤。

なお、以下の職種には資格要件があります。

生活相談員社会福祉士・社会福祉主事任用資格・精神保健福祉士・介護福祉士・介護支援専門員
看護職員看護師・准看護師
機能訓練指導員作業療法士・理学療法士・言語聴覚士・看護師(准看護師)・柔道整復師・はり師・あん摩マッサージ指圧師・きゅう師

介護職員は無資格でも働けます。ただし、地域密着型通所介護のような小規模デイサービスでは配置可能な人数が限られるため、スキルの高い方が歓迎される傾向にあるようです。そのため、介護職員初任者研修修了者や実務者研修修了者、介護福祉士などの資格を有していたほうが就職には有利でしょう。

地域密着型通所介護の仕事内容

地域密着型通所介護の仕事は一般的な小規模デイサービスとほぼ変わりません。以下、主な業務です。

  • 食事・入浴・排泄介助などの身体的なサポート
  • 機能訓練補助
  • レクリエーション
  • 介護記録の作成
  • 介護施設内の環境整備
  • 利用者さんの自宅と施設間の送迎

定員の多い大型介護施設と異なるのは、利用者さんやその家族との距離が近いところです。送迎時には家族とこまめにコミュニケーションをとり、自宅での様子や施設での過ごし方について情報交換をします。
また、地域密着型通所介護では、一般的な小規模デイサービスよりも地域活動への参加が多くなることもあるようです。

地域密着型通所介護で働くメリット

地域密着型通所介護には、以下のメリットがあります。

アットホームな雰囲気の中で働ける

地域密着型通所介護の仕事ならではのメリットとしては、通常の小規模デイサービスや介護施設にはない「アットホームな雰囲気」が挙げられるでしょう。利用者さん一人ひとりとじっくり向き合えるため心の距離も縮まりやすく、多くの利用者さんを相手にすることが苦手な方にとっても働きやすい環境です。

介護職としてのスキルアップにつながる

地域密着型通所介護のような小規模デイサービスでは、少数精鋭なスタッフ配置となる傾向があるため、上司や同僚の働き方からも良い刺激を受けられるでしょう。介護職としてステップアップしたい方にとっては、働きがいのある職場となりそうです。

地域密着型通所介護で働くデメリット

地域密着型通所介護は介護職にとって学びが多く、やりがいのある現場ではありますが、注意すべきポイントもあります。

経営難になりやすい

地域密着型通所介護は小規模ゆえに、大きな収益を得にくいサービスでもあります。福祉医療機構が発表した「通所介護の経営状況について(2022年度) 」によると、地域密着型通所介護の約4割が赤字経営に陥っているというデータも。ただ、最近では古民家などの空き家をデイサービスの拠点として利用する方法も注目されています。古民家活用をすれば、さまざまな税制上の優遇措置を受けられるため、施設の運営費用の削減につながるでしょう。

新人研修が不十分になりやすい

少ない人員で日々のさまざまな業務をこなさなければならないため、スタッフ1人に求められるスキルも自然と高くなります。しかし、新人教育に割ける時間も人員もなかなか捻出できないため、研修が不十分になりやすいという傾向も。そのため業務に慣れるまでに時間がかかるという新人スタッフも少なくありません。

地域密着型通所介護なら介護職のやりがいがきっと見つかる!

地域密着型通所介護とは、一般的な小規模デイサービスよりも高いスキルが求められる仕事。介護職としての知識、経験不足を痛感することもある一方で、自分の得意分野ややりがいを見つけやすい職場でもあります。介護職としてスキルアップしたい方、利用者さんとしっかり向き合って仕事がしたい方はぜひ目指してみてはいかがでしょうか。

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