運営指導(旧実地指導)で必要な書類は何年分?当日の流れもチェック

事業所が適正に運営されているのかを調査するために行われる運営指導(旧実地指導)。介護サービス事業者として指定を受けているかぎり、必ず受けなくてはならない指導のひとつです。必要書類って何年分?名称変更されたことによる変更点とは?と、疑問を抱えている方もおられることでしょう。そこで今回は、運営指導(旧実地指導)について詳しく解説します。日頃の働きが正当に評価されるよう、この記事を参考に運営指導に備えておきましょう。

2022度より実地指導は「運営指導」へ

2022年度より、実地指導は「運営指導」へと名称が変更されました。主な変更点としては、オンラインツールを活用した指導を受けられるようになったことです。施設の設備やサービス提供状況など実地での目視確認が必要なこと以外、今後はオンラインで指導されることになります。パソコン上でチェックするということは、書類の更新時間などもチェックできるため、不正とみなされるような行為には注意しましょう。

運営指導で必要な書類は何年分?

運営指導があると分かったとき、まず心配になるのが書類についてではないでしょうか。書類って何年分必要だったかな?と不安になったときは、行政から事前に通知される「お知らせ」に明記されているので確認しましょう。

一般的には約2年分の書類が必要

運営指導では約2年分の書類を提示するよう求められるのが一般的なようです。ただし、書類を保管しておく期間は自治体により異なりますが2~5年分となっています。事前通知には具体的にどの年度の書類を準備すべきか明記されているため、現時点から2年前までの書類と勘違いしないようにしましょう。保管期限内の書類はいつ指導を受けてもいいよう日頃からチェックしておくと安心です。

運営指導をする場所の確保も大切

実地で運営指導を受けるときは、利用者さんがいる場所とは離れた場所を確保しておくのがおすすめです。利用者さんや、その家族がいるところに行政の職員が出入りしていると、この施設には問題があるのでは?と勘違いされる場合があります。行政側から質問される内容を聞かれることで利用者さんが不安になるケースも否定できません。可能であれば運営指導を受けるスペースを事前に確保しておきましょう。

運営指導当日の流れ

運営指導当日のスケジュールは、事前に通知されるお知らせに明記されています。以前は丸1日かかるケースがほとんどでしたが、現在は半日で終了することもあるようです。運営指導当日の主な流れは、以下の通りなので押さえておきましょう。

1.指導担当者が来所し挨拶

運営指導担当者が来所し、まずは職員の紹介があります。その後、運営指導をする目的を説明されたのちに、当日の流れが伝達され運営指導のスタートです。

2.利用者さんの状況や、施設の設備をチェック

まずは、事業所内の環境や実際のケアの様子を巡視されます。利用者さんの状態や、部屋の状況、設備だけでなく、掲示物なども確認されるので事前確認が必要です。部屋の使用状況は届け出と相違がないか、水回りの衛生面、個人情報の取り扱い状況、消火器の位置など、確認項目は多岐にわたります。利用者さんへの言葉遣いや対応もチェックされるポイントなので注意しておきましょう。質問されたことはメモを取るなどして残しておくと、今後の運営指導対策に便利です。また、介護スタッフの間で注意点を共有しやすくもなるので、今後に活かしていきましょう。

3.運営指導、報酬請求の指導

運営指導、報酬請求については、オンラインでチェックできることも多いため、実地では省略または簡略化される可能性があります。ただし、高齢者虐待防止や、身体拘束に関する内容を理解しているか対話でチェックされることも。突然聞かれても答えられるよう心づもりしておくとよいでしょう。

運営指導当日は、質問される内容にしっかりと答えることができるスタッフが出勤できるようシフト調整しておくと安心です。「的確に答えられる=適切な運営をしている」という印象に繋がりやすくなります。事業所の運営状況や、サービス提供状況を把握しているスタッフに回答してもらい、不信感を抱かせない対応を目指しましょう。

4.講評

すべてのチェックが終了すると、介護事業所側に15分ほど席を外すよう言われ、指導内容がまとめられます。その後、運営指導担当者から運営指導の結果について講評を受け、実地での運営指導は終了。講評は、運営指導中に質問や指摘を多数受けたとしても、大まかな感想程度に終わることが多いようです。

5.運営指導結果の通知(約1ヶ月以内)

約1ヶ月以内に、運営指導の詳しい結果の通知が届きます。その後の対応は次項で解説するので、参考にしてください。

運営指導後の対応

運営指導は受けたら終わりというものではありません。ここからは、運営指導後の事業所の対応について説明していきましょう。

口頭で指摘されたとき

実地での運営指導中は、指導担当者からさまざまな質問や指摘を口頭で受けます。資料を準備している段階で不備などが分かった場合も、すでに改善に向け尽力していることを伝えれば口頭での指導にとどまることも。口頭での指摘は改善報告や公示されることはないですが、事業所内で必ず共有し、改善に活かしていくことが大切です。

書面指導や是正勧告をされたとき

口頭指示以外に、書面で是正勧告された事項は「是正改善報告書」の提出が求められます。是正改善報告書は、指定された期限内に必ず提出しなければなりません。提出期限を過ぎれば、追加の改善命令や公示されてしまうことも。どうしても、期限内に対処することが難しい場合は、現在の取り組み状況や、改善できない理由を明確に記載して報告するようにしましょう。

不安な場合は専門家の立ち合いも◎

運営指導は法的な根拠に基づいて実施されますが、年々改善される項目も多く、すべてを把握することは難しいかもしれません。そこで頼りになるのが、介護業界に精通した弁護士のサポートです。運営指導の準備から、運営指導時の立ち会い、指導後の改善報告書類の作成まで尽力してくれます。万全に運営指導に備えたい場合は、専門家にお願いする方法も検討するとよいでしょう。

適正な事業所運営を目指そう!

運営指導の必要書類が何年分必要か、また、当日の流れもお分かりいただけたでしょうか。運営指導は介護業界全体の質を保つために、すべての事業所に対し公平に実施されます。決して、事業所の不正を暴くことを目的に行うものではないことを念頭に置いて臨みましょう。指摘を受けたことは真摯に受け止め、改善に尽くすことも大切です。

この記事をシェアする