高齢者の花粉症が増えている?!花粉の季節は口の中の乾燥に注意
高齢者の花粉症が増えていることをご存知ですか?高齢者は加齢によって免疫力が低下することがあるため、アレルギー疾患を発症するリスクが高いと言われています。そして花粉症と関係の深い問題が、口腔問題です。一見すると関係なさそうですが、花粉症から口腔内にさまざまな問題が起こり、他の病気を誘発する可能性があります。そこで今回は、高齢者の花粉症事情や花粉症と口腔問題について見ていきましょう。
高齢者の花粉症が増えている?!
そもそも花粉症とは、体内に入ってきた花粉を異物と捉え、身体に無害なものにしようと反応するアレルギー疾患です。花粉が原因で、花粉が飛ぶ季節だけくしゃみや鼻水・鼻づまりなどを引き起こす病気を季節性アレルギー性鼻炎と言います。
冒頭でも説明したように、高齢者は加齢によって免疫力が低下しやすいため、花粉症などのアレルギー疾患を発症する可能性が高い傾向にあります。そのため花粉症以外にも食物アレルギーやおむつなどの接触性アレルギーにも注意が必要でしょう。
花粉症などのアレルギー疾患は、これまで何ともなかった方が突然発症することがあります。環境省が発表した「花粉症環境保健マニュアル2022(2022年3月改訂版)」によると、花粉症が増加している主な原因は、飛散する花粉の数の増加・食生活の変化・感染症の減少・腸内細菌の変化などです。
日本における正確な花粉症有病者数は分かっていません。しかし、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象にした全国調査によると、1998年の第1回調査より回を追うごとに花粉症有病率が増加しています。
地域的な調査では、2016年度に東京都がスギ花粉症の推定有病率を調査しました。この調査は1983年から約10年ごとに行っている調査で、こちらでも推定有病率が年々増加していることが分かりました。
年齢区分別で見ると、前回調査の2006年度では60歳以上の推定有病率が14.2%でしたが、2016年度の調査では37.4%に急増。日本人の花粉症が増えていることはもちろん、高齢者の花粉症が増えていることが分かるはずです。
花粉症と口腔問題
花粉症の主な症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・鼻のかゆみなどです。鼻は、外の空気を取り込む役割がありますが、その際に花粉や塵・ウイルスなどを体内に入れないようにする役割もあります。
また、取り込んだ空気を鼻の中で温め加湿することで、体内に最適な温度や湿度の空気を送り込む役割もあるのです。
しかし高齢者は、加齢によって鼻粘膜が薄くなったり、粘膜内の血流が減ったりするため、花粉などの侵入を防ぐ機能が低下。しかも花粉症になると、鼻トラブルによって鼻での呼吸が難しくなります。それに伴い口で呼吸するようになりますが、口呼吸では気道に直接空気が入るため、細菌やウイルスが体内に入りやすくなるというわけです。
他にも、口呼吸が増えると口腔内が乾燥しやすくなるため、唾液の自浄作用や殺菌作用が低下します。唾液の分泌が減ると、歯周病のリスクもアップ。歯周病になると、抵抗力が弱い高齢者は歯周病菌を排除できず、心疾患や脳卒中のリスクを高めたり糖尿病を悪化させたりなど、さまざまな全身疾患になるリスクが高まるのです。
手軽にできる口腔対策とは
日頃から歯磨きや歯周病治療を行う必要がありますが、花粉症による鼻トラブルで口呼吸が増えた場合に備えて、手軽にできる口腔対策を2つ紹介します。
うがい
まずはうがいです。散歩から帰った際など外から帰宅した場合には、必ずうがいするように推奨しましょう。うがいは水で行っても良いですが、口腔内を保湿してくれる成分が入っているマウスウォッシュを使うとより効果が期待できます。
ただし、利用者さんの中にはうがいが難しい方もいるでしょう。そういった場合には、口腔ケア用のティッシュなどで口腔内を拭き取りだけでも十分です。
こまめな水分補給
口呼吸が増えると口の中が乾燥するため、室内の温度や室温管理を徹底してください。そして、意識的に水分補給するように促しましょう。
高齢者は体内の水分量が減っており、口の渇きを感じにくくなっています。食事以外にも水分補給の時間を作っておくと安心です。
花粉症と口腔問題は切り離せない!
花粉症は、いつ誰がなるか分かりません。突然発症することもあるため、いざというときに備えて、花粉症対策や花粉症からくる口腔問題についても学んでおきましょう。口腔問題が悪化すると、抵抗力が低下している高齢者にとって大変危険です。日頃の口腔ケアと合わせて、うがいや水分補給などで口腔対策を行いましょう。