重度訪問介護従業者の需要が増加!仕事内容や資格取得方法は?
重度訪問介護従業者は、24時間体制で介護を必要とする重度障害者に対し介護サービスを提供するための専門資格です。重度障害のある方の中にも、自宅で暮らしたい、住み慣れた地域で生活したいという方が増えており、重度訪問介護従業者のニーズが高まっています。そこで今回は、重度訪問介護従業者の概要や仕事内容、資格取得の方法などをわかりやすくご紹介。介護業界でキャリアアップを目指す方はぜひ参考にしてください。
目次
重度訪問介護従業者とは?サービスの対象者はどんな方?
重度訪問介護従業者は、常時介護を必要とする障害支援区分4以上の認定を受けている重度障害者に対して、介護サービスを提供するための資格です。厚生労働省「重度訪問介護に係る報酬・基準について≪論点等≫」によると、重度訪問介護従業者が携わる重度訪問介護のサービス対象者は、「重度の肢体不自由者・重度の知的障害・精神障害により、常時介護を要する障害者」とされています。
一般的には、筋ジストロフィー・筋萎縮性側索硬化症(ALS)・脊椎損傷など難病に罹患している方や、脳性まひ・遷延性意識障害・重症心身障害などのある方が重度訪問介護の対象です。
重度訪問介護従業者の仕事内容は?ホームヘルパーとはどう違う?
重度訪問介護従業者は、主に利用者さんの住居を訪問し、日常生活に生じる介護が必要なさまざまな場面に介入するのが特徴です。具体的な仕事の内容は以下のとおり。
- 入浴・排泄・食事などの介護
- 調理・洗濯・掃除などの家事
- 更衣・洗面・歯磨き・体位変換・買い物など、生活全般にわたるサポート
- 外出時における移動中の介護
これらを基本とし、日常生活の中で介護を必要とするあらゆる場面に備え、見守るtも重度訪問介護従業者の仕事に含まれています。ただし、重度訪問介護従業者がサポートするのは利用者さん本人のみ。家族分の家事や飼育しているペットの世話をすることはできません。
また、住居に訪問し介護を行うという点で共通する仕事に、ホームヘルパー(訪問介護員)があります。しかし、ホームヘルパーは重度障害者へのサポートに特化したスキルや知識を習得しているわけではなく、主に要介護認定を受けた高齢者をサービスの対象者としていることが重度訪問介護従業者との違いです。
重度訪問介護授業者の資格を取得するメリット・デメリットは?
重度訪問介護従業者の資格を取得した場合のメリットとデメリットをまとめました。
重度訪問介護従業者の資格を取得するメリット
厚生労働省「重度訪問介護に係る報酬・基準について≪論点等≫」によると、重度訪問介護の利用者数は年々増加傾向にあるようです。それに伴い、重度訪問介護従業者の需要もさらに高まることが予想されます。そのため資格を取得することにより、就職に有利かつ給料アップも期待できるでしょう。
また一般的な介護施設では、複数の利用者さんを対象とし、複数のスタッフとコミュニケーションを図りながら仕事を進めるため、スタッフ間の人間関係に気を遣うシーンもありますよね。対して重度訪問介護は、基本的に利用者さんとマンツーマンで個別ケアを提供します。つまり、ご自身のスタイル・ペースでも仕事が可能な点は、重度訪問介護従業者のメリットといえるでしょう。
重度訪問介護従業者の資格を取得するデメリット
重度障害のある方を対象とするため、介護サービスを提供するためには高度な知識・スキル・対応力が必要です。重度障害者の生活を支えるという仕事の責任の重さをデメリットとして捉える方もいるかもしれません。日々勉強し、利用者さんの病状や想いに寄り添ったサービスが提供できるよう心掛ける姿勢が求められます。
重度訪問介護従業者の資格の取得方法は?
重度訪問介護従事者の資格は、都道府県が指定する「重度訪問介護従業者養成研修」を修了することにより取得可能です。研修の主催元は各自治体やNPO法人などで、年齢や職歴を問わず誰でも受講することができます。
養成研修は、「基礎課程」と「追加課程」という2つのカリキュラムで構成されています。中には、上位資格として「統合課程」を設けている専門学校もあるので、目的に合わせてカリキュラムを選択しましょう。
【基礎課程】障害支援区分4~5の利用者さんが対象
基礎課程では、重度訪問介護従業者に必要となる基礎的な介護技術や職業倫理を学びます。基礎課程を修了すると、障害支援区分4~5の利用者さんに対して介護サービスを提供することが可能です。
受講時間は、講義3時間および実習7時間の合計10時間です。具体的な科目は次のとおり。
<講義>
- 重度の肢体不自由者の地域生活などに関する講義
- 基礎的な介護技術に関する講義
<実習>
- 基礎的な介護と重度の肢体不自由者とのコミュニケーション技術に関する実習
- 外出時の介護技術に関する実習
【追加過程】障害支援区分6の利用者さんが対象
基礎過程を修了した方が受講対象となる追加課程では、重度障害者の介護方法やリスク管理、緊急時の対応などについて学びます。より実践的な知識やスキルを身に付けることが可能です。実習では、実際に重度の肢体不自由者の住居を訪問し、支援を行うのが特徴。追加課程を修了することで、障害者支援区分6の方を対象とした介護サービスを提供できるようになります。
追加過程の受講時間は、講義7時間・実習3時間の合計10時間です。具体的な科目は次のとおり。
<講義>
- 医療的ケアを必要とする重度訪問介護利用者の障害および支援
- コミュニケーションの技術
- 緊急時の対応および危険防止
<実習>
- 重度の肢体不自由者の介護サービス提供現場での支援
【統合過程】喀痰吸引などの医療的ケアができる
統合課程は、基礎課程・追加課程に加え、喀痰吸引(第3号研修)などの医療的ケアができる基本研修が統合されています。第3号研修の基本カリキュラムには、介護技術・喀痰吸引・経管栄養などの医療的ケアシミュレーション実技が含まれるのが特徴です。
受講時間は、講義11時間・演習1時間・実習8.5時間の合計20.5時間。内容は基礎課程・追加過程の科目に加え、喀痰吸引などに関する演習1時間があります。
重度訪問介護従業者の資格を取得して仕事の幅を広げよう
重度訪問介護従業者は、重度障害者が自宅で暮らすことを叶えるやりがいのある仕事です。また重度訪問介護従業者は基本的に利用者さんのもとへ1人で訪問するため、ご自身のペース・スタイルで仕事ができることもメリットといえます。ニーズの高い重度訪問介護従業者の資格を取得して、重度訪問介護の現場で即戦力として活躍してみませんか?