フットケア指導士になるには?高齢者の足の健康を守ろう
施設では利用者さんの健康管理は欠かせませんが、中でも重要なのがフットケアです。足のトラブルがきっかけで、普段どおりの生活ができなくなる利用者さんも少なくないでしょう。自分の足で歩けることは、健康寿命や介護予防にもつながります。そのため介護施設においても、フットケアは重視すべき項目のひとつ。そこで注目されているのが、専門的な知識を持ってケアができるフットケア指導士です。フットケア指導士になるにはどうしたらいいのか、詳しく解説します。
高齢者のフットケアの重要性
高齢者が元気に過ごすためには、足の健康が重要です。足の皮膚はほかの場所と比べて厚くて硬くなる傾向があります。年齢を重ねるとターンオーバーの周期が長くなり角質が乾燥したり、脂肪が萎縮して痛みが出やすくなったりと、足に症状が出ることが多いもの。その結果、外反母趾、ウオノメやタコ、巻き爪、肥厚爪などといった足トラブルが生じやすくなります。また、複数の慢性疾患を抱えている、末梢神経の感覚が鈍くなるなどの理由で、足の異変に気付きにくいといったこともあるかもしれません。
生活するうえで歩く動作は重要で、足元の状態が良くないと歩行が難しくなってしまいます。トイレに行けない・気軽に外出できないなど、普段の生活に支障をきたす可能性も。足のトラブルがきっかけとなり、元気がなくなったりうつになったりと、精神的な影響を及ぼすこともあるでしょう。元気に過ごしてもらうため、利用者さんのフットケアは欠かせません。
フットケア指導士とは
フットケアが重視されているいま、フットケアに関する資格にも注目が集まっています。介護業界におけるフットケアに関する資格のひとつがフットケア指導士です。フットケア指導士は、日本フットケア学会・足病医学会による認定資格。フットケア指導士になるには、認定試験を受ける必要があります。症状に応じた知識とケアを学ぶことができるため、利用者さんに合わせたケアを提供できるようになるでしょう。
フットケア指導士の資格を取得することで、利用者さんのフットケアのリーダー的存在として指導業務を担うことができ、スキルアップの一環にもつながります。フットケア指導士の施設における具体的な業務は以下の通りです。
- 足を清潔にケアする方法を指導
- 足の保湿や洗浄方法を指導
- 靴選びをサポート
- 利用者さんごとの症状やリスクに応じた生活指導
フットケア指導士になるには認定試験の受験が必須
フットケア指導士の認定試験を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
<受験条件>
- 日本フットケア・足病医学会の学会員である
- 医師・看護師・介護福祉士・理学療法士・臨床検査技師・義肢装具士・臨床工学技士・薬剤師・栄養士といった国家資格を保有しており、なおかつ3年以上の実務経験がある
- フットケアの実務経験がある
- フットケア指導士認定セミナー受講済
条件にもなっている「フットケア指導士認定セミナー」は、年に2回行われます。セミナーの内容はフットケアについての基礎から専門知識についてで、講義時間は全部で6時間です。セミナー受講後、フットケア指導士の試験を受けられる期間は2年間。これまでは会場でのセミナーでしたが、コロナの影響により第13回フットケア指導士認定セミナーからWeb受講になりました。
フットケア指導士の認定試験は、年に1度、通常2~3月ごろに実施されます。受験料は10,000円となっており、試験をキャンセルしても返金はできません。試験は4択のマークシート方式。指定テキストに基づく客観試験で、試験時間は90分です。合格基準は認定委員会によって最低合格水準が定められており、基準点は公表されていません。
合否は日本フットケア・足病医学会の公式ホームページ上で発表。合格すると実技講習会に参加し、実践的な学びを受けることになります。認定されたあとも5年毎更新となり、セミナーを受講して知識をアップデートする必要があるため、資格取得後にもさらなるスキルアップが目指せるでしょう。
フットケア指導士になるには専門知識を身に付ける必要がある
施設で働くうえで、フットケアの重要性を身にしみて感じている介護職の方も多いはず。フットケア指導士になるにはセミナーや試験を受ける必要があり、専門的な知識をしっかりと身に付けることができるでしょう。仕事の幅を広げるため、資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。