高齢者に多い骨折とは?骨折する理由と予防策について

高齢者が骨折すると、長期間の療養が必要になり、そのまま寝たきりになるケースがあります。そのため、できるだけ骨折しないように注意しなければなりません。また、高齢者は骨がもろくなっていることで、若い方と比べて骨折しやすい傾向にもあります。そこで今回は、高齢者に多い骨折や骨折する理由、予防策を知って、高齢者の骨折を未然に防ぐ方法を身につけましょう。

高齢者に多い骨折箇所

高齢者は、筋力やバランス力が低下し、瞬発力などの反射的防御動作を行いづらくなっているため、転倒しやすい傾向にあります。また、持病のために薬を飲み、その作用でふらつくケースも。

するとコードや小さな段差にもつまずきやすくなり、転倒して手を骨折したり、尻もちをついて腰を強く打ったりすることもあるため注意しなければなりません。例えば家の中では、廊下や階段、浴室は滑りやすいため手すりなどがあった方が安心でしょう。

外出先で考えると、濡れたマンホールやスロープ、水たまりなどは滑りやすくなっています。また、車止めにつまずくこともあるため注意が必要です。

ここでは、高齢者に多い骨折箇所について紹介します。

大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)骨折

脚のつけ根あたりの骨折です。転倒によってうまく受け身をとれず、股関節横の骨である大転子部を直接強く打ったり、ひざをついて大腿をひねったりすることで骨折します。

脊椎圧迫骨折

階段から落ちる、転倒によって尻もちをつくなどによって圧力がかかると、脊椎圧迫骨折が起こります。重い荷物を持っただけで背骨がつぶれることもあるため注意が必要です。

上腕骨頸部(じょうわんこつけいぶ)骨折

肩あたりの骨折で、転倒してひじや手をつくことで起こりますが、直接肩を打つことでも骨折します。

橈骨遠位端(とうこつえんいたん)骨折

手首の骨折のことです。転倒した際に手をつくことで起こります。

なぜ高齢者は骨折しやすい?

なぜ高齢者は骨折しやすいのでしょうか?先ほど少しふれましたが、ここで詳しく見ていきましょう。

骨粗鬆症

骨粗鬆症は骨がスカスカになる病気のことで、加齢に伴い発症する方が増えます。骨は、骨を形成する骨形成と、骨を溶かして破壊する骨吸収を繰り返していますが、このバランスが崩れることで骨吸収が骨形成を上回り、骨がスカスカになるというわけです。

女性ホルモンの分泌や老化との関係が深いことから、閉経後の女性に多いと考えられています。骨粗鬆症になると、わずかな衝撃でも骨折してしまうため注意が必要です。

筋肉量の低下

高齢になると社会活動が減るために、徐々に筋肉量や体力が低下していきます。また、加齢によって筋線維数が減ったり筋線維が萎縮したりすることで、筋肉量が低下することも。

そのため、意識的に運動しなければ、高齢者の筋肉量は低下していくばかりというわけです。筋肉量が低下してしまうと、転倒した際にうまく受け身がとれなかったり、転倒しないように踏ん張れなかったりするというデメリットがあります。

バランス能力の低下

加齢によって運動機能が低下すると、バランス能力も低下します。バランス能力が低下すると平衡感覚が崩れるため、転倒しやすくなるのです。椅子から立ち上がる、ズボンをはくなどのシーンでバランスを崩し転倒しやすい傾向にあります。

骨折を予防するためには?

最後に、高齢者に多い骨折を予防するための方法について見ていきましょう。

骨粗鬆症対策

まずは骨粗鬆症を予防する必要があります。定期的に骨粗鬆症レベルを確認しましょう。定期検診によって骨粗鬆症であるという診断を受けた場合には、内服薬や注射によって治療し、進行を遅らせることが可能です。

適度な運動と日光浴

高齢者は筋肉量が低下しやすいため、意識的に運動をする必要があります。また、日光浴も大切です。日光を浴びると体内でビタミンDが作られ、カルシウムの吸収を助けてくれます

適度な運動により骨に適度な負荷がかかり、骨を作る細胞が活性化されることも。太陽のもと、ウォーキングや階段の昇り降りなどの運動を行うと良いでしょう。

栄養バランスのとれた食事

骨粗鬆症や筋肉量の低下を防ぐには、食事も大切です。骨を強くするために、乳製品や小魚などからカルシウムを、鮭や椎茸などからビタミンDを意識的に摂ると良いでしょう。

骨の強化だけでなく筋肉をつける必要もあるため、たんぱく質も積極的に摂ることをおすすめします。ただし、特定の栄養素ばかりを摂っていると栄養が偏るため、バランスのとれた食事を意識しましょう

日々の生活とともに環境整備も忘れずに

誰しも加齢とともに筋肉量や骨密度が低下するものです。しかし、定期的な運動や栄養バランスのとれた食事を摂ることで、筋肉量や骨密度の低下を遅らせることができます。定期的に利用者さんの筋肉量や骨密度の低下を防ぐレクリエーションを取り入れると良いでしょう。また、高齢者に多い骨折を防ぐために、手すりをつけたり、コードなどの配線に気をつけたりする環境整備も忘れないようにしてください。

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